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新富町に「Kamenote(カメノテ)」が開業。フランス修業後、築地の仲卸直営ビストロ「Uokame」を繁盛店にした店長が独立、ハイクオリティだけどカジュアルなフレンチ割烹

2月28日、新富町に「Kamenote」がオープンした。フランス・パリの「Toyo」で修業後、魚の仲卸会社が運営する築地のビストロ「Uokame」を繁盛店にした亀野篤史氏による独立店舗だ。カジュアルな雰囲気で、フレンチと和のハイクオリティな品々を提供するフレンチ割烹。現在は前職時代の常連で賑わうが、今後、さらに火が付きそうな予感だ。

新富町駅、八丁堀駅からそれぞれ徒歩7分ほど。人通りは少ないが、住民やワーカーなど、感度の高い層も多いエリアと睨み開業を決めた
オープンカウンターを中心に、2名掛けのテーブル席も配置。レイアウトや内装は物件の前店舗からほとんど手を加えていないという
キャビアをたっぷりのせた「熊本馬肉とゴルゴンゾーラ、牡蠣のスモークタルタル」。ワインにも日本酒にも合うアテだ
ぜいたくにウニを使った「生ウニのビーフン」。仕上げに白い雪のような見た目の「淡雪塩」を振りかける
オーナーの亀野篤史氏は現在31歳。フランスで1年半修業後、築地のビストロ「Uokame」を繁盛店へと育て上げて独立を果たした

(取材=大関 まなみ)


フランス「Toyo」が料理人としての転機。帰国後は魚の仲卸に

オーナーの亀野篤史氏は、現在31歳。兵庫県に生まれ、両親ともに飲食業に従事していた影響から、調理師の資格を取れる高校を卒業。新卒でホテルオークラ神戸のイタリアンで1年ほど働いた。その後、縁あって神戸でビストロの立ち上げを任される。「当時は21歳で、きちんとした料理のスキルもないまま四苦八苦しながら店を運営していました」と亀野氏は振り返る。

2年ほど勤めた後には、単身フランスへ。「特に何がしたいというわけでもなく、ただ思いつきで」と話すが、現地で働くことになったレストラン「Toyo」は、亀野氏の料理人人生において転機となったという。同店オーナーシェフの中山豊光氏は、デザイナー高田賢三氏の専属料理人だったことで知られ、現在は東京ミッドタウン日比谷に「Restaurant TOYO Tokyo」も展開している。「『Toyo』で中山シェフから初めて本格的なフランス料理を学び、自分の中で料理に対する意識が一段も二段も上がり、刺激を受けました」。

帰国後、またパリに戻ることを視野に入れながら、次は築地の仲卸会社で魚の仲卸の仕事に就いた。ところがビザがなかなか下りず、フランス行きは断念。同時に、同社の社長から飲食店を運営したいと提案があり、そうして亀野氏が主導で立ち上げたのが築地の「Uokame」だ。

任された店は順調に繁盛。一方でマネジメントの限界を感じ、再スタートを決意

亀野氏の1年半のフランス経験と、仲卸ならではの魚の仕入れを生かしながら、フレンチや和の品々を提供するビストロとして「Uokame」はオープン。たちまち人気店になり、最終的に3店舗まで展開した。「当初は店が軌道に乗ったら僕が買い取る話になっていました。店はずっと黒字で条件も良かったのですが、それ以上に、僕自身のマネジメント面で追いつかない部分があって。それまで僕はマネジメントの経験がなく、いち料理人でしかなかった。それに対して店が想像以上に成長していまい、このまま続けることが苦しくなってしまったんです。買い取りの話は見送り、一度、自らで店を立ち上げて再スタートしようと決意しました」。

こうして亀野氏は同店を退職し、独立への舵を切った。物件は、「Uokame」の常連が来やすいようにと同じ中央区内で探し、見つかったのが元居酒屋の現物件だ。人通りの少ない路地であったものの「有難いことに応援してくれる常連さんも多かったので、視認性が悪くともゼロから始める人に比べたら集客面の不安は少ない」と契約。もともとあった皮張りのソファ席やカラフルなタイルの外壁など、瀟洒な造りをそのまま生かし、内装はほとんど手を加えずにオープンさせた。

