江戸の下町情緒をいまに伝える小粋な雰囲気が残る日本橋人形町は、由緒ある老舗の味処が多く残っているだけでなく、そばの激戦区としても知られている。ここに、“究極の塩だし”を武器に、蕎麦業界に新風を吹き込む「そば助」(ビー・スプリングス、代表取締役 八木大助氏)が8月22日オープンした。代表の八木氏の「どこにもないようなそばで、そばの可能性を広げたい」との想いから生まれた“究極の塩だし”は、醤油を一滴も使わずして、かつお風味と蕎麦の味を極限まで高めた唯一無二のそばつゆだ。現在、「稲荷町本店」、「北千住店」に次いで出店を加速している同社。「人形町店」は、フランチャイズ(FC)での店舗展開となり、運営は不動産事業からコンサルティング事業、飲食店の運営まで展開するグローブ(東京都中央区、代表 正木明氏)が行う。
代表の八木氏の飲食店経営は、足立の居酒屋「また助」から始まった。“そば屋をやりたい”との想いを胸に抱きながら物件を探すも、たまたま見つかった物件が居酒屋の居抜き物件だった。この物件を生かそうと、未経験ながら居酒屋としてスタートを切ったのだ。しかし、10年を迎えたころに「やはり、そば屋がやりたい」との想いが強くなり「そば助」の開業を決意。いわゆる普通のそば屋でなく、唯一無二のそば業態を生み出すために、醤油を一切使わない「究極の塩だし」の開発に至ったと八木氏は振り返る。この醤油を一切使わない「究極の塩だし」こそが、八木氏の武器であり、そば助の強さだ。
そば助のメニューは、“究極の塩だし”をベースに、メニュー毎に配合を変えた30種類を超えるつゆを使用するバリエーションの豊富さが特徴だ。究極の塩だしの「かけそば」(380円)をはじめ、「もりそば(塩だし)」(450円)、「特製豚そば」(680円)、「冷し極め塩とりそば」(730円)、「(辛)牛すじそば」(750円)、「(辛)豚ラーそば」(冷・つけ各850円)、「冷し忍法!玉潰し・濃厚豚そば」(900円)など。立ち食い業態でありながらも「濃厚そば」、「つけそば」、「汁なしまぜそば」、「ラー(油)そば」といった、いわゆるそば屋のジャンルを超えた50種類ものユニークなオリジナルそばが並ぶ。さらに、八木氏のこだわりは、つゆやメニューの豊富さだけではない。各店舗にて自家製麺を導入しているというそばは、北海道知床産のそば粉を使用した石臼引きの十割蕎麦で、注文毎に押し出し式の製麺機から投入されるというのにも驚きだ。
そして、もっとそばを楽しんでもらうために、卓上に常備された「特製ごま唐辛子」をお好みで加えれば、味に変化をつけることも、「ちょいめし」(50円)を注文すれば、残りの汁を余すことなく完食することも可能としている。また、そば助初の試みとして人形町店は “そば居酒屋”の機能も持ち合わせている。18時から店舗2階では、おつまみとお酒を用意し、そばで〆る“飲めるそば屋”なのだ。宴会利用も可能で、究極の塩だしポン酢(醤油を使わないポン酢)を使った鍋「やまと豚しゃぶしゃぶ」(2人前/2980円・要予約)なども提供される。八木氏は、そばの可能性を広げたと同時に、そばを食べる人を楽しませることにも余念がない。
日本で“そば”といえば、醤油、みりん、砂糖などでつくる“返し”と鰹節や昆布などで摂る“出汁”を合わせた“そばつゆ”で食べるのが当たり前とされている。そのような常識を覆すかのように、八木氏は「これまでにないそば屋をつくりたい」との一心で、世にないオンリーワンのそば屋「そば助」を誕生させた。いまでは、そば業界の異端児となった同氏だが、もともとそばが大好きで、日本の国民食であることから認められれば長く商売ができるとの考えが、原動力となっている。現在は、国内で約100社前後、海外からは10カ国からFC希望のオファーがあるという。今後は、「駅ナカそば助」、「スタンドそば助」など、立地やマーケットに合わせて出店展開を考えている同氏。FC300店舗、5年後に上場を目指すという。そば業界に激震を走らせる「そば助」に注目が集まっていることは間違いないだろう。