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特異な立地、南池袋でワイン業態「GOCCHI’S」を人気店に育てた青山氏が今度は和食業態を!10月10日、既存店のすぐ近くに「ひ暮らし」をオープン

古民家のような物件の1階を改装し、店舗に。縁側、のれん、格子戸の調和が見事で、通りの中で一際存在感を放つ美しい外観
テーブル、カウンター、小上がりと、コンパクトながらもうまくゾーニングされた店内レイアウト
鮮魚の刺身、おでん、一品料理と、その日の仕入れに合わせて素材の活かし方を考え、メニューに仕立てる安部氏の料理
「ひ暮らし」が自信をもって提供するスペシャリテのひとつ、「牛タンの炭火焼き」はぜひとも食べてもらいたい一品
左からオーナーの青山氏、料理長の安部氏、店長の林氏。3人の穏やかで優しい人柄が店の雰囲気に現れ、なんともいえない心地よさを醸している

(取材=小野 茜)


有楽町線の東池袋駅から徒歩3分ほど。南池袋に10月10日オープンしたのは、同エリアで「GOCCHI’S」「Voirdreax」を展開する青山商店(東京都豊島区、代表取締役:青山剛平氏)運営の「ひ暮らし」だ。代表の青山氏が手がける既存店は、どちらもカジュアルなワイン業態。南池袋という特異な立地にも関わらず、地域密着で着実にファンを増やし、1号店オープンから今年で6年を迎える。そこから一転して今回は完全な和食店、新業態へのチャレンジだ。

「以前から居酒屋のような業態をやってみたいと思っていたのですが、僕は洋業態の経験しかなく、できる人間がいなかったんです」と話す。既存店「GOCCHI’S」の隣店であった居酒屋にて料理長を務めていたが、閉店により別の店で働くことになった安部 学氏を誘い入れ、同氏を調理長に立てることでその想いを実現した。今年6月にはジョインしていたのでもっと早くオープンしたかったそうだが、南池袋での物件探しに時間がかかりこのタイミングとなった。回転効率を重視するよりも、「大人が食事とお酒をゆっくり、気兼ねなく愉しめる店」を目指し、青山氏は箱づくり、安部氏は商品(料理)づくりときっちり役割分担したそうだ。

今回はデザイナーを入れず、大工と2人3脚でディテールにこだわって仕上げた店舗デザイン。わざわざ買い付けた、昔ながらの引き戸がうまくはまるように設計をしたり、腰掛けを置いて縁側のように見せる工夫も凝らす。壁面の色使いなどでは程よく品を醸しつつも、カウンターやちゃぶ台のある小あがりは、ほっこりとした温もりを漂わせている。また店の片隅には瓶ビールのどぶ漬けがあり大衆っぽさも感じられ、絶妙なバランスで心地良さを演出している。

料理で売りにしているのは、各地の港から直送で届く鮮魚と、牛タン料理というレアな取り合わせだ。魚は信頼のおけるプロに買い付けを頼んでおり、全国の漁港から目利きによって選んだものが、水揚げの翌日には店に届けられる。そのため鮮度も質も抜群に高い。その代わり、直前まで何が入るか魚種が分からない。安部氏は買付人からの連絡を聞いて、その日ごとにメニューを考えている。これこそ、食のあるべき姿であろう。牛タンは時期により仕入れ先を変え、通年で素材を活かしたアイデア牛タンメニューをラインナップする。取材日のメニューは、刺身で「勝浦の戻り鰹」(900円)「函館の水ダコ」(880円)「気仙沼の秋刀魚」(780円)「知床の牡丹海老」(1000円)などが並んでいた。焼き魚は五島のカマス、酒蒸しは和歌山のホウボウ、唐揚げは下関の真子鰈といった調理法別の魚料理も充実。加えて「姫さざえの旨煮」(500円)、「京芋の揚げ出し」(680円)、「サンマの手綱上げ」(900円)といった手間をかけた逸品料理も見逃せない。また、これからの季節特にニーズが高まるおでんは、秘伝の出汁にこだわって炊いてたり、鍋料理、肉料理や土鍋の炊き込みご飯などの〆まで網羅。いずれもこの界隈の店が取り扱っていないものに特化し、既存店のファンをより楽しませるのはもちろん、新たな客層の取り込みも狙う。

一方お酒は、店長の林 俊介氏が担当している。日本酒、焼酎を季節などの条件に合わせて選び抜き、種類を絞って提供している。「喜平」「楯野川」「作」「常山」はじめ8種類を常備。また出し割りカップ酒も別に用意。そのほかレモンサワーは甘口・辛口と好みに合わせてオーダーが可能でいずれも好評だという。また「羅臼昆布の漬け焼酎」「伊吹島いりこの漬け焼酎」「紅茶の漬け焼酎」(いずれも600円)なども面白い。

今後の展開について青山氏に尋ねると、この先はあまり積極的な増店や業態開発などは検討していないという。既存店をしっかり継続していくことがベースにあり、その上で意欲ある従業員に対しては、独立支援を行なっていきたいと考えている。次世代の育成に関してはとても前向きだ。
実はこの物件、7年という期限付きの賃貸借物件である。そんなこともあり、短命と言われるセミにちなんで、秋の季語でもある“ヒグラシ=ひ暮らし”と名付けた。期限があるとはいえ、入れ替わりの激しい現代の飲食マーケットにおいては、7年続く飲食店は決して短命ではないだろう。2024年までの間、「ひ暮らし」でどのようなストーリーが生まれ刻まれていくか、同社の新しい挑戦を最後の日まで見届けたいと思う。

店舗データ

店名 ひ暮らし
住所 東京都豊島区南池袋2-8-9

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アクセス 有楽町線 東池袋駅から徒歩3分
各線 池袋駅から徒歩10分
電話 03-6874-7167
営業時間 【月~土】17:00〜24:00
定休日 日曜
坪数客数 17坪・32席
客単価 5000円
運営会社 株式会社青山商店
オープン日 2017年10月10日
関連ページ 「VOIRDEAUX」(記事)
関連ページ 「GOCCHI'S」(記事)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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