大阪カレーの多彩な味わいに心酔。現地の人気店「旧ヤム邸」で8年にわたり修業を積む
店主の藤田一也氏は、愛媛県出身。学生時代は大阪へ移るが、そこで大阪のカレー店めぐりをするうち、その多彩さ、味わい深さに感動。自身もプライベートで研究するほどのめり込んでいた。そんな藤田氏は専門学校卒業後、大阪のゲーム制作会社に就職。一方で、当時、人気を博していたスパイスカレーの店「ヤムカレー」に通いつめる中で、オーナー・植竹大介氏と親睦を深める。2007年、ついにカレー愛が極まり、10年ほど勤務した会社を退職し同店に入社。店長職や商品開発、新店立ち上げなど様々な業務を経験した。さらに、2017年には「旧ヤム邸 シモキタ荘」で東京進出し、マネージャーを務めあげる。
その後、独立のため、2020年に退職。ビーキュウ(東京都世田谷区)を設立し、東京での新店舗立ち上げに動いていくこととなる。
大阪のローカルフード・たこ焼きとスパイスを融合。縁深き下北沢で独立開業する
藤田氏が新店開業の地に選んだのは、下北沢だ。その理由を藤田氏は「『旧ヤム邸 シモキタ荘』を営業していたアドバンテージはもちろん、新しいブームに敏感な若い層が多い下北沢は、新たな挑戦をするのにふさわしい街なのではないかな、と感じて」と、語る。店舗のコンセプトは、今までカレー店で培ってきたスパイスの知識を、藤田氏の商売の原点・大阪のソウルフードであるたこ焼きとかけあわせ、「たこ焼き×スパイス」に決定。スパイスたこ焼きを看板に、アジア各国の料理を取り揃えたスパイス酒場として、2021年2月22日に「タコムマサラダイナー」を開業した。
間食とされるたこ焼きをメインディッシュに昇華。炭酸系のドリンクとのペアリングも
フードメニューの開発でもっとも手間暇をかけたのは、やはり看板である「スパイスたこ焼き」(4個380円、6個560円)だ。「小玉で中がトロトロの大阪のたこ焼きは、食事というよりおやつとして認識されているものなんです。これを、メインディッシュとして満足度が高いモノにするために、試行錯誤しました」。生地にはコリアンダーやクミン、カルダモンなどのスパイスを配合。敢えて大玉にすることで、タコだけでなくズッキーニやレーズン、チーズ、コンニャクといった数多くの具材も包み込み、様々な食感や味わいで飽きがこないように工夫している。さらに、タレも3種から選べるようにして、味変も可能。それでいて、大阪たこ焼きの醍醐味である中トロトロはしっかり残したことも、藤田氏のこだわりポイントだ。
たこ焼き以外のメニューは、日替わりだ。自家製の「オリジナルキムチ」(350円)や「インドにないアチャール」(380円~)、「ポテサラ風スパイスサブジ」(360円)といった軽いつまみ。「ラム肉スパイス炒め」(580円)、「豚足豆鼓ソース蒸し」(580円)といった一品料理。「たこ焼き屋さんのスパイスミニカレー」(ごはん有850円、ごはん無750円)など、スパイスをふんだんに使った料理が品書きにならぶ。
また、ランチ営業も。「カオマンガイ」(1000円)や「スパイスカレー」(1200円)といった定番メニューに、「タコム風プルドポークライス」、「ラムスパイス炒め定食」(各1000円)などの日替わりメニューを2種用意している。
ドリンクは、スパイスとの相性を考え炭酸推し。コブミカンの葉が入った「バイマックルサワー」(450円)や「スパイスプーアル茶サワー」(500円)、「クラフトコーラサワー」(550円)といった、スパイスを駆使した自家製のオリジナルサワーが看板だ。また、麦焼酎「銀の水」、黒糖焼酎「太古の黒うさぎ」、芋焼酎の「竃猫」など、本格焼酎はソーダ割に合うものをセレクト。「シェリー酒のソーダ割」(520円)なども勧めている。さらに、ワイン(グラス620円~)は、赤、白、オレンジ、ロゼと幅広いレパートリー。「陸RIKUハイボール」(520円)、「JAMESONハイボール」(500円)など、ウイスキーも数種揃えている。
複数ブランドの展開も計画。たこ焼き激戦区の大阪への逆輸入も視野に
今後は、「たこ焼き×スパイス」のコンセプトで商品をブラッシュアップし、複数業態への展開を考えているという藤田氏。「若者向け、シニア向け、ハイエンド向けといった、単価ごとのブランドを作っていこうと考えています。3年以内には実現したいですね」と、語る。また、ゆくゆくは原点である大阪での店舗展開も計画している。「東京であと数店舗展開したら、大阪に新しいたこ焼きのブランドとして逆輸入したいと思っています。大阪は、たこ焼きの聖地でお客さまの目が厳しく、よそから来たたこ焼き店が成功した事例はほとんどない。けれど、今後、東京でこの業態の実績をつくって挑めば、きっと向こうでもヒットを生み出すことができると思うんです」。
伝統的なローカルフードを独自の切り口でカスタマイズし、新たなムーブメントを狙う藤田氏。今後の展開に注目したい。
店舗データ
店名 | タコムマサラダイナー |
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住所 | 東京都世田谷区北沢2-32-8SSビル2FA店舗 |
アクセス | 小田急線下北沢駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6407-0600 |
営業時間 | 【ランチ】11時45分~14時LO、【ディナー】17時~20時 ※新型コロナウイルスの状況によって変動アリ |
定休日 | 水曜日 |
坪数客数 | 7坪 11席 |
客単価 | ランチ1000円、ディナー3000円 |
運営会社 | 株式会社ビーキュウ |
オープン日 | 2021年2月22日 |
関連リンク | タコムマサラダイナー下北沢(Instagram) |