恵比寿駅西口から目黒方面に向かって線路沿いを歩くこと約5分。洗練された雑貨店や飲食店が立ち並ぶ恵比寿南エリアの一角に、9月11日「KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA(ノック クッチーナ ボナ イタリアーナ)」(経営 マザーレストランツ、東京都港区、代表取締役 横山剛氏)の3号店がオープンした。六本木の「グランドハイアット東京」近くで2011年にスタートした1号店は、毎日欠かさずパスタの新作をメニューインする”パスタ1000本ノック”を打ち出すとともに、イタリア・ピエモンテ州に特化したメニューを展開。さらには「バローロ」や「バルバレスコ」など、同州特産のブドウ品種を使用した高級ワインをリーズナブルな価格で提供し、高い専門性とカジュアルなスタイルで一躍人気に火が付いた。今回、初の六本木エリア外となる3号店は、2014年の東京ミッドタウン2号店から約2年ぶりの出店。飲食激戦区・恵比寿エリアでの新たな顧客開拓に動き出している。
同店は、近年注目を集める飲食スポット・恵比寿南エリアにこのほど完成した飲食ビル「TIME ZONEテラスビル」の一階フロアに立地する。入口に面したテラスやカウンターテーブルには木材が効果的に使用されており、行き交う人々を惹き付けるナチュラルな雰囲気が印象的だ。店舗デザインはこれまで同様、REVEL-design飯島彩子氏が担当。14席の設置が可能なテラスに加え、店内には6名向けの個室も完備。店全体、どこをとっても木材や自然素材の温かみが程よく行き届いたフォトジェニックな空間となっている。
メニューの柱は、「パスタ1000本ノック」と名付けて日替わりで開発するパスタ料理の数々。2011年の1号店オープン以来、日々欠かさず新作を作り続けている。さらに、ランチ用に週替わりで構成するパスタや、ディナーに向けた月替わりのパスタメニューも用意。9月のメニューを例に取れば、「佐賀の里芋と燻製ベーコンで『とろ~り・カルボナーラ』スパゲッティーニ」や「トリュフ香る!『キノコ・クリーミー』スパゲッティ―ニ」(いずれもランチセットのうちの一品1000円)、「山口県長門の『ゆずきち』とヤリイカのペペロンチーノ」(ディナー1200円)など、乳製品や肉類、アンチョビなどの加工食品を常用するピエモンテ料理をベースにしながら、佐賀県産を中心とした産直野菜をたっぷりと使い、華やかでオリジナリティ溢れる皿を作り上げている。
恵比寿店の特徴は、既存店よりもおつまみ感覚の一品料理が充実していること。「名物『マスカルポーネ』とこんがりレーズンパネ・パンナ」(990円)や「『エレナ』サラダ・アンチョビとくるみとドレッシング」(1400円)、「『ピエモンテ風・ポテトサラダ』」(580円)、「牛ハツ『テリヤキ』マヨサミコ」(780円)など「チーズ」「サラダ」「野菜」「肉」「シャルキュトリ」の各項目で各4~12種類を幅広くラインナップしている。特に「シャルキュトリ」の項目では、サラミや生ハムのほかに「『牛肉ジャーキー』」(680円)や「『生ハムキムチ』」(720円)などの自家製メニューを取り揃え、「ハイボール」(450円)や「カンパリ・スカッシュ」(600円)といったアルコールと共に居酒屋感覚で楽しめる構成になっている。ワインは従来通りピエモンテ州のものに特化。同店では毎年の社員旅行で訪れ、実際に視察したワイナリーのものだけを取り扱っている。なかでもイチオシはイタリアの1つ星レストラン「ガルデニア」のオーナー、クロシオ家のワイナリー「カンティーナ・クロシオ」のボトル(5500円~)。こうした同店でしか飲めないお宝ワインも、直接取引ならではの良心的な価格で取り揃えている。
コンセプトは、これまで同様「もしピエモンテ州に自分たちのお店があったら、どんな食堂を作ろうか?」というもの。ベースにあるのは、現地の豊富で美味しい食材を活かして、日本人ならではのアプローチで料理してみる感覚だ。オーナーの横山剛氏は「伝統的なイタリアンとはちょっと違う脳の使い方をしている」と説明する。例えば、里芋が持つ粘り気をオイルと共にソースとして利用したペペロンチーノ。また、正統派イタリアンの感覚では皿の上にパスタソースを余らせるべきではないところを、同店ではたっぷりと”ソースだく”で提供する。それは、都心でのランチやディナーを楽しむ女性客同士が長話をしながらゆっくりと食べても、パスタがダマにならないでずっとおいしいようにという気遣いからの発想だ。こうしたメニューの商品開発や試食には、ホールも含めたスタッフ全員でアイデアを出し合う。それぞれの特別な想いがこもることにより、結果としてスタッフ全員が主体性を持ってサービスができるようになっているのだ。現地の郷土料理をそのまま持ってくるのではなく、東京という都市で暮らす自分たちのリアリティを注ぎ込み、今ここにしかない料理とサービスを提供していることが、同店の最大の特徴であり、強みであるといえる。
高い完成度でオープンした3号店のきっかけは、知人に出店を誘われたこと。実は「出店願望は全くない」と横山氏は笑ってみせる。「僕の夢は、”スパゲッティが食べたいね”となったとき、すぐに”じゃあノックだね”と連想してもらえるような存在になることです」と説明する。「出店計画などは立てません。強いて戦略としてやっていることがあるとすれば、店で毎日新しいメニューを作り、それを毎日フェイスブックに挙げていることくらい。仲間や恋人とカジュアルにお酒を楽しみながら、美味しいスパゲッティが食べられる。そんな店の代名詞的存在になりたい」と語る。現在の主客層は、周辺を活動エリアにする20代~40代の男女や、可処分所得の高い近隣住民、ハイキャリアなオフィスワーカーなど。1号店や2号店からの常連客で、グルメな食事経験を豊富に持ちながら、代わりが利かない存在として同店に通うお客も多いという。創業から5年、一歩ずつ着実に夢に近づきつつあるのを実感しているという横山氏。高級店のフルコースのうちの一品とも、カジュアルなファミレスメニューとも違うパスタの食事体験を提供すべく、ノックでは今日もまた一つ新しいパスタメニューが誕生している。
店舗データ
店名 | KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA(ノック クッチーナ ボナ イタリアーナ) |
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住所 | 東京都渋谷区恵比寿南1-17-17 Time Zoneテラスビル1F |
アクセス | JR・東京メトロ日比谷線 恵比寿駅より徒歩5分 |
電話 | 050-2018-2787 |
営業時間 | ランチ 11:30~15:00(平日 LO14:00/土日祝 14:30) ディナー 17:00~24 :00(平日 LO23:00/土日祝 22:00) |
定休日 | なし |
坪数客数 | 27.8坪・47席(うち個室6席/テラス14席) |
客単価 | ランチ1000円、ディナー4000円 |
運営会社 | マザーレストランツ |
関連リンク | KNOCK CUCINA BUONA ITALIANA(FB) |
関連リンク | マザーレストランツ(HP) |