インタビュー

他人とは違ったユニークな視野が業態開発の源! “カップケーキ”ブームの火付け役「チャプチーノ」オーナー 福田清盛氏の発想の原点を探る

株式会社 チャプチーノ 代表取締役 福田清盛氏 高校時代にアメリカで食べたパンケーキの味が忘れられず、飲食業界に参入。カップケーキブームを巻き起こした福田清盛氏は、実は現役の予備校講師。ユニークな2面を合わせ持つ福田氏の、独自の店づくりはどこから誕生したのか。


――予備校の講師と飲食業界って一般的にはあまり結びつきませんが…もともと飲食で独立したいと考えていたのですか。

飲食業でというより、パンケーキ屋がやりたかったんです。きっかけは、高校時代にアメリカに滞在したときに、家庭で出してくれたパンケーキ。日本のホットケーキというと、ミックス粉で作る粘度の高いものが一般的で私も好きではなかったのですが、アメリカのパンケーキは全く違って、生地がさらっとしていて、粉っぽくなくておいしかった。当時のアメリカは、経済も豊かでとてもいい時代でした。家庭には料理をするお母さんがまだ健在で、家族団らんの姿がありました。そんなイメージもあって、日本でパンケーキをやりたいと思ったのが最初です。その後、ハワイに行くようになって、ワイキキにいつもすごい行列のパンケーキ店があることを知りました。そこでは、パンケーキの味よりも、そこに並んでいる人たちの客層に興味を惹かれたんです。会話を聞いていると、流行に敏感で、周囲を扇動していく影響力のある人たちばかり。「日本でパンケーキ屋を開業すれば、この人たちが宣伝してくれる」と考えてオープンを決意しました。

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――パンケーキ主体でスタートしたチャプチーノですが、現在はカップケーキでの知名度が高いですよね。

そうなんです。カップケーキは当時、NYではドラマや映画で女の子がお洒落に食べるアイテムとして流行っていて、当初からやりたいと思っていました。ただし、現地そのままではなくて、カラフルな見た目の可愛さはそのままに、味は日本人向けに改良して、まずは本店と、千葉の駅ナカで出したんです。それを見て声をかけてくださったのが、プランタン銀座のバイヤーさん。地下のスイーツフロアに出したお店をきっかけに、メディアにもとりあげられてブレイクしたんです。いまも取材のお話をいただくのはほとんどカップケーキです(笑)。

――次がこの”ソフトプレッツェル”ですね。これもやはり、発想は海外から?

そうですね。やっぱり自分の好きな食べ物が多いのかな。ハワイでもよく食べていましたね。アメリカで流行っているソフトプレッツェルは、ドイツの一般的なプレッツェルと違ってふっくらした生地で、塩味だけじゃなく甘いソースをかけたりもして売られています。これも日本人向けに少し改良をするのに、協力いただいたのが、「マルホン胡麻油」で知られる享保10年創業の老舗・竹本油脂株式会社さん。バターの代わりに製菓用の太白胡麻油を使い、体にやさしい味にもなっています。

――これまで出されたいずれの業態も、福田さんが紹介するまでは日本ではなじみのなかったものばかりですよね。そういう商材を扱うことに不安はなかったですか。

もともと(飲食で)儲けようとは思っていなくて、他の人がやらないまったく新しいことをしたいという気持ちのほうが強いんですよ。ただし、リスクを負わないために徹底しているのが、無借金経営。採算ベースにのせたあとは、FCで続けたいという人がいれば売却して、資金を作ってから次の業態開発にとりかかるのが基本ですし、開業するときのリースも一切しません。プレッツェルも日本全国でブームになるとは思っていませんが、全国的にブームにならない商材だからこそ大手の介入がなく、私たちのような中小規模にもチャンスがあるのだと思います。

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――広尾は、何より店頭にあるプレッツェルマシンの目を引きますよね。店づくりのこだわりはありますか。

エンターテインメントなことをしたいというのも出店理由のひとつなので、演出や内装は自分で考えますね。照明一つで数十万するものがさり気なくあったり、遊び心も大事にしています。また、広尾店で導入した生パスタのメニューには、日清フーズさんの冷凍生パスタ「パスタフレスカ」と、ドライスチームで急速解凍する「ラウンドアップパスタスチーマー」を使用しています。わずか1分で仕上がるので厨房でボイラーを炊きっぱなしにする必要がなく、職場環境の改善にもつながっています。食感も手打ち麺と遜色ないですし、ソースと同タイミングで上げられるので仕上がりもとてもいいですね。私は、あまり国内のケーキ屋さんやカフェは見ないんですよ。自分がパティシエではないので、店づくりが柔軟にできる部分もあると思います。

――最後に、今後の展開を教えてください。

直近では9月1日に、プランタン銀座に新業態のチュロス専門店をオープンします。チュロスというと遊園地とか子供の食べ物というイメージがありますが、ここのコンセプトは「大人のチュロス」。本場のスペインでは、チュロスをチョコレートドリンクに浸して食べるのが一般的です。この店でもそのスタイルを踏襲し、バジルやアルコールの入ったちょっと大人向けのチョコレートソースにつけて提供します。ほかにも、近々実現予定の業態もありますが、それについてはまだ秘密。今後は、パンケーキを主役に、パスタやハンバーガーもあるようなレストランもやりたいですね。

【企業データ】
会社名;株式会社 チャプチーノ
本社所在地;東京都港区海岸3-20-20 ヨコソーレインボータワー23階
設立年月日;2006年
資本金;1000万円
従業員数;正社員 5名
店舗数;直営2店舗、FC5店舗

 

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【福田清盛 (ふくだ よしもり)プロフィール】
生まれはイタリア・ボローニャ。学生時代をアメリカで過ごし、慶應大学文学部卒業後、外資系保険会社へ入社。その後、大手予備校講師を務めるかたわら、長年の夢を実現すべく2006年に「Ciappucino (チャプチーノ)代々木上原店」をオープン。無借金経営をポリシーに、2年間で東京から大阪、広島まで店舗を拡大。カップケーキブームの火付け役として、現在も圧倒的な人気を誇る。

 

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