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コンセプトは「ネオ場末」。アラ大根・煮込み・ロールキャベツを売りにした「食堂 西小山」が、「ヒロバ型創造施設 Craft Village NISHIKOYAMA」にオープン!

11月6日、西小山駅前に「ヒロバ型創造施設」として開業した「Craft Village NISHIKOYAMA」に、「食堂 西小山」がオープンした。空間デザイナーの山田洋介氏と、元グローバルダイニング「モンスーンカフェ」総料理長の松尾雄紀氏がタッグを組んだ店だ。二人のタッグは恵比寿の「チャイニーズビストロ802」に続いて2店舗目で、今回は西小山の土地柄に合わせて「ネオ場末」をコンセプトにし、料理はアラ大根・煮込み・ロールキャベツを売りにしている

西小山駅前に開業した「Craft Village NISHIKOYAMA」は、1・2階合わせて200席以上の屋外席がある。テナントはすべてコンテナで構成。利用客は店で買った料理やドリンクを、屋外席の好きな場所で楽しむことができる
「食堂 西小山」は4坪弱のコンテナに出店。店頭の暖簾の文字は、知人の書道家に書いてもらったもの。イートイン客は通常会計で、屋外席の利用客はキャッシュオンスタイル。屋外席の利用客にも、店内と同じ皿・グラスで商品を提供し、セルフで返却してもらう
店内にL字型の8席のカウンター席を用意。冷蔵庫に並べた「バイスサワー」や「ラムネ」の瓶も、「昔ながらの雰囲気」を醸し出している
看板商品の「アラ大根」。大きな大根に、アラのだしの旨味が染み込んでいる。味付けは濃くなり過ぎないようにし、酒の肴としての美味しさを追求した
もつは使わず、肉は牛すじのみの「煮込み」。野菜をたっぷり使っているのも特徴で、味付けは醤油ベース。味噌は隠し味程度に使う
右から山田洋介氏、店長の町田利輝氏、松尾雄紀氏と妻の久美さん

(取材=亀高 斉)


200席以上の屋外席。店舗のテナントはすべてコンテナ

「食堂 西小山」の運営は、商業施設などで数多くの空間デザインを手掛けているH・I・Design(東京都目黒区)。代表の山田洋介氏は、2019年7月、自身初の直営飲食店となる「チャイニーズビストロ802(ハチマルニ)」を恵比寿に出店している。同店でタッグを組んだのが、元グローバルダイニング「モンスーンカフェ」総料理長の松尾雄紀氏。松尾氏が2018年5月に開業した「VegeHolic代官山」の店舗デザインを、山田氏が手掛けたことをきっかけに二人の親交は始まった。以前から「自分でも飲食店をやってみたい」と考えていた山田氏と、メニューや業態開発のプロデューサーとしても活躍する松尾氏がタッグを組んで誕生した新感覚の中華ビストロが「チャイニーズビストロ802」だ。

「食堂 西小山」は、二人のタッグによる第2弾。同店は、まず出店した施設が異彩を放っている。11月6日、東急目黒線・西小山駅前に開業した「Craft Village NISHIKOYAMA」で、同施設は「ヒロバ型創造施設」として1・2階合わせて200席以上の屋外席がある。さらに、同施設のキーワードは「クラフト」「サステナブル」「コミュニティ」。現代の人々の憩いの場となるべく新しい街づくりのカタチに挑戦している施設で、テナントは12を用意。テナントがすべて「コンテナ」である点も大きな特徴だ。山田氏と松尾氏が最初に見に来た時には、まだ施設はできていなかったが、「かっこいい施設になりそうだし、駅から近くて立地もいい」ということで出店することを決めた。

昔からあったような店で、なおかつ半歩グレードアップ

「食堂 西小山」のコンセプトは「ネオ場末」。「西小山を歩いてみると、昔ながらの飲み屋も多く、いい意味で場末感が残っている街だと思いました。そこで、昔から西小山にあったような感じの店で、なおかつ半歩グレードアップさせた店にしました」と山田氏は話す。

「Craft Village NISHIKOYAMA」のテナントのコンテナは、「10フィート」(2坪弱)と「20フィート」(4坪弱)の大きさがある。テイクアウト専門店などは「10フィート」で出店しているが、「食堂 西小山」の店舗は「20フィート」で、店内に8席のカウンター席を設けた。「敢えてデザイナー感や新品感を出さないようにした」という内装は、壁に貼られた手書きのメニュープレートや、カウンターバックの冷蔵庫に並べたバイスサワーやラムネの瓶が「昔ながらの雰囲気」を醸し出しており、お皿を傘にしたユニークな裸電球が空間のアクセントになっている。さらに、看板商品の「アラ大根」の鍋を店頭に、「煮込み」の鍋も外から見えるカウンターの上に置く。「外から中が丸見えなので、調理場もカウンター席も全体がディスプレイになるようにした」店舗デザインで、思わず立ち寄りたくなる空気感を演出している。

