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「トーキョーギョーザクラブ」「不純喫茶ドープ」に続く新業態「不健康ランド 背徳の美味」が根津に開業。銭湯を改装し、「最高にトトノワナイ体験」を提供するネオ酒場

12月18日、根津に銭湯を改装した酒場「不健康ランド 背徳の美味」がオープンした。コンセプトは「心の洗濯、入れる一服」。銭湯=健康をアピールするのではなく、あえてジャンク感を出し「最高にトトノワナイ体験」を提供する。昭和の趣を色濃く残した空間で、銭湯になぞらえたドリンクやフードを楽しめる店づくりが若者に刺さり、プレオープン時からSNSを中心に話題を集めている。運営は「トーキョーギョーザクラブ」「不純喫茶ドープ」を手掛けるwackwack creative。既存2業態も巧みなSNS戦略で人気店に仕立てあげてきた、代表の井川裕介氏に開業の経緯を聞いた。

店の入口は銭湯の裏口部分。客席は女湯の脱衣所と洗い場部分、厨房が浴槽部分だった場所からなる。天井が高く、銭湯ならではの解放感も
脱衣所のロッカーも活用。上段はメニューの食品サンプルをディスプレイし、フォトスポットに
オリジナルの牛乳瓶で提供される「牛乳ハイ」(480円)/photo by kamometomachi
「ポテトフライ 魔法の粉と」(420円)。小さなパケ袋に入った白い粉が添えられており、背徳感を誘う。中身はオリジナルの香辛料だ/photo by kamometomachi
wackwack creative代表の井川裕介氏。HIPHOP好きで、分かる人には分かる仕掛けが店内にも随所に仕掛けられているそう

(取材=田窪 綾)


経年変化した銭湯を居抜きで酒場化。リアルなレトロ感に新しさをミックス

根津駅から徒歩1分、築70年の「宮の湯」跡地をリノベーションした2階建てのSENTOビル。スケルトンの賃貸区画もある中で、経年変化した女湯の空間を生かして酒場化したのが「不健康ランド 背徳の美味」だ。経営はwackwack creative(東京都千代田区、代表取締役:井川裕介氏)。バーベキュー事業を展開するREALBBQが飲食店運営のため新たに立ち上げた関連会社で、2019年12月の神田「トーキョーギョーザクラブ」を皮切りに、2020年7月には中野、10月には上野御徒町に「不純喫茶ドープ」を開業。同店が4店舗目となる。

もともと物件情報を眺めるのが好きという井川氏。廃業した銭湯の物件を見つけた時、「ここで飲める環境を整えたら絶対に面白くなると思った」という。内装はこれまでと同様に専門業者を入れず自社のスタッフでDIY。入口すぐの脱衣所は2~4名掛けのテーブル席に、洗い場の中心にある浴槽だった部分は厨房に。それを囲むようコの字型にカウンター席を配している。今では手に入らない希少なタイルもそのまま活用。蛇口やシャワーなどもあえて残し、“銭湯で飲む”という背徳感のある異体験を演出した。ここにポップな店のロゴや豚のネオンサインなどの装飾を施し、古さと新しさをミックスさせている。鉄さびの浮く壊れた体重計は針が0㎏から動かないことを逆手に取り、「ここではいくら食べ飲みしても太らない」というユーモアを交えたメッセージを伝えている。

「社名のwackwack creativeの“wack”は、スラングで“ダサい”や“クソ”という意味。役目を終えたものに我々ならではの色を加え、わくわくしたものを創るのが当社のコンセプトです」と井川氏。このスタンスは古い純喫茶を活用した喫茶兼酒場「不純喫茶ドープ」の考え方にも通じる。

「誰かに言いたくなるコンテンツ」を意識した店づくり

メニューも銭湯になぞらえたものを採用。ドリンクの売れ筋はお店のロゴ入り牛乳瓶で提供する「牛乳ハイ」。「コーヒー牛乳ハイ」「フルーツ牛乳ハイ」(いずれも480円)など4種を展開しており、見た目の可愛さからSNSでもお客が撮った写真が多く上げられている。緑茶や烏龍茶を窒素充填しながらサーバーで注ぐ「ニトロ茶割」(玄米緑茶ハイ、白桃烏龍ハイ、各480円)も人気。芳醇なお茶の香りとクリーミーな口当たりが評判だ。その他、ビール、サワー、キンミヤ割などを用意する。

フードは店名の「背徳の美味」のように、つい手が伸びてしまうような中毒性の高い料理を提供。ほぐして揚げたえのき茸に魔法の粉をかけた「魔法のキノコ」(420円)や、ブリの竜田揚げと大葉のサラダ「大葉のブリブリサラダ」(420円)、ガリをタルタルソースに加えた「鶏の唐揚げ 自家製タルタル」(580円)など。「不純喫茶ドープ」で人気のピリ辛ソーセージにピーマンを添えた「和牛チョリピー」(580円)など姉妹店で人気の料理もラインナップする。

目的来店で集客は上々。今後は飲食を軸にした異業種展開を視野に

井川氏は「最近、事業者からの発信と比べて個人が発信する情報の方が価値が高くなっているように思います。内装もメニューも『誰かに言いたくなる』コンテンツづくりを常に意識しています」と話す。狙い通り、有料の販促なしでもSNSでの注目度は抜群で、目的来店の20~30代を中心に集客は上々だ。体験としての面白みを味わってもらうためテイクアウトは実施しない方針だが、「地方在住でなかなか来店できない人にもお店の雰囲気を感じてもらいたい」と、ECでオリジナル牛乳瓶やTシャツなどのグッズ販売を展開。来店後「家でも楽しみたい」と購入するお客も多い。

今後は店舗経営をさらに強固にしていくほか、「アパレル展開など異業種をクロスオーバーさせていきたい」と井川氏。スナックビルやシャッター商店街のプロデュースにファッションブランドとのコラボ、コンビニスイーツ開発など、さまざまな展望を語ってくれた。店舗営業だけにとどまらない井川氏のユニークなブランド戦略に注目したい。

店舗データ

店名 不健康ランド 背徳の美味
住所 東京都文京区根津2-19-8

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アクセス 根津駅から徒歩1分
営業時間 平日17:00~23:00、土日祝15:00~23:00※コロナ対策のため変動の可能性あり
定休日 不定休
坪数客数 22坪32席(内カウンター22席、テーブル10席)
客単価 3000円
運営会社 wackwack creative株式会社
オープン日 2020年12月18日
関連リンク 不健康ランド(Twitter)
関連リンク 不健康ランド(Instagram)
関連ページ トーキョーギョーザクラブ(記事)
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※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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