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三軒茶屋すずらん通りにネオ大衆酒場
「華舞㐂屋 ろんど」が12月11日オープン

暖簾と木製の引き戸が大衆酒場らしい雰囲気を醸す
厨房を囲み、L字型に配置されたカウンター席。品書きの上に設けられた立派な欄間が印象的
看板メニューの「華舞㐂焼き」は12種の部位を用意。瞬間燻製のひと手間で、ほかとは違うもつ焼きに
鰹、昆布、椎茸の黄金比率を見極め、ていねいに引いた透き通るおでん出汁。自慢の出汁をいかしたお茶漬けも〆にいただきたいひと品
自慢のオリジナル半被を纏っている代表の狩野氏を囲む、スタッフのみなさん。威勢のよさとチーム力の高さが伺える

(取材=編集部)


三軒茶屋のすずらん通りに最高品質の大衆酒場を目指し「華舞㐂屋 ろんど(カブキヤ ロンド)」が12月11日にオープンした。経営は「和音人 月山(ワインビト ガッサン)」「GYOZA SHACK(ギョウザ シャック)」を三茶エリアで展開する和音人(東京世田谷区、代表取締役 狩野高光氏)。2号店のオープンからほぼ1年、すずらん通りに物件が見つかったことをきっかけに、3号店の出店を決意したという。
すずらん通りといえば、田園都市線と世田谷線の三軒茶屋駅を橋渡すように伸び、小さな飲食店などがひしめく場所。そんな通りでひときわ粋な風を漂わせているのが同店だ。暖簾をくぐり店内に入ると、壁面に大きく描かれた歌舞伎の隈取と、カウンター席の上に並ぶ品書きや欄間に目を引かれる。店名に「ろんど」とあるように、客の心を鼓舞さるエレメントが店内のあちらこちらに見てとれる。

「大衆酒場でありながらも、クオリティの高いものを提供したい」と語る狩野氏が、3号店の看板に掲げるのは「華舞㐂焼き」と銘打ったもつ焼きで、酒場では馴染み深い定番アイテムだ。1号店では、備長炭とワイン用葡萄の枝木を使い、瞬間的にスモークして香り高く仕上げた山形ハーブ鶏を売りにしているが、同店では、芝浦から直送されるさまざまな部位のホルモンに瞬間スモークを施す。こうすることでホルモン特有の臭みを和らげ、旨味を一層引き出したこれまでにないもつ焼きが味わえるという。下町育ちの狩野氏がこだわる大衆メニューをネオスタイルにアレンジした看板商品だ。一方もつ煮は、ホルモンを味噌と赤ワインでじっくり煮込んだフレンチっぽさを醸す「ろんど煮込み」(780円)。箸を入れて初めて気づく、もつ煮らしからぬ意外な付け合わせが、これまでにないハーモニーを奏でるおいしさの三重奏なのだとか。

そのほか、鹿児島県枕崎産の天然無添加の鰹節、羅臼・日高の昆布、どんこ干し椎茸から引く黄金比率の出汁に徹底的にこだわった「極み出汁おでん」も主力のひとつ。自慢の出汁がよく染みた「大根」(150円)のほか、自家製の「江戸さつま」(150円)、日本の飲食店では同店でしか食べられない山形県ととこ農園の「幻の白いたまご」(150円)、「庄内豚ソーセージ」(200円)、「信玄鶏のもも肉」(180円)など、個性的な具材がメニューを埋める。また〆には、山形県の月山山麓・西川町で創業65年を超える老舗「玉谷製麺所」で仕込んでもらう和音人オリジナルブレンドの「月山蕎麦」を勧めたいという。冷たい「月山板そば」(680円)、温かい「極み出汁そば」(680円)のほか、「伊太利亜蕎麦~ジェノベーゼ~」(780円)などの変わり品まで揃えている。

ワインは、スパークリング・白・ロゼ・赤ともすべて国産で統一したが、なかでも力を入れたのがロゼ。狩野氏は、「あっさりとしている和食には、白だと軽すぎて物足りず、赤だと重すぎて料理の邪魔をしてしまう。中間のロゼこそ相性がいいと思うので、この店ではロゼワインを厚くしました。」と話し、ワイン派にはロゼ×和食を推すようだ。日本酒では、3号店にして初めて導入するPB「ろんど 美山錦 純米大吟醸」(グラス500円、徳利980円)や、寒い季節に嬉しい、おでんの出汁で日本酒を割った「極み出汁割り」に注目したい。また、ぶつ切りレモンを凍らせた流氷レモンを日本酒に入れた「華舞㐂ロック」や、それを強炭酸で割った「華舞㐂レモンサワー」(ともに500円)も同店ならでは。定番ながらもほんのひと匙、らしさを添えて、大衆酒場の域を出ることなく、今らしい風を吹かすそのバランス感覚が絶妙だ。

同社は飲食事業のほか、山形県西川町で「ピノタージュ」というワイン醸造用葡萄や、国産ラズベリーの生産を通じた農業事業も行っている。まだ収量はそう多くなく、これからが勝負のようだが、食の品質の追求を農業というものづくりから始めているという事実は、店を利用する側からとっても大きな価値になるのではないだろうか。飲食店という出口を持っているからこそ描ける農業の在り方は、既存農家にとっても真新しい発想かもしれない。このシナジーが地域を活気づけるのであれば、それは飲食店の存在価値をも高められる要素になり得る。今後しばらくは、この3店舗の運営と農業事業の基盤固めに傾注するようで、同社が育てた食材で作る料理やお酒で、店のメニューを埋める日が来ることに、期待を寄せずにはいられない。

店舗データ

店名 華舞㐂屋 ろんど(カブキヤ ロンド)
住所 東京都世田谷区太子堂4-22-14

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アクセス 東急田園都市線 三軒茶屋駅より徒歩1分
東急世田谷線 三軒茶屋駅より徒歩4分
電話 03-6805-5959
営業時間 18:00~翌4:00
定休日 月1回、不定休
坪数客数 18坪・22席
客単価 3500円
運営会社 株式会社 和音人
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※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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