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丸の内にスペイン料理業界を牽引するV&Kの4店舗目「バル・ポルティージョ・デ・エスパーニャ」がオープン。初の商業施設、テラス付き路面店に挑戦!

11月5日に新規開業した複合商業施設「丸の内テラス」に、スペインバル「バル・ポルティージョ・デ・エスパーニャ」がオープンした。ミシュランガイド・ビブグルマンで6年連続選出の代官山「アロセリア サル イ アモール」などを有するV&Kが運営。オープンエアーが特徴的な路面の立地で、同社の看板でもあるパエリアを軸にスペイン各地の郷土料理を展開する。プレオープンでは予想以上の来客数により急遽メニューを再構築。当面はリーズナブルなショートコースのみに切り替えるなど臨機応変に対応し、早くも人気店への兆しを見せている。

緑豊かな丸の内仲通りに面した、開放感のあるテラス席
スペインを始め、ヨーロッパのアンティークを配したインテリア。カウンター席ほか、店奥には半個室になる10席のテーブル席がある
V&Kのパエリアは濃厚な特製⿂介出汁に、深い旨みを加えるスペイン産乾燥パプリカ「ニョラセカス」を使用。お米は食べ比べて厳選した山形産はえぬきを使っている
「バル・ポルティージョ・デ・エスパーニャ」の皆さん。左から3番目がガルシア氏。社員数は20名を超え少しずつ大きな組織に

(取材=田窪 綾)


『パエリアならこの店』を目指し開業。ビブグルマンにも名を連ねる繁盛店に

1階の飲食店すべてにテラス席を有する、東京・丸の内の複合商業施設「丸の内テラス」。その一角、特に広い35坪の敷地に、スペインの田舎町にあるバルを彷彿とさせる「バル・ポルティージョ・デ・エスパーニャ」がオープンした。運営会社は都内でお米料理専門のスペイン料理店を展開するV&K。多種多彩なパエリアを軸に据え、スペイン各地の郷土料理を提供する。

代表のビクトル ガルシア氏 はスペイン人の父と日本人の母をもつ日本育ち。幼少期から父の故郷であるスペインを訪れ、さらに2年間の語学留学で本場の食文化をも学んでいる。学生時代から父が経営する青山の老舗スペイン料理店「エル・カステリャーノ」で7年、サービスやマネジメント業務に従事。その後「父の店とは違った形で自身の理想とするスペイン料理店を作りたいと」2012年、スペインで料理修業を経て帰国した旧知のシェフとともに、代官山にスペインの米料理専門店「アロセリア サル イ アモール」をオープンした。ガルシア氏は「当時、パエリアを中心にしたメニュー構成を実践しているスペイン料理店は他にありませんでした。お米好きの日本人にはきっと受け入れられるはず。『パエリアならこの店』と言われるような店を作りたかったんです」と当時を振り返る。

本格的な味や雰囲気から常連客が付き、坪月商最高額47万を売り上げるほどの繁盛店に成長。スペイン人客も「故郷の味を安心して楽しめる」と通うほどだ。2017年には「自分たちの手で代官山店のライバル店を作ろう」と、銀座に2店舗目となる「ラ パンサ」をオープン。スペインの田舎にあるような店をイメージした代官山店の雰囲気とは少し変え、銀座店はスタイリッシュな空間でスペイン料理を楽しめるようにした。定休日あり、ディナーのみ営業にも関わらず、こちらも坪月商最高額44万を記録する人気店に。先日発表されたミシュランガイド東京・ビブグルマンでは、代官山店は6年、銀座店は3年連続掲載を更新している。

日の移ろいを感じられる路面店で、スペインさながらのバルを表現

V&K系列店で共通するのは「日本でスペインを感じられる店作り」。そのコンセプトを大切に、よりカジュアルでリーズナブルな店を作ろうと始めたのが、2019年にオープンしたバル業態の中目黒「バル・ポルティージョ・デ・サル イ アモール」と、丸の内テラスの4店舗目「バル・ポルティージョ・デ・エスパーニャ」だ。丸の内テラスは三菱地所が主体で進めた商業施設。既存店とは異なり、テラス席へと続くガラス扉を大きく開け放つことができるオープンエアーの路面店だ。「以前から商業施設出店のオファーはありましたが、ビルインの物件ではバルの雰囲気を再現しにくいと躊躇していました。この物件はビルの中でも外に面していて、昼・夜それぞれの良さが感じられる。ここならスペインさながらのバルを東京で表現できるのでは」とテナント出店のオファーを受けたという。

