創業から5年で3店舗目と順調に事業拡大。2店舗目の至近距離に出店
「タチアタル」は北千住駅西口の飲み屋横丁から、1本入ったディープな小路にある。夜の店に混じって、ピンク色のネオンサインと“キモ可愛い”おじさんのキャラクターの看板を掲げ、存在感を放っている。
當山鯉一(とうやまりいち)氏が率いる運営会社のトーヤーマンは、2015年に入谷で「暮ラシノ呑処 オオイリヤ」、2017年に北千住で2号店の「酒呑倶楽部アタル」を開業。當山氏は独立当初から「3店舗目までは展開したい」と考えており、「酒呑倶楽部アタル」を開業してから1年には同じ北千住エリアで物件を探し始めた。「飲み屋横丁を通るたびに、ここでやれたらいいなと思っていたら、たまたま紹介してもらえたんです」と同氏。3年間空きになっていたスケルトン物件の契約に至った。
既存店「アタル」は2名客が中心、一方「タチアタル」は1名客ターゲットで棲み分け
「タチアタル」は主に1人客をターゲットにした立ち飲み業態だ。「以前から、スタッフとお客様が活発にコミュニケーションをとれるような店を作りたいと考えていました。『酒呑倶楽部アタル』では2人客が多く、料理も2人分のポーションで提供しているため、1人飲みのお客様にとって、やや入りにくい店になっているというのを現場で感じていました。もともと女性客を多く獲得していたこともあり、女性一人でも気軽に利用できる店を目指しました」と同氏。その後、立ち飲み文化の色濃い大阪に何度も足を運ぶなどして、アイデアを膨らませていった。
店作りの中でも特に注目したいのは、店のアイコンとなっているキャッチーなロゴとキャラクターだ。恵比寿の居酒屋「おじんじょ」で働く知人に依頼したもので、可愛いとお客からも評判だ。ひとクセあってクスッと笑えるイラストが、グラスや皿にも印刷されるなど随所に散りばめられ、當山氏のセンスやバランス感覚の良さが伺える。
あえて名物メニューをなくし、フランクに選べるメニュー構成を意識
料理は、ひとひねり効いたつまみを一人前ほどのポーションで提供。価格も300円から500円ほどとリーズナブルだ。「酒呑倶楽部アタル」とは3割ほど食材を共有し、7割以上が新メニュー。「ささみの昆布締め」(500円)、「生ピーマン煮干しバター」(400円)、「うなぎのクリームチーズ海苔巻き」(一枚350円)などが人気だという。「これまでの2店舗は鶏皮煮込みや蒸しつくねなど、名物をハッキリ提示していたんですが、今回のお店ではフランクにおつまみを選んでもらいたくて、あえて名物をなくしました」と同氏。メニュー構成にも気軽さを重視したと話す。
ドリンクは、ビールやサワー、日本酒や焼酎など居酒屋定番のドリンクに加え、自然派ワインも揃える。「酒呑倶楽部アタル」のラインナップをベースに、「コーヒー漬け泡盛」(500円)、「トマトサワー」(450円)、「たんたかたんレモンサワー」(580円)などの新たなドリンクも用意。日本酒はグラス一杯500円均一で常時10種類ほど。銘柄は若い女性から中高年の男性までカバーできるよう、味わいに幅が出るように選定している。
新型コロナウイルスで見えた需要を事業のヒントに
現状、新型コロナウイルスの影響で、飲み屋横丁全体の人通りが平常時よりも少ないため、同店の客層も北千住に通い慣れた男性客がほとんどとなっているという。「街に客足が戻って、女性客も増えていくことを期待したい」と當山氏。今後の事業展開については「自粛期間中、入谷の住宅街の真ん中にある『暮ラシノ呑処 オオイリヤ』で行ったテイクアウトがファミリー層の近隣住民に好評で、これまで新たな需要に気づきました。だから次は総菜店もいいなと思っています」と風向きを捉えた新たな構想を語った。快進撃を続けてきた當山氏から、これからも目が離せない。
店舗データ
店名 | タチアタル |
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住所 | 東京都足立区千住2-62 さつき荘 |
アクセス | 北千住駅徒歩2分 |
電話 | 03-6806-2229 |
営業時間 | 月~土16:00~23:30 、日・祝16:00~23:00 ※現在、新型コロナの影響で変則営業の場合あり |
定休日 | 不定休 |
坪数客数 | 8坪16人収容 |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | 株式会社トーヤーマン |
オープン日 | 2020年5月7日 |
関連リンク | タチアタル(Instagram) |
関連リンク | 酒呑倶楽部アタル(記事) |