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神奈川受動喫煙防止条例の施行から約半年—  疲弊する飲食店現場から見える真実とは!?

ようやく秋の気配が漂い始めた9月下旬、飲食業界を驚かせた神奈川の受動喫煙防止条例施行から早半年が過ぎた。その間に、さまざまな論議をかもしながらも、すでに全国8自治体がそれぞれ条例化に向けて動き始めている。特に、兵庫県においては6月に検討会が立ち上がり、来年には条例が発動される見通し。今後、この動きが全国に波及するのは必定だ。そこで喫煙規制が及ぼす影響について探るべく、その縮図といえる神奈川県が、今、どうなっているのかを全国喫茶飲茶生活衛生同業組合連合会の会長であり、神奈川県喫茶飲茶生活衛生同業組合の理事長及び財団法人神奈川県生活衛生営業指導センター理事長を務める八亀忠勝さんに取材。条例化の問題点とともに、それを基に考えられる対応策について聞いた。


「今の神奈川の条例では中小規模の飲食店は生き残れない」

神奈川では4月に受動喫煙防止条例が施行。来年4月からは100平米を超える飲食店で罰則が適用されることになる。一方、神奈川の飲食店現場では罰則適用前にも関わらず、早くも店をたたむ経営者がでてきているという。その実態について神奈川県喫茶飲茶生活衛生同業組合の八亀忠勝さんは厳しい口調でこう話す。

神奈川県喫茶飲茶生活衛生同業組合の八亀忠勝さん

「条例は一度作られてしまったら厳しくなることはあってもなくなることはない。しかも来年からは罰則が始まる。となると、選択肢としては「全面禁煙」か「完全分煙」のふたつにひとつを選ぶしかない。今まで通り両方のお客に来てもらいたいと分煙を選んだら、条例通りに改装するには最低でも400万位の費用が必要」と八亀さん。「しかし飲食は大半が月商100万、日商3万の世界。さらにこの不況下でどこからそんなお金が捻出できるのか。大手は財力があるからいいけど中小個店はバタバタと潰れていく。そんな未来が見えているから飲食に夢が見られなくなったと店をたたみ、業界から撤退する経営者が出てきているんです」と話す。

八亀さん自身も、市の関連施設の中に喫茶店を1店舗構えていたが条例により全面喫煙にしたところ売上が半減。店を閉めざる得ない状況に落ち入ったという。

「私が経営する他3店舗は、お客の8割が喫煙者。タバコを吸えなくするのは自殺行為です。そこで分煙にするための見積もりをとったところ1店舗に付き500万と、とても手のでる額じゃなかった。幸い100平米以下なので、今は、とりあえず喫煙で営業を続けていますが・・・。最近は市民も喫煙に敏感になってきて、特に嫌煙家の方が声をあげ始めた。扉を空けてタバコの匂いがすると、あら、喫煙なの、と露骨に嫌な顔をして去っていく。今までは互いに気を使っていた感じでしたが条例化以降はタバコを吸っているお客さんに肩身の狭い思いをさせています。本来、居心地いい空間であるべき喫茶の存在が崩れかけている」(八亀さん)。

ところで改修といえば行政が補助金を出してくれるという話もあったが・・・
「最終的にローンの利子分を出してくれることになったそうです。でも、正直、そんなんじゃ軽過ぎる。住宅ローンとワケが違うんです。もともと払う必要のないものに対して多額の負債を抱えるなんて飲食店側が納得するワケがない。数百万は持ち出しになるんですから」と苦渋の表情を浮かべる。

「ゴールは飲食店の店外表示の徹底。これに尽きる」

八亀さんは全国の喫茶店をまとめる全国喫茶飲茶生活衛生同業組合連合会の会長でもある。条例化により飲食店現場の疲弊を目の当たりにした彼がほか自治体に口をすっぱくして伝えているのが“店外表示の徹底”だ。入り口の目立つところに“喫煙”“禁煙”“分煙”の表示を義務化する。そこをゴールにすべきだ、と。そうすれば受動喫煙の減少に繋がるうえ、お客同士も嫌な想いをしないですむ。

「連合会では、とにかく他県が神奈川の二の舞にならないよう条例に断固反対するようアドバイスしています。神奈川の場合は知った時はすでに遅く、条例化が確定していたのでどうにもなりませんでしたが全国の飲食店が同じ被害をこうむるのはなんとしても避けたい。公共機関のみの規制で飲食店には表示の義務付け。“表示があるなら飲食店までたばこを規制する必要はないのでは”という理解と風潮を広めたい。それしかこの問題のゴールはありえません」と八亀さん。ステッカーとポスターを加盟店に無料で配布し、各店に貼ってもらえるよう協力を呼びかけるなど店外表示の取組みを主導。全国に波及すべく取り組みを進めている。

表示があれば

一方、神奈川では他県をリードするかのように次々に喫煙問題の取組みが進む。今年に入り条例施行、経過観察・・・と続き、いよいよ来年4月には罰則の適用がスタート。罰則は個人が違反した場合は2万円以下の過料。施設管理者に対しては勧告に従わない場合は施設名を公表。立ち入り調査を拒んだり命令に従わない場合は5万円以下の過料だ。まずは100平米超の店のみ対象となるが同条例は3年毎に見直しをされるため、小規模店についても猶予期間ということで、今後対象となる可能性は十分に考えられる。今でこそ「どうにもできない。このまま喫煙店として営業を続けるしかない」といっている組合員のお店も、いざ罰金となったらそうもいかないだろう。その時、どういう選択肢を選ぶのか・・・。または八亀さんや後に続く飲食店の努力により“表示があればok”という風潮が定着しているのか。今後も受動喫煙問題が飲食業界に及ぼす影響から目が離せない。

 

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