渋谷に「HUIT（ユイット）」が開業。グローバルダイニングの渋谷「権八」の年商を約2倍にした敏腕店長の独立、イタリアの独占輸入ワインと小皿料理で「人を結ぶ」空間を目指す

「権八」ではチームビルディングを意識し、年商を約2倍に

そこで入ったのがグローバルダイニングの「権八 西麻布」だ。その後、「権八 渋谷」に異動。店長を任され、その後は隣合う店舗の「SUSHI権八 渋谷」との統合店長、2店舗のドリンク開発担当、さらに首都圏の複数店舗を管轄するエリアマネージャーへと昇格していった。渋谷「権八」では、年商3億だったところを5億8000万円にまで伸長する実績を残した。その要因は、インバウンドの増加が追い風にありつつも「チーム作りが功を奏した」と松原氏は言う。「グローバルダイニングで学んだのは、権限移譲。スタッフに権限を渡し成長させていくことで業績は上向きました。60人いたスタッフ一人一人の課題を把握し、コミュニケーションを意識しました」と話す。飲食業では休みなく働かなければならないこと、それゆえに人材が集まらない、定着しないことにも課題を持っていた松原氏。「チームのパフォーマンスを上げてしっかり休みが取れる環境を作ると、自然とスタッフが集まり定着し、人手に困ることがなくなりました。次第に、求人をかけて募集するのではなく、お客様がスタッフになったり紹介でスタッフが入ったりと、よいサイクルが生まれていきました」と振り返る。

独立に関しては「いつかはしたいと思っていたけど、踏ん切りがつかずモヤモヤしていた」という。決心したのは去年の10月。「仲の良い同僚から『お前が独立しないなら、俺がお前を雇ってやるよ』とけしかけられ、その言葉をきっかけに『やってやるよ！』と決心がつきました」と笑う。物件は渋谷「権八」時代の仲間や知人に何度も来てもらえるよう、馴染みの渋谷で探した。予算が少ないながらも路面であることは欠かせないと考え、奇跡的に予算内で見つかったのが同物件だ。「僕以外にも5件の申し込みが入っていたそうですが、大家さんが僕のことを『あのおにいちゃんがいいんじゃない』と言ってくれて、本当にラッキーでしたね」。

コンクリートの壁に、テーブルには木であたたかみをプラスした空間。奥にはワインセラーがあり、あえて扉を付けずに入りやすくしており気軽にワインに触れてほしい狙いだ

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