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インタビュー

コロナショックで飲食業界はどう変わる?飲食ITベンチャーが見る、業界のこれから ~第2回SARAH代表・高橋洋太氏~

コロナショックで飲食業界はどう変わるのか――。プレーヤーではなく、サポーターとして業界を見ている飲食関連企業が、飲食業界の今後をどう見ているのかに迫る。第2回は、“おいしい一皿が集まるグルメコミュニティサービス”「SARÀH(サラ)」を運営するSARÀH代表の高橋洋太氏が登場。



SARAH代表取締役:高橋洋太氏
1984年生まれ。大学在学中に起業、2009年エニグモに入社、ショッピングサイト「BUYMA」事業に携わり、同社の上場も経験。2013年、飲み会マッチングアプリ「JOIN US」を運営するgram30を創業。2014年、メニュー単位で口コミが検索できるグルメサイト「SARÀH」を運営する株式会社SARAHを設立し、現職。

おいしい一皿が集まるグルメコミュニティサービス「SARÀH」

“食べる行為”にフォーカスを当てたテクノロジー、“EatTech”が加速する!

高橋氏:新型コロナで飲食業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル技術の発展により生活が豊かに変革すること)が一気に進みました。それに伴い、これからの飲食のキーワードとして、Eat(食べる)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で“EatTech(イートテック)”というキーワードを提唱したいと思っています。これまでにもフードテックという言葉は存在していましたが、それは昆虫食や人工肉などの食材(=food)なども含めた意味合いです。EatTechは、より“食べる行為”にフォーカスを当てたもの。食べること全般、外食はもちろんデリバリーやテイクアウト、モバイルオーダーや産地直送サービスなどにかかわるテクノロジーを指します。これらは新型コロナによって加速し、今後ますます注目されることが予想される。改めて定義する必要を感じました。


そして、DXやEatTechが飲食業界にもたらすのは「マーケティングのパーソナライズ化」、そして「商品開発のスピード加速」の2点だと考えています。その背景には、「消費者行動のデジタル化」があると思います。

ネットの台頭により、10年ほど前から飲食店の「存在のデジタル化」は進んでいました。それ以前までは、消費者が飲食店を知るきっかけといえば雑誌や新聞のような紙の媒体がメイン。しかし、ネットが発達し、グルメサイトやブログの登場によって飲食店の存在を認知する手段がデジタル上に移行しました。これを「存在のデジタル化」と言うことにします。

そして今は、EatTechによって「飲食店の存在」ではなく、「消費者の行動」がデジタル化されようとしています。「消費者の行動」とは、「いつ、誰が、どんなシーンで飲食店を利用するのか」ということ。それがデジタル化され、データとして蓄積される。そしてデジタル化された消費者の行動のデータにも、“点の情報”と“線の情報”があります。例えば、20代の女性がコンビニでお茶を買った場合、スタッフがPOSレジにお客の属性と購入履歴を打ち込んでデータ化されます。この「20代女性がお茶を購入」というデータは、“点の情報”です。ですが、EatTechによって、個人のスマホを活用して“線の情報”を把握することが可能になりました。“線の情報“とは、消費者の一連の行動の流れ。例えば、20代の女性が夕方にコンビニで「ウコンの力」を買う。その晩、居酒屋で友達と合流してお酒をたくさん飲みました。その後はコンビニで酔い覚ましと思われるお茶を購入する…こうしたデータこそが”線の情報“です。情報が点から線となることで、ある程度、消費者の行動パターンやニーズが予測できるようになり、それに沿ったレコメンドができる。より個人にフォーカスを当てた精度の高いマーケティングが可能になり、より消費者が求めるものを作ろうと商品開発のスピードが加速すると考えられます。

そうした”線の情報”が、これからの飲食におけるマーケティングスタンダードになっていくのではと思います。SARAHでも、“線の情報”の取得を目指し、外食ビッグデータサービス「Food Data Bank」と、電子メニュー化サービス「SmartMenu 」をリリースしました。いずれはEatTechの一環としてデータ収集やマーケティングに活用できるサービスに育てて予定です。

飲食DX時代、実店舗が果たす役割とは?

また、新型コロナにより集客の仕方、店舗の役割も変わってくる。今までの集客の方法は、「O to O(Online to Offline)」。SNSやグルメサイトなどのオンラインで集客し、オフラインである実店舗に呼ぶ、という流れが主でした。この場合、店舗は“お金を落としてもらう場所”という位置づけだった。ところが、これからは「OMO (Online Merges with Offline)」、すなわち、オンラインとオフラインの境目が曖昧になる時代が来ると考えています。変わらず新規顧客の獲得はオンラインが中心ですが、一度来店した後のリピートのさせ方もオンラインになる場合が増えてくる。EatTechの発展により、店舗に再来店せずともテイクアウトやデリバリーなど別のかたちでリピーターになることが可能になったからです。そのとき、店舗は単なる“お金を落とす場”から、“体験の場”になる。店舗で楽しい体験をしてもらい、その後、オンライン上でリピーターになってもらうという流れも考えていくべきと思います。これまで飲食店は、お客が来るのをひたすら待つしかなかった。ですが、EatTech によって得たデータをもとにマーケティングし、こちらから来店を促すアクションが可能になる。今まで飲食店の売上は席数×単価×回転で物理的な上限がありましたが、デジタル化によってその上限をなくすこともできる。新型コロナによってEatTechが進み、今はある意味チャンスと言える時期。これからの飲食店経営を改めて考え直す時期に来ていると感じています。

(取材=大関 まなみ)

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