フレンチや仲卸の経験を生かした多彩な料理を展開

料理は、フレンチと和の品々が揃う。小鉢やお作り、魚や肉、本日の混ぜご飯まで6000円コースのほか、アラカルトも用意。本場で学んだフレンチの要素を感じる品や、仲卸の経験を生かした魚料理など、旬の素材を使った品が常時20品揃う。

漁師直送で絞め方まで指定した鮮魚や熟成魚を使う「厳選お造り4種」(1500円)から、「熊本馬肉とゴルゴンゾーラ、牡蠣のスモークタルタル」(1200円)、「生ホタルイカの炙りとホワイトアスパラ、生ウニ和え」(1300円)などの前菜が充実。仲卸で培った目利きで選んだ旬の魚の炭焼きも用意し、取材時は「太刀魚の炭焼き アサリのソース」(1700円)、「八丈赤ムツの炭焼き 塩パプリカソース」(1900円)などがラインナップ。魚だけでなく肉料理も、「和牛のハラミの炭焼き」(1800円)や、栃木県産のワインかすを食べて育った「足利マール牛炭焼き」(2400円)を用意する。「Uokame」で名物のウニパスタをアレンジした「生ウニのビーフン」(1900円)も人気だ。これらのアラカルトはすべて一人客も利用しやすいようにと、1人前のポーションで用意している。

「フレンチと和を経験してきましたが、これまでは料理人の矜持として中途半端な創作料理はやらないようにしていました。ただ、ある程度、経験を積んできた今、そろそろフレンチと和の融合にもチャレンジしてみようかなとも思い始めています。今後もお客様の反応を見て、様々な料理を展開していきたい」と亀野氏は意気込む。

ドリンクは、「サッポロ黒ラベル 中瓶」(600円)の瓶ビールに、「完熟レモンサワー」(600円)、「サントリー角」(600円)など。日本酒は常時4品(700~1300円)、ワインは赤・白でグラスが各1品ずつ(800円)、グラスシャンパンは1400円。ボトルワインは4500円~と幅広い品ぞろえだ。

独立でイチから再スタート。オーブンを使った魚業態の構想も

オープンから間もない現在は、「Uokame」時代の常連を中心に集客。次第に近隣住民の来店も増えているところで、1人客も多いという。「感度の高い人がカジュアルに使える店にしたい。いま、メニュー構成や単価設定は試行錯誤中で……。毎日の営業後、ともに切り盛りをする妻と一緒にその日のお客様全員について、『満足してくれただろうか?』を分析する反省会をしている最中ですね」と亀野氏は話す。

今後について、まずは同店を軌道に乗せることとしつつ、亀野氏にはもうひとつやりたい店の形があるという。「ジョスパーオーブンを使った、魚料理を出す店をやりたくて。ジョスパーオーブンとはスペイン・バスクなどで見かける、炭を熱源としたオーブン。従来のオーブンよりも高温で焼くことが可能で、これで魚を丸焼きにするのが、僕が思う魚の一番美味しい調理法だと思っているんです」と亀野氏。「まずは、この店を通じて人材管理などマネジメントをもう一度勉強し直したい。そして、経営者たる能力を身に着けることができたら、店を組織として大きくしていくことも考えています。ここからまた、イチからスタートしていきたいですね」と話す。心機一転、独立による亀野氏の新たな挑戦に注目だ。

店舗データ

店名 Kamenote(カメノテ)
住所 東京都中央区湊3-13-1 鈴木ビル 1F

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アクセス 新富町駅、八丁堀駅から各徒歩7分
電話 03-6280-3582
営業時間 17:00~24:00
定休日 月曜
坪数客数 8坪16席
客単価 8000円
オープン日 2020年2月28日
関連リンク Kamenote(FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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