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猿屋一家出身小池氏が久米川に「なるくちや えびかずら」を開業。「店舗デザイン」の力で集客する強い店づくりに注目

久米川駅から徒歩2分に立地。白壁に重厚な蔵戸が印象的な外観。看板はあえて出さずに隠れ家的雰囲気を演出する
打ちっぱなしのコンクリートや木目を使い、無機質な感じとやわらかさがうまくマッチした大人の空間。カウンターは9席を配置
店内奥には掘りごたつ式の個室。店内にも蔵戸を使用。仕切りを外せば最大16名が収容可能
ワインがウリだが、居酒屋らしく果物を使ったサワー類も充実
「生ハムプロシュート」は原木で仕入れたプロシュートを注文後にスライス。冷凍ブドウを散らして提供。酒のアテにぴったりな一品だ
オーナーの小池健一氏。猿屋一家をはじめ、多様な経験を積んだのちに晴れて独立開業

(取材=大関 愛美)


新宿から西武新宿線で30分少々。東京都は東村山市、周辺にはのどかな風景が広がる久米川駅。そこから徒歩2分の場所に「なるくちや えびかずら」が開業した。「なるくち」とは江戸弁で“飲めるクチ”、「えびかずら」とは古代の言葉で“やまぶとう”を意味し、その名の通りワインを中心とした居酒屋だ。オーナーは、国分寺を中心に居酒屋を展開する猿屋一家(東京都国分寺市、代表取締役:藤野裕章氏)で活躍してきた小池健一氏。約15年前、20歳のころにバーテンダーから飲食業界のキャリアをスタートさせ、その後、さまざまな店舗の立ち上げやマネジメントを経験。2011年3月から5年ほどは猿屋一家に籍を置き、「猿狗楽(さくら)」「国分寺街角酒場 P-man(ピーマン)」(現・「がぶ飲みワイン サルノコシカケ」)などの店舗の立ち上げを担当、それらを繁盛店へと育て上げるなど同社の発展に大きく貢献した。また、猿屋一家から浜倉的商店製作所(東京都千代田区、代表取締役:浜倉好宣氏)に出向し、「RIB HOUSE(リブハウス)」&「OCEAN HOUSE(オーシャンハウス)」のコンサルティングを行うなどの実績を持つ人物だ。そんな小池氏が満を持しての独立開業となる。

本格的に独立の準備に取り掛かるため、2016年に猿屋一家を退社した小池氏。その後、同物件の2階にあった居酒屋のコンサルティングをすることとなった。その縁からこの物件での開業が浮上。人の多い立地とはいえないものの「しっかりとした店を作ればお客さまは来てくれる」と、小池氏はこの地で開業することを決意した。

真っ白な外壁に風格ある蔵戸を設えた店構えで、周辺にはチェーン居酒屋が立ち並ぶ久米川エリアで異彩を放つ同店。表には店名を掲げた看板はなく、さりげなく置かれたショップカードが唯一の目印だ。重厚な蔵扉を開けば、打ちっぱなしのコンクリートと温もりを感じる木目が調和する空間が広がり、やわらかな照明が落ち着いた大人の雰囲気を演出する。「店舗デザインにはしっかりと投資し、魅力的なハコを作ることを最優先しました」と小池氏。設計はFEATHER STONE HOUSE CO.,LTD.(東京都多摩市、代表取締役:羽石武生氏)とタッグを組んでデザインした。お客が座った際の目線に一切の厨房機器が入らない設計や、低い天井をカバーするため取り入れた曲線状のフォルムなど、細部に至るまでこだわりを見せる。「これまでの経験から、店を運営するうえで最も重要となるのは“ヒト”だと考えます。ですが、ヒトは良くも悪くもコントロールができない部分も大きい。そこで、ヒト以外の要素、とくに店舗設計において強みを持たせることで、ヒトの状況に左右されない強い店にしたかったんです」と小池氏は話す。店内には、テーブル席のみならず、カウンター席や掘りごたつ式の個室を備え、多様な利用動機にこたえる設計であることも、小池氏のいうヒト以外の魅力だ。

料理のメインは、豚串や野菜巻きなどの串焼き。1本150円~280円でなど約30品をそろえる。さらには肉料理にも力を入れ、低温調理した「低温ローストビーフ」(980円)や、オーダーごとにスライサーでカットし、冷凍ぶどうを添えて提供する「生ハムプロシュート」(レギュラー980円、ハーフ500円)などを用意する。魚料理も抜かりなく、「本日の刺物」(時価)をはじめとした、「築地 魚政」から仕入れる築地直送の魚介を使用した魚料理が充実する。料理は女性客に配慮し、ほとんどの料理にニンニクを使っていないのもポイントだ。

ドリンクでは、ソムリエの資格を有する小池氏がセレクトするワインが充実する。テーマは「ワインの敷居を下げる、安くてもおいしいワイン」。ボトルは1990円から全18品+隠しボトルがそろう。同店はあくまで居酒屋であるため、気取らずに飲んでほしいと足のないワイングラスで提供。ほか、ハイボール、日本酒、サワー類などバラエティ豊かに用意する。

「今後は、国分寺・府中近辺で3業態6店舗を目標に、10年間は走り続けたい」と小池氏。「これまでの経験を生かしてさまざまなジャンルの業態に挑戦したいですね。しかし、どんな業態にせよ、店舗デザイナーの力は絶対に必要だと思います」とも話す。もともとは店舗の設計デザインの仕事を志し、建築を学ぶ学生だったという小池氏。デザインの力を最大限生かしながらも、そこへ同氏の積んできた多様な経験をいかんなく加えた強い店づくりに、都心から離れた郊外ながらも注目が集まっている。

店舗データ

店名 なるくちや えびかずら
住所 東京都東村山市栄町2-18-3 カクチビル1F

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アクセス 久米川駅から徒歩2分
電話 042-306-4978
営業時間 17:00~25:00(L.O24:00)
定休日 無休
坪数客数 18坪40席
客単価 3500~4000円
オープン日 2018年3月20日
関連リンク なるくちや えびかずら
関連リンク 猿屋一家
関連リンク がぶ飲みワイン サルノコシカケ(記事)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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