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国分寺に「炭火酒場 鶏眞」が開業。夜は居酒屋、昼はラーメン。さらにデリバリー、テイクアウトと、変化する飲食業界に対応する多彩なチャネルを備えた「複合業態」で独立!

3月4日、国分寺に「炭火酒場 鶏眞(とりしん)」が開業した。K&Aコンサルティング(東京都渋谷区)代表の近藤大祐氏にとって、独立第一号店となる。夜は朝挽き鶏の炭火焼鳥が看板の居酒屋だが、ランチは鶏白湯ラーメン、デリバリーでは鶏重、テイクアウトでは焼鳥と、多彩な販売チャネルを用意した「複合型業態店舗」だ。まずは同店でトライ&エラーを重ね、将来的には「鶏眞」を、どんな条件に対しても柔軟に対応できるマルチな業態として展開することを目指し、独立の第一歩を踏み出した。

駅から歩いて数分の商店街の入り口に立地。昼は買い物客や学生、夜は帰宅途中のサラリーマンがターゲットだ
幅広い人数に対応するべく、テーブルとカウンター両方を設置。カウンターでは、おひとり様限定メニューやコースも用意するなど、抜かりない
ディナーは、看板の焼鳥や蒸し鶏、つくねのほかにも、鶏を使った居酒屋メニューが品書きに並ぶ
自家製シロップを使ったクラフトサワー(手前)とダルマ焼酎。単品メニューでジョッキの大きさを選んだり、ボトルキープで好み割り方をしたりと、お客の体験価値も重視している
高校卒業後、和食や焼鳥を経験し33歳で独立した近藤大祐氏

(取材=高橋 健太)


調理師免許を取得後、和食業界に。「やきとり宮川」では店舗立ち上げや採用、教育、コンサルなど幅広く経験

JR国分寺駅を出て線路沿いの商店街を少し歩くと、ほどなくして「炭火酒場 鶏眞」が見えてくる。夜は居酒屋、昼はラーメン店と、時間帯によって全く異なる業態を展開。加えてテイクアウトやデリバリーでも専用メニューを用意し力を入れている。「まず、『複合業態』というコンセプトを決めてから、条件に合う立地を選びました」と、オーナーの近藤大祐氏。綿密に練られた事業計画は常に「5年先の展開」を見据えている。

幼少期から飲食業界に憧れを持っていた近藤氏は、中学校卒業後、調理師免許取得が可能な高校に入学し、3年間を過ごす。卒業後は、複数の和食店舗を経営する会社に就職し、少人数の会食向けの料理から大人数の宴会料理など、様々な状況に対応できる技術を習得していった。

その後、知人の紹介で「やきとり宮川」を展開する宮川商店に就職。その頃は同社が店舗展開に力を入れていたため、店舗の立ち上げやスタッフの採用、教育、店舗コンサルなど、幅広い業務を経験した。「あの時期に様々な仕事を経験させていただいたことが、現在進めている事業の考え方に繋がっています。本当に感謝していますね」と、近藤氏。同社に勤めて10年の節目となった2020年に退社し、K&Aコンサルティングを設立。自店舗の開業へと動き出す。

「複合業態での店舗展開」という事業計画を立て、独立へ。コンセプトから立地条件を絞って物件を決める

近藤氏は開業の準備段階で事業計画を練り込んだ。まず決めたのは「複合業態」という店舗コンセプトだ。近藤氏は「飲食業界が、コロナ禍によって従来の常識が通用しなくなっていることを体感していました。そのような中で、将来新たな危機が訪れる可能性を考えると、単一業態での出店はリスクが大きいと思ったんです」と、語る。ひとつの店舗の中でランチ、ディナー、デリバリー、テイクアウトとメニューの異なる業態を展開し、それぞれにターゲットを選定。各業態の専門店化を図った。

立地条件も綿密に絞り込んだ。「街に美容室があれば、土日に人が集まりやすい」「フィットネスジムがあれば、健康に気を遣う層が暮らしている」「ファストフード店が多ければ、デリバリーの需要も見込める」といった数多くの仮説を立て、路線の特色や乗降客数もしっかりとリサーチ。家賃や広さなどの物件情報も加えて徐々に候補を絞り込み、JR国分寺駅から歩いてすぐの場所で理想の物件と出合った。その後すぐに開業準備を進め、3月4日に「炭火酒場 鶏眞」をオープンさせる。

