インタビュー

有限会社リヨンブルーアンテルナショナル 代表取締役 安生 浩氏


―“スタッフ=人材”が店づくりの上で重要だということですが、その“人材”を育てることに関して、御社ではどのように取り組んでいらっしゃいますか

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特に教育方法など、決まったルールなどを用いているわけではありません。基本的には各店の責任者に任せています。ただ、全店共通の管理ソフトを導入しているので、売上実績から予算の達成率など、自店やグループ店の経営状況を誰でも確認することができます。この環境は、互いに責任感を持って店の運営にあたるために有効かもしれませんね。
そのほか、ミーティングなどは必要があれば開くといった具合です。人を束ね、組織を動かしていくというより、体育会系で育った僕には、チームプレーがとても性に合っているんでしょうね。構図は部活と同じですよ、キャプテンがいて、部員がいる。それぞれチームメイトが、お客様に喜んでもらいたいという気持ちを持ち、自ら楽しんで働けているか。同じ意識で目標に向かえているかどうか、皆で食事をしたり、旅行をするなかで確かめたりもしますが、短時間労働で、店も儲かっているという状況が維持できれば、モチベーションをキープすることができるし、夢も描けると思います。それが、結果として売上げという形で反映されると思うので、スタッフを信じて、今は見守ることが多いですね。
お陰様で、今は各店スタッフの数も充実し、僕が現場に入る必要も無い状況なんです。

―そうした環境下で育ったスタッフに、「Ginza Termini」(銀座テルミニ)や「curry et les vin PAUL」(ポール)など、店舗を譲られていますが、暖簾分け型の展開についてはどのようにお考えですか

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僕の店舗展開の場合、1号店が有難いことに、お断りをしなくてはならない状況が続いたことから、近くに2号店を“受け皿”的に出店しました。その繰り返しがグループ5店舗を生んだんです。ですから、銀座エリアに集中しているのも自然な流れです。よく、“ドミナント式に出店している”と言われますが、特に戦略的に行なったわけではありませんし、何年で何店舗という出店計画を立てているわけでもありません。お客様の需要にお応えするペースで、これからも出店を考えていきます。
また、暖簾分けについては、独立を希望しているスタッフに、極力リスクを減らして出店をバックアップすることを考えたとき、店をそのまま譲るのが最善だと思ったからです。資金を調達して物件を探し、慣れない場所でお客さんをつけることは、とても大変な事ですし、リスクも高いですからね。ですので、やる気があって意欲を示してくれるスタッフには、そのほかの店舗もすべて譲ってもいいと思っています。

-今後の展開について、今年すでに決定している計画などがあれば教えてください

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今年は、カレーだけに特化した店や、イタリアンの業態などで2~3店舗の出店を考えています。スタッフの得意分野を活かし、今と同じように規模の小さい店舗で展開しようと計画を進めている段階です。

 -最後に、飲食業を通して、最終的に目指しているものや、追い求めている理想などがあれば教えてください

僕の理想は、夫婦2人きりで店をやることです。僕の両親はとても仲が良かったんです。その両親が、酒屋を切り盛りする姿を見て育ちましたからね。ゆくゆくは、育ったスタッフたちに店をすべて譲り、実家の酒屋が存続できて、小さな店を夫婦で営めれば、僕にとってはそれが1番の理想です。

安生浩氏プロフィール

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1969年生まれ。有限会社リヨンブルーアンテルナショナル代表取締役。旅行会社で添乗員として勤務した後、波乗り生活に明け暮れるが、30歳で飲食の道へ。35歳で家業の酒屋を継ぎ、販路拡大のため「Vin de Table Pont du Gard」をオープン。カジュアルワイン業態の先駆けとして業界からも注目を集め、現在では暖簾分けした店舗も含めた5店舗をグループで展開している。

(聞き手 小野茜)

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