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イートグッドな大人の居酒屋「メデ・イタシ」
“食”から古き良き日本の価値を伝える

裏路地を進んだ場所に、隠れ家的にひっそりと佇む。「メデ・イタシ」のロゴがデザインされた、赤いのれんが目印。外観からも古風な雰囲気が漂う
「とにかく落ち着く空間にしたい」こだわったカウンターは「コの字型」で、席の高さを上げて、カウンターに入るスタッフと客の目の高さが合うように設計されている
作り置きしていない「本日の煮付け」(1700円)は、オーダーが入ってから20〜30分かけて丁寧に煮付ける
日本酒に梅干し、昆布、鰹節を入れて煮きった、江戸時代からある「煎り酒の刺身」(600円)は、カストリ焼酎との相性も抜群
昭和ダイニング 代表取締役 伊藤まこと氏

(取材=流石 香織)


穏やかな街並みが続く都立大学。昔ながらの飲食店が軒を連ねるこの街は、飲食店同士のつながりが強く、評判の店は口コミで広まりやすいという。この場所で注目を集めているのが、昭和ダイニング代表 伊藤まこと氏が8月19日にオープンした和食店「メデ・イタシ」である。都立大学駅の改札を出て裏通りを進んだ場所に、ひっそりと佇む。「身体に優しい居酒屋を作りたい」という伊藤氏の想いの結晶だ。「『食』という字は『人を良くする』と書きます。だからこそ、健康的な食事をお客様にご提供したい。外食の意義は、お客様に食事の時間を楽しんでいただき、そこで食材、人への愛や感謝の気持ちを深めてもらうこと」と伊藤氏。“めでたい”の語源からとったという店名「メデ・イタシ」には、“めでたし”になるまでの過程を楽しんでもらいたい、との意味が込められている。

伊藤氏は、新卒でゼットンに入社。「神南軒」などで店長を務めながら、同社代表の稲本健一氏のもとで店づくりを学んだ。その後、独立も視野に入れていた彼は、同社から先に独立していた元同社取締役・総料理長の内山昭氏の「イワカムツカリ」に移った。「その時の経験が、今の店づくりにダイレクトに影響しています。ブロイラー、養殖の魚、農薬の強い野菜が食べられない内山さんは、一緒に外食にいくと食べられないメニューがほとんどなんです。その姿を間近で見ていたので、誰でも食べられるような身体にいいものを提供したい、と本気で考えるようになりました」と同店の基礎をつくった経緯を明かす。また、「日本の古き良きものを大切にしたい」とも語る彼の店は、カウンターの木の温もりや、レトロな照明で灯される優しい灯りなど、心から落ち着ける趣のある雰囲気だ。「日本の生産者が育ててくれた良質な食材や酒、職人が作る陶器など、本当に価値あるものが伝わりづらい時代だな、と感じています。それらの価値をお伝えできるように、食材、酒や食器だけではなく、内装にも大正時代や昭和初期の物を使用しています」と話す。

お品書きに書かれたメニューには、伊藤氏が全国各地から取り寄せた食材が使われている。ごはん物の「当日精米土鍋飯」(900円)は、「より鮮度の高い米を食べて欲しい」と石川県能登町で作られる特別栽培米コシヒカリ「天晴(あっぱれ)」をその日に精米し、ふっくらと米が炊ける「萬古焼」と呼ばれる土鍋で一合ずつ炊くこだわりよう。また、「だし巻き玉子」(800円)には、漢方薬としての効果もあるパプリカをエサとした鶏から生まれた「日本一こだわり卵」を使用するなど、素材の栄養にも気を配る。メニューの中でも、角煮を油で揚げて、すり潰した枝豆と味噌を塗ってパンに挟んだ「サクとろ角煮サンド」(880円)は同店の人気メニューだ。食材にこだわり、その味わいを大切にいかした、身体に優しい和食。

ドリンクメニューもオリジナリティに溢れ、際立っている。二日酔いや悪い酔いしないように、とセレクトされたものが並ぶ。酒粕を蒸留してつくる“カストリ”は、「七田」(630円)「テンザンマスク」(600円)など5種類を用意。日本酒は、「屋守 純米」(980円)をはじめ純米酒のみを10種類ほど。ほかにも乙類焼酎をつかった“乙ハイ”、地ウィスキーをつかったハイボール(550円〜)、国産レモン酎ハイ(580円)、さらにクラフトビール「城端 アールグレイ」(900円)もボトルでおいている。国産のクラフトジン「光遠」と人工香料、甘味料、保存料無添加のトニックウォーターを使用したジントニック(780円)まで揃え、徹底した食と身体への配慮がみてとれる。「オープン時に最も苦労した」と話すこれらのメニューは、伊藤氏が作り手に直接会いに行くなどして、一から関係を築き上げてきた。

「今のところこの業態での横展開は考えていません。今後一緒にお店を作っていく料理人やサービスマンの武器を売りにできるような店づくりを目指しています。基本的には個人店のような感じです。具体的にどのようなジャンルで展開していくのかはまだ模索中ですが、やはり身体に良いものをお客様に提供していきたいですね」。現在イメージしているのは、身体に良い食材や酒を提供する割烹や居酒屋だ。「カウンターに立ち、お客様と接することが楽しい」という伊藤氏は、今後も向こう10年は現場から抜けるつもりはないという。「食」と「人」とのご縁を大切にする同社の想いに、店を訪れる者は「日本人が忘れてはならないこと」を思い出すに違いない。

店舗データ

店名 メデ・イタシ
住所 東京都目黒区平町1-26-6 101

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アクセス 東急東横線 都立大学駅から徒歩約3分
電話 03-6316-8372
営業時間 18:00〜23:30(L.O 23:00)
定休日 日曜日
坪数客数 8.75坪・16席
客単価 5000~6000円
運営会社 株式会社昭和ダイニング
関連リンク メデ・イタシ(FB)
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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