シェフの退職がきっかけで生まれた、名物の自家製ソーセージ
運営会社のHATARAKUは、日比谷バーやHuman relationsの飲食企業を経て独立した伊藤清孝氏がオーナー。Human relationsが銀座で運営していた「銀座Desse(デッセ)」を譲り受けるかたちで独立(現在は閉店)。その後、「神楽坂ワイン食堂ビストロ Entraide(アントレイド)」、「炭火焼き鳥とワインの店 Gallo(ガッロ) 四谷三丁目」、「神楽坂ワイン食堂イタリアン Terzo(テルツォ)」を展開してきた。今回の「THE DAY east tokyo」は、創業からのメンバー、長谷川将人氏が主導で店づくりを行った。ウリは、「Terzo」の名物でもある自家製ソーセージと、それを使ったホットドックに、8タップを用意するクラフトビールだ。
自家製ソーセージの開発の経緯は、2年半前に遡る。当時、「Terzo」で腕を振るっていたシェフが地元に帰り退職することとなった。料理の要だったシェフがいなくなるため、店の方向性をスタッフで議論をしたという。「神楽坂はイタリアンやフレンチの店は数が多く、普通にやっても埋もれてしまう。何かに特化した専門店として差別化を図ろうと考えました」と長谷川氏。そこで浮上したのが、ソーセージだ。「ソーセージは非常に手間のかかるアイテムでやりたがる人が少ない。だからこそ、それを極めれば活路を見出せると思ったんです」とも話す。あるイタリアンのシェフに教えを乞いながら、ソーセージ作りを開始した。さらに、ソーセージに合わせて、長谷川氏が好きなクラフトビールを充実させ、今までのワインに加え、クラフトビールとソーセージを看板にした店へとシフトしていった。
浅草の生活エリアで、老若男女が集う地域密着店に
やがて自家製ソーセージは人気商品となり、次はそれに特化した店を開業しようと長谷川氏が中心になり計画が始動した。長谷川氏は、20代前半はプロスノーボーダーを目指して冬は新潟でトレーニング、シーズンオフの時期は浅草で人力車の車夫をしていたという。そんな長谷川氏にとって馴染み深い街である浅草・蔵前エリアで物件を探し、見つかったのが元事務所の同物件だ。「地域密着店にしたかったので、大通りではなく、住宅街に近い静かなエリアがよかった。ここは住民の生活導線にある場所で、個性的なレストランや酒場が集まる観音裏(言問通り北側の奥浅草エリア)ほどのディープさはなく、老若男女が気軽に集える場所。近くに公園があるのでホットドッグのテイクアウト需要も狙えることも好都合でした」と長谷川氏は話す。
デザインは、谷中の複合施設「HAGISO」などで知られる建築事務所HAGI STUDIOに依頼。入口は全面をガラス戸にして開放感を演出。手前をスタンディング、奥をカウンター席とセーブル席にゾーニングし、ちょい飲みからしっかりとした食事まで、多様なニーズに応える空間に仕上げた。
「他にないくらい」肉汁たっぷりのソーセージに、クラフトビールを8タップ
自家製ソーセージは、「あらびき」をはじめ「スパイシーラム」、「野沢菜」、「イカスミBLACK」など常時5~6品のバリエーションを揃え、各種980円。丁寧に腸詰めし、完成までに丸二日かかるという。「ソーセージというよりは、あらびきの生ソーセージ“サルシッチャ”のイメージです。水分量が多く、他にないくらい肉汁がたっぷりですよ」と長谷川氏は胸を張る。浅草のベーカリー「Manufacture(マニュファクチュア)」に特注するパンを使った「ホットドッグ」(1100円、ランチ時は1000円)も名物で、テイクアウトも可能。その他、「ブリのラグー春巻き」(680円)、「我山大根とパルミジャーノ」(780円)など、オリジナリティある一品料理も充実。前菜やパスタ、メインの肉料理、デザートまで35品ほどが並ぶ。
クラフトビールは8タップを用意。半分は国産、もう半分は海外産のビールをつなぐ。長谷川氏がクラフトビールにハマるきっかけになった「LAGUNITAS IPA」(H700 円、H1200円)は常時オンメニューし、それ以外は樽替わりでH700~800円、F1200~1400円。「アメリカなど海外のブルワリーはホップを利かせたビールが得意という印象なので、IPAやペールエールなどを中心に揃え、一方、国産ではやさしい味わいやユニークなものなどを置くことが多いです」と長谷川氏は話す。加えてナチュールワインをグラスで赤・白を各2品(700~1200円)、各種ウイスキー(580円~)、「DRYハイボール」(680円)、「自家製リモンチェッロ」(680円)などを用意する。
今後はホットドッグの販売を強化、自家栽培ホップでオリジナルビールの醸造も
今後は店を地元に根付かせるとともに、音楽フェスなどのイベントや、フードトラックなど店外でのホットドックの販売も強化していきたい考えだ。
また、同社では自社農園を千葉・勝田に有し、代表の伊藤氏が週に2回、自ら畑に赴き農作業をしている。栽培された野菜は自店舗で調理したり、青山ファーマーズマーケットで販売したりする。「今後は畑でホップを生産し、委託醸造でそれを使ったオリジナルビールが作れたらいいですね」と伊藤氏。「今後の店舗展開は特に考えていません。今回のように、長谷川のような任せられるスタッフが育った際には、新店舗もあるかもしれません」とも話す。
店舗データ
店名 | THE DAY east tokyo(ザ デイ イースト トーキョー) |
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住所 | 東京都台東区花川戸1-13-3 |
アクセス | 浅草駅から徒歩3分 |
電話 | 03-6802-7437 |
営業時間 | 【月~金、祝前日】12:00~14:00、18:00~24:00(LO23:00)【土日祝】12:00〜24:00(LO23:00) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 14.5坪15席+スタンディング15人 |
客単価 | 3800円 |
運営会社 | 株式会社 HATARAKU |
オープン日 | 2019年12月3日 |
関連リンク | 神楽坂ワイン食堂イタリアン Terzo(記事) |
関連リンク | 炭火焼き鳥とワインの店 Gallo 四谷三丁目(記事) |
関連リンク | THE DAY east tokyo(HP) |
関連ページ | THE DAY east tokyo(Instagram) |
関連ページ | HATARAKU(HP) |