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銀座で8年間愛される「麦酒屋るぷりん」の姉妹店「炭火屋るぷりん」が同ビル内に開業。食事シーンを想定した店づくりでバー利用の多い1店舗目と棲み分け、客層の拡大を図る

4月21日、銀座に「炭火屋るぷりん」がオープンした。2012年から国産クラフトビールと天然氷のかき氷を看板に据えた酒場「麦酒屋るぷりん」を経営している西塚晃久氏が店主だ。今回は、1号店と同じビルでの出店。3階の「麦酒屋」はバー利用のお客を、2階の「炭火屋」は、今回導入した新要素である炭火焼きを活かして、食事の利用客をメインターゲットに据え、棲み分けを図る。

雑居ビルの2階、「麦酒屋」のワンフロア下に位置する店舗。白地の布に筆字で描かれた店名が、和のテイストを醸し出す
店内にはカウンターとテーブル席が。食事利用のターゲットを想定し、バーテイストの「麦酒屋」と比べて照明を明るめに設定している
看板の炭火焼き「エゾ鹿 ロース」。「炭火屋」の充実したキッチンスペースを活かし、「麦酒屋」で料理を提供する際のオペレーションも格段にスムーズさが増したと西塚氏は語る
名物・天然氷のかき氷。西塚氏はメニュー化にあたり、日光の「四代目徳次郎」まで足を運んで取り扱いを学んできた
右から、店主の西塚晃久氏。フロアマネージャーの高橋佑介氏。シェフの海老澤淳一氏。現在、「麦酒屋」を高橋氏に任せ、西塚氏は「炭火屋」に注力している

(取材=高橋 健太)


イタリアンやバーを経て独立。東日本大震災を機に、生産者の声を反映すべく国産食材を看板に

西塚氏は高校卒業後、2年ほどリストランテに勤務したのち、大手ベーカリーチェーンに転職。その頃、足を運んだ神田のベルギービール専門店「ブラッセルズ」でカウンター業務に魅力を感じ、独立開業を意識し始める。再度、料理の勉強をするべく調理師学校の夜間部に通学。ベーカリーと「ブラッセルズ」の両店で勤務しながら1年半を過ごした。その後、恵比寿の「Bar Deva」に就職し、モルトウイスキーやカクテルなどの知識を増やしていく。

勤務を続けつつ、自店舗のコンセプトを思案する中、2011年に東日本大震災が発生。震災の影響で風評被害を受けていた地方の食材に着目した。西塚氏は「現状を自分の目で見てみなければ」と、国内のビール醸造所や農家など、生産者を訪問し、彼らの想いに共感。それらを生かした店舗づくりを決意した。さらに、女性をターゲットに取り込むため、カクテルの製作過程に着想を得た天然氷のかき氷も開発。「カクテルって、氷と合わせた時の味わいを想像して作るのですが、その工程が、冷たい氷にかけてもしっかり甘みを出せるかき氷のシロップと繋がるなと思ったんです」と西塚氏。物件探しは難航したが、西塚氏の父親が経営する和食店「馳走 啐琢(そったく)」と同じビルの3階に空きが出たことで解決し、2012年に1号店「麦酒屋るぷりん」の開業に至る。

1店舗目が大ヒットするも、キャパ以上に広がり過ぎた客層と客数に対応すべく2店舗目を構想

当時、天然氷のかき氷がムーブメントを起こしつつある時期だったことが追い風となり、連日、店舗があるビルの3階から1階まで行列が続くほどの人気店に。しかし、予想を超える反響とは裏腹に、想定していたターゲットと現実に来ている客層の乖離など、思い描いていた店づくりからかけ離れていく現状に、西塚氏は懸念を抱いていた。