丸の内という都内中心地に新規開業する商業施設での出店。店作りにはつい力が入ってしまいそうだが、ガルシア氏は「高級感が出すぎてしまわないよう、できるだけ引き算の店作りを心掛けました」と話す。店舗デザインはリベロの鈴木健二氏。その理由については「以前からいいなと思うお店はどれも鈴木氏のデザイン。次出店する際は依頼しようと思っていました」。

カラフルなスペイン陶器に、鉄錆が味わい深い大きなペンダントライト。使い込んだヨーロッパのアンティーク家具を配し、調度品から温かみを感じられるようなインテリアに。気後れせず誰でも気軽に入れるバルになるよう心を配ったという。

日本人にも馴染みのある食材で、スペインの郷土料理を提供

丸の内店のメニューは「お米料理も充実したスパニッシュバル」がテーマ。パエリアの品揃えは20種以上。ひとり客でも注文しやすいようSサイズ(1650円~)も用意した。また、魚介出汁をたっぷり使う「メロッソ」、鉄鍋で炊く「カルデロ」などもラインアップに。その他、濃厚なマダコを使用した「パプリカマヨネーズで食べるタコのガリシア風」や「ナスのフリート サルモレホ添え」など、日本人にも馴染みのある食材で一風変わった郷土料理を提供する。

酒類はカジュアルでリーズナブルなものを表に。ワインは赤・白グラス550円~、ボトルは2800円~。他、サングリアやスペインのスパークリングワイン「カバ/ラ ロスカ ブリュット(グラス620円)」、バスク地方の地酒で高い所から注ぐ白ワイン「チャコリ」、リンゴ酒「シドラ」 (いずれも600円)を揃える。それとは別に「お客が特別な日でも利用できるように」とハイグレードなワインリストもある。

予想以上の来客に苦戦、オープン2日前にメニューを再考する事態に

V&Kではこれまでオープン時に取引業者などを招くレセプションを行っているが、今回はPR会社を利用するなど特に集客に力を入れ、様々なキャンペーン企画も練っていた。その効果もあってか、2日前に一般客向けに行ったプレオープンでは1日に100名以上が来店。想定していたオペレーションでは難しくなり、急きょメニューを再考することに。「冷菜3点盛り」「ナスのフリート」「ホタテとアリオリソースのオーブン焼き」ほか、「5種から選べるパエリア」と「一口デザート」の6品構成の「オープン記念ショートコース」(2600円)のみでの対応を決めた。ガルシア氏は「お客様に申し訳ない気持ちから、自信のあるメニューを少しでもリーズナブルにと考えたコースでしたが、満足感があると好評をいただいています」。また、ランチは「4種から選べるパエリア」にサラダとスープが付くセット(1750円)も好調だ。

オープンから1ヶ月が過ぎ、少しずつ落ち着き始めた同店。来店客は女性が多めだが、平日は近隣に在勤する会社員、土日はカップルやファミリーなど幅広い年代が訪れる。今後は折を見て、予定していたアラカルトの提供を開始するとのこと。「誰でも気軽に訪れることができるスペインのバルが僕の理想。東京のど真ん中で、目指す形に作り上げていきたい」とガルシア氏。企業としては「数年前より温めてきたEC企画にも着手していきたい」と話す。

店舗データ

店名 バル・ポルティージョ・デ・エスパーニャ
住所 東京都千代⽥区丸の内1-3-4 丸の内テラス1F

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アクセス 東京駅丸の内北口から徒歩4分、大手町駅B1b出口直結
電話 03-6256-0305
営業時間 平日11:30~14:30(LO14:00)、17:00~23:00(LO22:00)/土曜11:30~23:00(LO22:00)、日曜11:30~22:00(LO21:00) (※土日ランチはLO 15:00)
定休日 無休(施設に準ずる)
坪数客数 35坪75席(内スタンディング10席、テーブル45席、テラス20席)
客単価 5000円
運営会社 株式会社V&K
オープン日 2020年11月5日
関連リンク バル・ポルティージョ・デ・エスパーニャ(HP)
関連リンク バル・ポルティージョ・デ・エスパーニャ(Instagram)
関連ページ アロセリア サル イ アモール(記事)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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