大規模な再開発が進み、ますます賑わいを見せる渋谷。変わりゆく渋谷の中で、変わらず存在感を放ち続けるランドマークがシブヤ109だ。そのシブヤ109裏手にある道玄坂小路で人気店「シブヤバル209」、「アジアンバル209」を展開するAGTK(東京都渋谷区、代表取締役社長 宮村栄宏氏)の3軒目もこのエリアでの出店となり、「呑ん処二〇九(のんどこ ニーマルキュー)」が12月18日に誕生した。既存のワインバル業態とは一線を画し、「大人の居酒屋」をコンセプトに掲げた。また、「23時以前は24歳未満の男性の入店禁止」として、大人が飲食を楽しめる空間を目指している。
出店動機についてたずねると、「渋谷で店を営む中でお客に『どこかおすすめの居酒屋はない?』と尋ねられることが何度かありましたが、自信を持って紹介できる店がすぐ近くにありませんでした。そこで、『それなら自分で作ってしまおう』と考えついたのです」という答えが返ってきた。確かに、渋谷に飲食店は多数あるが若者向けの店が多く、大人が腰を据えて飲める店は多くない。そこで、大人のための居酒屋、大衆酒場というジャンルに商機を見出したというわけだ。オープンは15時と早いが、これもターゲット顧客層に属する宮村氏の義理の父親の助言に従った結果である。
同店の料理は、「天ぷら、ちょっと寿司、たまにすき焼き」がコンセプト。盛り上がるインバウンド需要を意識し、訪日外国人が好む料理という意味合いを持たせた結果だ。1軒目のスペイン料理、2軒目のニューアジアン料理に続き、大衆酒場とはガラリと趣が異なり手探り状態だが、全員参加の“合議制”で料理の価格を決めるなどして、スタッフのモチベーションや当事者意識を高め、活気のある職場づくりを心掛けている。不思議と、スタッフは金髪で気風のいいタイプばかりが集まった。忙しく立ち働く彼らの姿は気持ちよく客さばきもこなれており、大衆酒場によく似合う。
メニュー数は豊富で、寿司は「バッテラ」(鯖・鯛 各600円)や「ネギトロタク」(500円)など。天ぷらは「海老」(250円)、「穴子一本」(500円)などの定番のほか、有名ハンバーガーショップのフライドポテトにそっくり似せた袋に入れた「大根」(290円)や「うに×しそ天」(450円)などもある。すき焼きは1人前に1個「つまめる生卵」がついて800円。そのほか、「モロキュー」(300円)、「もつ煮」(400円)など、大衆酒場の定番品も過不足なくラインナップしている。
お酒はワインと日本酒が二大推し。冷蔵庫の中に、価格を書いたワインと日本酒のボトルが並び、お客がボトルを手に取ってラベルを眺めながら選べるシステムとした。ワインは1本2900円~、日本酒は3000円~が相場で比較的リーズナブルだが、ワイン・日本酒ともに専属のソムリエが厳選している。特に、ワインはヴァンナチュール(自然派ワイン)をテーマにセレクトしており、国産の希少な共栄堂「K16 AK DD」(4400円)などのオレンジワインも揃えている。
渋谷でワインバル2軒と大衆酒場1軒を展開し、ますます波に乗る宮村氏。今後のビジョンについてたずねると、「渋谷の再開発はまだまだ続き、道玄坂にも新しい商業ビルが建つと聞いています。『出店しませんか?』というお話もいただいてはいますが、まだこのお店もできたばかりなのでここに注力します」と、堅実な姿勢を見せる。とはいえ、三軒茶屋出身で渋谷を庭とし、渋谷で勝負をして強い店を作り出してきた実績のある宮村氏のことだ、きっと次の一手を軽やかに決めてくれるはずだ。
店舗データ
店名 | 呑ん処二〇九 |
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住所 | 東京都渋谷区道玄坂2-9-10 |
アクセス | 東急田園都市線渋谷駅から徒歩5分 |
電話 | 03-6712-7781 |
営業時間 | 15:00~翌5:00 |
定休日 | なし |
坪数客数 | 21坪・50席 |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | AGTK株式会社 |
オープン日 | 2017年12月18日 |
関連ページ | アジアンバル209 |