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神保町に日本酒バル「terrA」がオープン。旅と山好きな夫&酒と音楽を愛する妻の夫婦で営業する、地域密着のコミュニティ酒場が話題

7月8日、古民家を改装した日本酒バル「terrA」が神保町にオープンした。日本酒を中心とした和酒と、気取らない家庭料理を用意し、夫婦で営むコニュニティ酒場だ。旅と山をこよなく愛する夫の小栗山大介氏と、音楽と酒が好きな妻の美紀氏が作り出す同店は、神保町の人々のとまり木のような存在として早くも人気を集めている。

神保町の裏路地に立地。大きく取られたガラス戸から、中の賑わいが伝わるつくりだ
1階はカウンター7席。小栗山夫婦との会話を楽しみに通うお客も少なくない
古民家の面影を色濃く残す2階には、テーブルとソファを配置し、大人数でも楽しめる。今後は2階でイベントなどを開催予定
新潟産「甘豚」を使った「トロっトロ角煮」。他にも「甘豚」を使ったしょうが焼きやソーセージなどを揃える
日本酒は常時20品。「十四代」など有名どころから、造りにこだわりのあるもの、会話のきっかけになるようなユニークなものなど、なるべく全国各地の蔵元のものを取り揃える
オーナーの小栗山夫婦。写真右から山、旅好きの夫・小栗山大介氏と、酒、音楽好きの妻・美紀氏

(取材=大関 まなみ)


独立を目指し、会社員・教員の夫婦はそれぞれ飲食業界へ

神保町の大通りから1本入った路地裏に佇む「terrA(てら)」は、築60年ほどの2階建て古民家で営業。オーナーは小栗山大介氏・美紀氏夫婦だ。大介氏が作る素朴な家庭料理に、美紀氏がセレクトする日本酒、焼酎を中心とした和酒に加え、2人が作り出すあたたかな雰囲気でお客をもてなしている。

最初に開業を志したのは大介氏。もともと旅が好きで、国内外の様々な土地を訪れていたという。新卒で入った製薬会社で営業の仕事をしていたが、いしつか国内外のゲストが集う場所を作りたいという思いが募っていった。就職して3年ほど経った頃、本格的に独立を目指すため会社を退職。飲食店ではなくゲストハウスを開業する案もあったが、いずれにせよ料理のスキルが必要になると考え、八王子、国分寺、田無の3店舗を展開する居酒屋「やまかし」で修業を開始した。大介氏の独立に賛同した美紀氏は、それまで教員の仕事をしていたが、飲食業へ転身。もともとお酒が好きだったこともあり、日本酒専門店を展開する酛グループや銀座の高級割烹などで、主に接客の仕事に従事した。

偶然が重なって巡り合った古民家物件。前店舗の造りを生かして開業

初期費用の観点からまずは小さく始めたいと、ゲストハウスではなく飲食店の開業を検討。2人で切り盛りするのにちょうどよいサイズとして、10坪程度の広さの物件を探し始めた。当初は下町情緒に惹かれ、江東区、台東区、墨田区などの東京東部で探していたが、なかなか希望する条件の物件で出合えずにいた。範囲を広げたところ、見つかったのが神保町のこの古民家物件だ。「物件の申し込みの際にプレゼンを手伝ってくれた業者さん、僕らのコンセプトに共感してくれ、開業前の1カ月間スペイン巡礼に出ていた間も待っていてくれた大家さんなど、多くの方々の心遣いによって物件に巡り会うことができました」と大介氏は振り返る。

この古民家は、以前も飲食店として使用されていた。「前の店舗では古民家の趣を生かしながら丁寧な改装が加えられていたので、ほぼそのままの内装でオープンすることにしました」と大介氏。1階はカウンターのみ7席で、スタッフとお客の距離が近い空間。2階はテーブルにソファを置き、ゆったりと寛げる空間に仕上げている。

ゆかりのある素材を取り入れた家庭料理と、全国各地の日本酒20品、焼酎10品を用意

料理は居酒屋で厨房に立っていた大介氏が担当。これまで旅した場所や、大介氏の地元・千葉の素材を取り入れ、ほっとする家庭料理を日替わりで20~30品用意する。魚を使った品は、1番人気の「アジのなめろう」(680円)から、千葉県九十九里産の漁港から直送された「ぷっくりめざし焼き(2本)」(500円)や「いわしのみりん干し」(500円)など。縁あって仕入れる新潟の銘柄豚「甘豚」は、「肩ロース しょうが焼き」(1050円)や「トロっトロ角煮」(850円)など6品にて提供。クイックメニューとして「ポテサラ(いぶりがっこ入り」(580円)、「砂肝のにんにくしょうゆ漬け」(500円)、家庭料理の大定番、「牛すじ肉じゃが」(650円)、「とりからあげ」(680円)も揃う。「白いごはん」(280円)、「おみそ汁」(300円)も用意するので、おかずと組み合わせて定食のように楽しむことも可能だ。美紀氏の友人つながりで仕入れる「とうふ工房ゆうのよせ豆腐」(500円)は、小栗山夫婦がそのおいしさと豆腐作りへの想いに感動してオンメニューしたというおすすめの品だ。

一方の美紀氏は酒のセレクトを担当。常時、日本酒20品(グラス90ml 500~750円)、焼酎10品(グラス450円~900円)を用意。「銘柄は有名どころから、造りにこだわりのあるもの、会話のタネとなるような面白いものなどを揃えています。どんな人にも馴染みある地域の酒があるようにと、日本酒はなるべく全国の都道府県の酒蔵のものにばらけるよう選んでいます」と美紀氏。加えて「生ビール エビス」(600円)、「自家製レモンサワー」(550円)などを用意する。

1日の終わりにほっと寛げる、「帰ってきたくなる場所」を目指して

現在の客層は20代後半以降の会社員が中心で、集客のピークは20時頃。小栗山夫婦との会話を楽しみに一人で訪れるお客も目立つという。「神保町は山岳などのアウトドア専門店が立ち並ぶ街であり、少し行けば楽器店が並ぶ音楽の街である御茶ノ水がある。山と音楽、二人の好きなものに囲まれたこの場所で開業することに決めました。私達は飲食業界が長いわけではないのですが、それならばお客様に近い目線を武器にし、素朴な家庭料理と日本のお酒で、まるで実家のようにほっとする、帰ってきたくなる場所を作っていきたいと思います。私達と同じく山や旅、音楽が好きなお客様も大歓迎です」と二人は声を揃える。

「変わらず旅はライフワークとして、これからは旅先で出会ったものや感じたことを店に還元していければ」と大介氏は話す。将来は、当初の夢であるゲストハウスの開業も視野に入れながら、地域に根付いたあたたかな店づくりに夫婦で邁進していく。

店舗データ

店名 terrA(てら)
住所 東京都千代田区神田神保町1-18-8

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アクセス 神保町駅A5出口から徒歩2分
電話 03-5577-2298
営業時間 17:00~23:00
定休日 不定休
坪数客数 11.5坪19席
客単価 4000円
オープン日 2019年7月8日
関連リンク terrA(Instagram)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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