塩加減を選べる焼鳥やコスパ重視のボトルキープなど、顧客ファーストのメニュー構成

店舗の看板は、朝挽きの新鮮な鶏肉。ディナーはそれを炭火で焼鳥にする居酒屋スタイルだ。「ねぎま」や「せせり」、「レバー」、「はつ」(190円~)といった定番串から、「ちょうちん」、「さえずり」、「肩トロ」(各250円)といった変わりダネの限定串などが品書きに並ぶ。同店の焼鳥は注文の際に1本1本味付けの濃さを聞く「味加減」が特徴で、お客の好みやその日の気分に応じて選べることで顧客満足度を向上させたい狙いだ。また、長時間スチームコンベクションで火を通したほろほろの食感が魅力の「ほろほろ蒸し鶏」(1・2人前1090円、3・4人前1980円)も名物。こちらは、営業終了後に鶏肉をスチームコンベクションに入れておき、翌朝のスタッフ出勤時には出来上がっているという工程で、手間をかけずに作っている。さらに、その際に肉から出た出汁は、次の日のランチでラーメンのスープに使う。食材の有効活用に加えて、仕込みにかかる人的リソースの削減も図るためのオペレーションだ。そのほか、串に「当たり」と書いてあったらもう一本が無料になる「つくね棒」(680円)や、ニラ玉の中に温泉玉子の入っている「ニラたまたま」(580円)など、メニューに遊び心も加えている。

ドリンクは、甲類焼酎「ダルマ焼酎」のボトル(小瓶1900円、一升瓶3980円)が推しだ。「ボトルキープにすることで、お客様にコスパの良さを感じていただき、来店機会を増やすことが狙いです」と、近藤氏。割り物は、「国産レモン」や「国産はっさく」、「国産キウイフルーツ」(各500円)といった果実をペーストして作ったシロップや、店で水出ししている「西尾の抹茶」、「にごりウーロン茶」、「香ばしコーン茶」(500円)など、全て自家製にすることで、メニューのクオリティを底上げ。もちろん、これらの割り物はボトルだけでなく「クラフトサワー」や「お茶割り」(380円~)といった単品メニューとしても用意していて、「小」から「メガ」まで4段階のジョッキサイズで、お客の選択肢を広げている。さらに、「『焼鳥にはサワー』という定番を浸透させたくて」と、「黒霧島」や「海」、「吉四六」といった本格焼酎(380円)の炭酸割りにも注力。そのほか、「生ビール」(一口280円~)や「日本酒」(980円)、「ワイン」(グラス510円~、ボトル2980円~)などの定番ドリンクも用意する。

ディナーの居酒屋メニューから一転し、ランチでは周辺に多くいる学生の客層を見越して、メニューを「鶏こく白湯ラーメン」(醤油・しお各850円)や「生チャーハン」(800円)、「ドライカレー」(800円)の3品に厳選。デリバリーは提供フローの効率化を重視し、調理に時間のかかる焼鳥ではなく「鶏重」(1100円)を提供。その一方、テイクアウトはディナーの宣伝も兼ねて、「ねぎま」、「せせり」、「レバー」などの定番串に絞り、店内飲食よりも価格を下げて販売。購入の間口を広げている。

将来を見据えた理念とスピード感ある経営で、飲食業界に携わる人々の土壌を作る

近藤氏は、今後は「炭火酒場 鶏眞」でトライ&エラーを繰り返し、夜の居酒屋・昼のランチ・デリバリー・テイクアウトの各業態をブラッシュアップしていく意向だ。「鶏眞」をブランド化し、ライセンス事業を行うことも視野に入れているという。また、ディナーは将来的に高単価帯、中単価帯、低単価帯で3ブランドに分け、立地条件に応じた出店をしていく見通しだ。

同店ではオープンから間もない現時点で、アルバイトを含めた28人ものスタッフが在籍。先々の店舗展開を見据え、スタッフ教育や労働環境の整備にも力を入れている。「弊社の理念は『人と人とのつながりを作り、仲間たちと未来を作る』です。これを実現するため、飲食業界に関わる人材の働く土壌を良いものにしていきたいと考えています」と、語る。
近藤氏の壮大な計画は、まだ始まったばかり。今後の展開に期待が膨らむ。

店舗データ

店名 炭火酒場 鶏眞(とりしん)
住所 東京都国分寺市本町4-1-10 1F

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アクセス JR中央線国分寺駅から徒歩3分
電話 050-5851-0818
営業時間 【平日】11:30~14:00(13:30L.O)、17:00~24:00(23:30L.O)【土・日・祝】11:30~24:00(23:30L.O)
定休日 不定休
坪数客数 24坪 45席
客単価 ランチ850円、ディナー3700円
運営会社 K&Aコンサルティング合同会社
オープン日 2020年3月4日
関連リンク 炭火酒場 鶏眞(HP)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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