広告業界での経験を生かして、“売れる”業態を模索
折しものクラフトビールブームにより、「グラウラー」によるビールの量り売りが少しずつ浸透しているが、このほど渋谷に誕生した「TAP&CROWLER」は、アルミ缶に詰める「クラウラー」による量り売りを全面に押し出した新業態だ。オーナーの金井圭司氏はバックパッカーとして世界を旅した後、広告制作会社に籍を置き、30歳を前に独立してシェアハウス事業を興した人物。そんな金井氏が下北沢に「TAP&GROWLER」を立ち上げたのは、2018年3月のこと。当時まだ珍しかったグラウラーにいち早く対応し、同店は瞬く間にクラフトビールファンの心を掌握、今では界隈でよく知られる人気店となっている。そのヒットの秘訣を金井氏は、「広告の世界で営業をやっていた経験から、コンセプトで他所と差別化しなければ売れないことがわかっていた」と語る。
クラウラーを前面に打ち出した「TAP&CROWLER」のコンセプトもまさしく、「まだ誰もやっていないことをやらなければ、他店と差別化できない」という思惑があればこそ。全22のタップは国産クラフトビールが中心で、取材時には伊勢角屋麦酒(三重県)や反射炉ビア(静岡県)、VERTERE(東京都)など、各地の人気ブルワリーのビールがずらりと並んだ。また、オープンに合わせてBe Easy Brewing(青森県)やライオットビール(東京都)とコラボしたオリジナルビールもリリースされ、フリークの関心を呼んでいる。価格設定は銘柄により様々で、たとえばBe Easy Brewingとのコラボビールはハーフパイントで916円、3/4パイントで1282円、クラウラーによるテイクアウトの場合は1オンス75円となっている。なお、2店舗目出店の経緯について、金井氏は次のように語る。
「このコロナ禍の中にあっても、下北沢の『TAP&GROWLER』の経営は思いのほか好調で、この8月には7.3坪の店舗で400万円以上を売り上げました。もともと多店舗展開を視野に入れていたこともあり、これなら十分に勝負できるだろうと考えたのが、2号店の出店を決めたきっかけです。コロナ禍は誤算でしたけど、渋谷の中心部でありながら喧騒とは無縁のこの立地が気に入って、出店を決意しました」
窒素配合のクリーミーな泡でビールをさらに美味しく提供
タップリストは「お客さまに喜んでもらえる、人気銘柄にこだわっている」という他、提供の際にはタップの炭酸に窒素を配合することで、クリーミーな泡をのせる工夫を凝らしている。ビールに飲み飽きたら、下北沢でも絶大な人気を博している自家製「クラフトレモンサワー」(728円)もおすすめだ。また、ドリンクだけでなくスナック類など乾き物も用意しているが(300円~)、「持ち込みは自由なので、皆さんそれぞれ好きなフードを調達して飲みに来てもらえれば」と金井氏は言う。
1年以内に軌道にのせ、将来は自家醸造を視野に入れる
そんな金井氏の本来の目標は、自社でビールを醸すブルワリーを立ち上げること。2つのビアバーはその布石であると明言し、「『TAP&CROWLER』を1年で軌道にのせ、その後はブルワリー設立に向けて動き始めたい」というのが近い将来の青写真だ。「TAP&GROWLER」並びに「TAP&CROWLER」において、自家醸造のビールが飲めるようになる日も、そう遠くないかもしれない。
内装のコンセプトは「男の遊び場」。現在は下北沢から流れてくる常連客も多く、「もう少し渋谷での知名度を上げて、行く行くはイベントなども計画して盛り上げたい」と金井氏は語る。今後、渋谷の客層を見極めながら営業方針を随時アレンジしていく予定というから、その経営手腕が注目される。
店舗データ
店名 | TAP&CROWLER(タップアンドクラウラー) |
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住所 | 東京都渋谷区宇田川町6-20パラシオン・シブヤ102 |
アクセス | 渋谷駅から徒歩6分 |
電話 | 03-6416-5948 |
営業時間 | 15:00~24:00 |
定休日 | 無休(年末年始のみ休業) |
坪数客数 | 8.3坪16席 |
客単価 | 3000円 |
運営会社 | 株式会社ドミンゴ |
オープン日 | 2020年11月13日 |
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