開業から数年経ち、広がり過ぎた客層と客数に対して店舗のキャパシティが足りないことを痛感した西塚氏は銀座界隈で新たな展開をすべく空き店舗を探すが、条件に合うものをなかなか見つけられずにいた。そんな折、父親が店舗を別の場所に移転することが決まり、「馳走 啐琢」の物件が空くことになる。好機と見た西塚氏はその物件を取得。バー利用が主軸の「麦酒屋」に対し、酒だけでなく食事をしっかり楽しむお客をメインターゲットに据えた「炭火屋るぷりん」を開業した。

1店舗目と変わらずテーマは「国産」。素材が生きる炭火焼きが新たに加わった

品書きは、「国産」をテーマに構成された「麦酒屋」のメニューをそのまま「炭火屋」に持ってきた形だが、今回の出店でさらに炭火焼きが登場。新たな看板メニューに加わり、両店舗で提供している。西塚氏は「『素材の味を楽しんでほしい』という生産者の声を反映するためには、食材の旨味をダイレクトに表現できる炭火焼きが一番だと考えました」と、語る。「足利マール牛 ザブトン」(2900円)や「湘南みやじ豚 肩ロース」(1600円)、「土佐はちきん地鶏 手羽先2本」(700円)、「サンバフォーム 野菜盛り合わせ」(1500円)など、牛・豚・鶏・野菜のほか「エゾ鹿 ロース」(2500円)、「北海道の熊 モモ」(1600円)といったジビエも用意。「長野県清水牧場のウォッシュチーズ」(1400円)や「北海道竹下牧場のモッツアレラとトマトのサラダ」(1600円)といった酒のつまみのほか、「麻婆豆腐丼」(900円)などのご飯ものも揃えている。また、1店舗目で人気を博したかき氷も健在だ。「国産レモンと紅茶のムース」(2200円)や「モモと国産シェーブルチーズのムース」(2600円)など、季節替わりで旬の果物をシロップにしている。

ドリンクは、全国津々浦々の国産クラフトビール(小盛り800円、並盛1000円、大盛1500円)が看板。常時6種を樽替わりで取り揃え。また、東十条の人気もつ焼き店「埼玉屋」のレモンハイを参考にし、同店からの公認を得た「国産レモンハイ 東十条スタイル」(1100円)をはじめ、国産ホップを漬け込んで作った「国産ホップ焼酎」(1100円)、「コーヒーシャリー酎」(1100円)といったオリジナルドリンク。赤・白のみならずスパークリングやオレンジも取り揃えた日替わりのグラスワイン(1100円~)、「寺田本家」(700円)、「月の井 和の月 純米」(900円)などの日本酒と、ビール以外のドリンクも国産にこだわり厳選。そのほか、西塚氏のバーテンダー経験を活かし、国産ウイスキーやジン、アブサン、ラムなどを用いたカクテルの注文にも対応している。

長期的な経営を意識し、昼飲みニーズにも対応。銀座の象徴的な店づくりを目指す

今回、オープンの直後に新型コロナウイルスの影響で営業時間短縮を余儀なくされた西塚氏。しかし、この間にも気付いたことはたくさんあった。「常連さんの中にもリモートに切り替わって、昼間から来てくれる方が多かったんです。人々の働き方が変わるにつれて、飲み屋のニーズもまた変化していくのだろうなと感じました」。また、今後については長期に渡る経営を続け、周囲の店舗やお客から、銀座の象徴的な店舗と認識されることを目標にしていると語る。

店舗データ

店名 炭火屋るぷりん
住所 東京都中央区銀座6-7-7浦野ビル2F

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アクセス 東京メトロ銀座駅より徒歩2分
電話 03-6228-5728
営業時間 火曜日:17:00~23:00(22:30L.O)、水~金曜日:15:00~23:00(22:30L.O)、土・日曜日:15:00~22:00(21:00L.O)
定休日 月曜日
坪数客数 12.6坪 19席
客単価 6000~7000円
オープン日 2020年4月21日
関連リンク 麦酒屋るぷりん 炭火屋るぷりん(HP)
関連リンク 麦酒屋るぷりん(Instagram)
関連リンク 麦酒屋 るぷりん(Facebook)
関連ページ 麦酒屋るぷりん(記事)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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