新百合ケ丘駅から徒歩数分。飲食店や物販など商店が集積する「マプレショッピングセンター」に、「炭焼きとワイン PEQUE(ペケ)」が12月8日にオープンした。運営はニコカンパニー(神奈川県川崎市、代表取締役:平野良輔氏)だ。同社は出店でいうと5店舗目だが、1店舗はこの年明けに契約満了となり現在4店舗を展開している。実は同社、今回オープンした「PEQUE」の隣で、日本酒バル「Tokyo Rice Wine新百合ケ丘店」を営業している。新規出店を考え、新百合ケ丘界隈の空き物件は常にチェックしていたそうだが、偶然にも自社店舗の隣が空いたことで、大衆居酒屋や炉端焼きなど近隣や自社店舗と被らない業態開発の末、「コストパフォーマンスの良いワインバー」が良いと思い新たに開業したそうだ。
すでに「Tokyo Rice Wine」ではしっかりと常連もついているので、そこから流れるお客が多いのかと思えば、意外にも系列と知らず、ワインが好きで「PEQUE」に通ってくれるお客が多いそうだ。歩いて来られるような近隣住民から、沿線住民まで、今まで以上に女性比率が高まっているという。取材時でオープンから2週間足らずだが、すでにリピート客も複数おり、界隈で暮らすワイン好きにとっては待望の業態だったようだ。
元はうどん屋だった物件は一旦スケルトンに戻し、内装を一から造りこんだ。ワイン業態らしく、木材を多用したヨーロッパのビストロを思わせる落ち着いた雰囲気に仕上がっており、平野氏の人柄が伝わるような温かみのある空間だ。13坪の店内は、入口側に配置したハイテーブル席と、店内奥に広げたソファーシートつきのテーブル席に大きく分かれている。“ちょっと一杯”という気軽な利用から、食事目的のディナー利用までシーンに応じて対応できる設計だ。店自体は施設の裏側に位置しているため所在が一見わかりにくいが、赤いファサードが目立ち、店内の賑わいが見える構造は、ついつい引き込まれてしまうような吸引力がある。
「既存店よりももっとリーズナブルに」と話すとおり、メニューには手頃な価格でアラカルトが並んでいた。売りは備長炭で焼く炭焼き。「牛ハラミ アウトサイドスカート」(980円)や「イベリコ豚 肩ロース120g」(980円)のほか、オーダー率の高い「ラムチョップ 1本」(480円)がある。大山鶏はもも、レバー、せせり、はつ、ぼんじりなど部位が豊富。好きな部位を3種選べる食べ比べのセットも用意している。そのほか、おつまみ(380円〜)、冷菜・温菜(380円〜)、サラダ(780円)、パスタ・ピザ(980円〜)からデザート(380円〜)までメニューは約50種。今後、人気の分布次第ではスリム化するようだが、ニーズには充分対応できそうな品揃えだ。
ワインは各国から豊富にラインナップ。ボトルは価格面で安心してオーダーしてもらえるよう2800円のものにボリュームを持たせ、3200円以上も少しずつ揃える。選定の基準について尋ねると、産地や品種といったワインが持つ個性よりも、「原価に近い価格でどこよりもお徳に提供できるようにする」という企業努力だった。そのため、クレジットカード対応をやめ、販促費などのコスト削減にも取り組み、この価格の実現に至っている。
今後の出店計画について聞くと、「店舗数や売上から出店を計画しているわけではないですが、いろんなスタッフがいますから、みんなが活躍できるステージをそれぞれに作ってあげたいという想いはあります。それが僕の出店意欲です」と語ってくれた。現在決まっているのは、11月に二俣川駅に40坪弱の広さで和業態の出店。これは相鉄線の協力もあっての出店案件だ。そのほか2019年は、二子玉川と南町田に出店オファーをもらっているようで、条件を見つつ検討していくとのこと。
ちなみに店名の「PEQUE」とは、その「音」が可愛らしくて気に入ったという、スペイン語の“ペケーニョ=小さい”から取ったという。決して大型店舗ではないが、地域密着の店づくりに挑む同社の姿勢を見ると、店の存在感としては今後さらに大きなものになるのだろうと期待を寄せてしまう。ニコカンパニーらしい歩みで、さらに店舗・組織の拡大に挑戦してもらいたいと切に願う。
店舗データ
店名 | PEQUE(ペケ) |
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住所 | 神奈川県川崎市麻生区上麻生1-6-3マプレショッピングセンタービルG階 |
アクセス | 小田急線 新百合ヶ丘駅から徒歩3分 |
電話 | 044-455-7860 |
営業時間 | 17:00〜24:00 |
坪数客数 | 13坪・36席 |
客単価 | 3500円 |
運営会社 | 株式会社ニコカンパニー |
オープン日 | 2017年12月8日 |