2020年東京オリンピックに向けてさらなる進化を続ける東京イーストエリア。これまで下町と呼ばれてきた街の中に洗練されたマンションやホテル、ゲストハウスなどが次々に誕生している。ひいてはこうした街での飲食需要にも変化が生じてきているのは間違いない。古くからの服飾問屋街として独特の文化を形成してきた日本橋馬喰町もその一つ。2月3日にオープンした和ビストロ業態の「MK MUSAI(無彩)」も、そうした需要を敏感に察知した一店といえるだろう。運営は株式会社Sfida Fabbrica(スフィーダ・ファブリカ 東京都中央区、代表取締役:前田和彦氏)。シェフには道場六三郎氏の孫弟子の今井恒三氏を起用。和食のみならずイタリアンやフレンチでも修業を積んだ人物である。同店は軽井沢のヴィーガンレストラン「RK GARDEN」、水天宮のビストロキッチン「MK Farmers&Grill」に続く3店舗目の出店となる。
同社のモットーは、「産直野菜」「活きたまま食べる生ガキ」「信州峯村(みねむら)牛」「黄金出汁」の4本柱である。野菜は契約農家に出向いて直接収穫・買いつけを行うこともあるオーガニック野菜がメイン、フレンチだが枕崎産の鰹節と京昆布から取った出汁を使うなど、語るべき点は多い。そして、こうした食材へのこだわりはさることながら、「素材のよさを消費者へ届ける橋渡しとしての存在」としての料理を強く意識している。軽井沢の店舗では、現地契約農家から仕入れた食材を使ったヴィーガン料理やベジタリアン料理が評判。また、森の中でのウェディングやライブケータリングにも力を入れている。水天宮の店舗も食材は軽井沢に加え、メインのグリルに峯村牛を取り入れ、前田氏の腕により繁盛店の仲間入りを果たした実績がある。
こうした高潔な信条はあるが、「南信州菊芋のロースト」「信州伝統野菜牛蒡の唐揚げ」など10種あるおつまみはすべて300円と親しみやすい価格設定。「トリュフで仕上げる彩り野菜と信州みねむら牛のすき焼き」(1人前680円)、「たっぷり高原野菜と白茹でタンのポトフ」(980円)、「あさりで作った黄金出汁の真鯛湯引きスタイルお茶漬け」(780円)など厳選素材と腕利きシェフの自信あふれるメニューが並ぶ。ドリンクは産地よりも味を重視したセレクトの日本酒とワインが売りである。さらに、掘りごたつのある個室では特別プランとして、特徴ある八寸を取り入れたフレンチテイストの懐石コースを用意している。ランチもリーズナブルなプレートを1000~1300円で提供。
同社にとって満を持しての3店舗目、「MK MUSAI(無彩)」。店舗デザインは既存2店のテイストを受け継ぎながら、昭和モダンの和スタイルに西洋の意匠を取り入れた。半地下ながら天然の採光と夜間の調光により木々の温もりが際立つ空間だ。木材はすべて軽井沢から集めるなど、こだわりは細部にも行き届いている。ただし、日本橋馬喰町は飲食に関しては保守的であり、飲食店は少なく夜の人通りは少ない。「ふらっと入れるような立地ではないので、これからSNSを通じて周知していきたいです」と語るシェフの今井氏。その点、開店1か月弱でランチでは50~60名が訪れるようになったのはよい流れである。これを足掛かりに、料理の魅力を武器に街を盛り上げていってほしい。
店舗データ
店名 | MK MUSAI(無彩) |
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住所 | 東京都中央区日本橋馬喰町1-9-9 B1 |
アクセス | JR総武本線馬喰町駅から徒歩1分 |
電話 | 03-6661-6350 |
営業時間 | ランチ11:00~14:30、ディナー17:00~23:00 |
定休日 | 日曜・祝日 |
坪数客数 | 28坪 46席 |
客単価 | 4500円 |
運営会社 | 株式会社Sfida Fabbrica(スフィーダ・ファブリカ) |
オープン日 | 2018年2月3日 |
関連リンク | MK MUSAI(無彩)(HP) |
関連リンク | MK MUSAI(無彩)(FB) |