美味しくて迫力があってストーリー性もある「アラ大根」

料理は「アラ大根」(700円)、「煮込み」(600円)、「ロールキャベツ」(1個300円)の3つが看板商品。「アラ大根」は、松尾氏が知り合いの業者に捨てずに取っておいてもらった金目鯛やクエなどの頭や尾、骨を使いながら、アラのだしの旨味が染み込んだ大根の美味しさを魅力にしている。アラと一緒に大きな大根を2個盛り、見た目にも迫力がある。「食材をムダにすることなく有効活用した手作り料理」というストーリー性が、「Craft Village NISHIKOYAMA」が掲げる「クラフト」にもマッチしたメニューだ。「煮込み」は敢えてもつを使わず、肉はトロトロに煮込んだ牛すじのみ。白菜、大根、人参、ゴボウ、玉ネギで、野菜たっぷりも特徴にしている。「ロールキャベツ」は、「アラ大根」のだしも使った和風仕立てで、1個単位で注文できる手軽さも好評だ。

その他の主な料理は、「冷やしトマト」(350円)、「よだれ鶏」(650円)などの「とりあえず一品」(4品)、「豚の生姜焼き」(850円)、「麻婆豆腐」(650円)などの「おかず」(3品)、「豚レタス巻き串」(300円)などの「野菜巻き串」(3品)、「アジフライ」(550円)などの「揚げ物」(4品)、「刺身盛り合わせ」(950円)などの「旬の味」(3品)、「締めの牛すじカレー」(750円)、「牛すじとう飯」(650円)などの「ご飯もの」(2品)で構成。4坪弱しかない店舗で調理場も狭いため、料理の品数は絞っているが、串ものや揚げ物、刺身までを取り揃え、大衆酒場のリーズナブルな価格で提供する。「チャイニーズビストロ802」で人気の「よだれ鶏」と「麻婆豆腐」を、さりげなく大衆酒場のメニューに組み込んでいるのも同店のちょっとした個性だ。一方、ドリンクは、ビール、ハイボール、サワー、ホッピー、日本酒、焼酎などを満べんなく用意。日本酒は「國稀」(北海道/180ml・550円)や「陸奥八仙」(青森/120ml・650円)、焼酎は「泥亀」(長崎)の麦・芋(各550円)を売りにしている。また、同店は11時30分から23時(取材時は22時)までの通し営業で、15時まではランチメニューも提供。「アラ大根定食」(850円)や「刺身盛り定食」(1000円)など、つまみ料理を定食のおかずにも応用して6品のランチメニューを開発している。

住宅街が広がる西小山で、「地域密着」を大切に!

「食堂 西小山」は、オープン景気もあった11月の土日は日商38万円を達成。店内は8席しかないが、屋外席が200席以上ある集客力をいかんなく発揮した形だ。12月は寒さが厳しくなったこともあって売上は落ち着いたが、「Craft Village NISHIKOYAMA」の形態には大きな手応えを感じているという。4坪弱の規模だけで考えると、家賃は一般的な路面店より割高だというが、コンテナの小規模テナントは中小の飲食店が低投資で出店しやすく、なおかつ、コロナ対策にもなる屋外席で集客を見込めるメリットが大きいのである。

12月12日には、「Craft Village NISHIKOYAMA」のまだ空いていたテナントに、グローバルダイニングで松尾氏とともに働いていた富田ピーラパット氏が、タイ料理店の「GOGO SIAM」をオープン。「この施設は出店しているのが小規模店だけで、店同士のコミュニティも作りやすい」(松尾氏)環境の中で、さらに「仲間の店」ができた。このように「Craft Village NISHIKOYAMA」は、いろんな面で飲食店関係者にとって非常に興味深い形態の施設。中でも山田氏と松尾氏の強力タッグによる「食堂 西小山」は、特に注目の存在だ。今後の方向性としては、「最初の1ヵ月で、地元の人たちに喜んでもらえている感触がありました。後は、これをどう根づかせるかが勝負」(山田氏)、「今回の店は人間力が重要。とにかくお客さんといっぱいしゃべって様々な声を聞きながら、よりいい店にしていきたい」(松尾氏)と話すように、駅から少し歩けば住宅街が広がる西小山の地で、何よりも「地域密着」を大切にした店づくりを進めていく。

店舗データ

店名 食堂 西小山
住所 東京都目黒区原町1-7-8 Craft Village NISHIKOYAMA内

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アクセス 西小山駅から徒歩30秒
電話 03-3710-2100
営業時間 11:30~23:00(取材時は22:00)
定休日 月曜(月曜が祝日の場合は火曜)
坪数客数 4坪弱・8席
客単価 1500~2000円
運営会社 H・I・Design株式会社
オープン日 2020年11月6日
関連リンク H・I・Design(HP)
関連リンク VegeHolic代官山(Instagram)
関連リンク チャイニーズビストロ802(記事)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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