地下鉄の大手町駅直結で、JR東京駅からも近い場所に11月7日、日本生命丸の内ガーデンタワーがオープンした。そのビルの2階に2店舗同時に開店するのが加賀生麩割烹の「神楽坂前田 芳春庵(ほうしゅんあん)」と鉄板焼の「鉄板焼 宮禾(みやのぎ)」である。同ビルは皇居の和田倉濠に面しているため、お濠を眺めながら食事ができる素晴らしいロケーションだ。同店を運営する加賀屋(東京都文京区、代表取締役社長:前田正壽氏)は、「神楽坂 前田」やイタリアンの「KAGURAZAKA STAGIONE」など神楽坂を中心に店舗を展開しており、今回オープンする店を合わせて9店舗となる。
「神楽坂前田 芳春庵」は「神楽坂 前田」の2号店で、1号店と同様に生麩を使った加賀の伝統的な懐石料理を提供する。季節ごとに旬の食材を用い、日本料理の職人が熟練の技を駆使して作り上げる、繊細かつ絢爛な懐石料理の数々。独特のもっちりとした食感の生麩は、メイン料理からデザートまで様々な料理となる。ディナーはコース料理のみ(1万円~)で、ランチはコース料理(4000円~)と、周辺で働くオフィスワーカーのために数量限定の定食(1200円)が用意される。
加賀生麩割烹という、東京ではあまりお目にかかれない業態について、同社の営業本部長、岡野真悟氏は「次世代の老舗と呼ばれるような、100年続く飲食店を作りたいという、社長の想いがあるからなんです」と語った。同社の創業は大正元年(1912年)、今年で102年。当初は乾物屋だったが、その後、時代の流れでスーパーマーケットとなった。飲食事業に乗り出したのは8年ほど前。神楽坂前田の開店は5年前で、「創業者のルーツを調べたところ、加賀にたどり着いた」(岡野氏)という。「流行に左右されない店づくりを心がけています」という同社だけに、新たな店も畳敷きの掘り炬燵などで、障子の向こうには竹などを植えた坪庭がある純和風の個室だ。天井には紅葉や桜形の照明があり、汁物や飲み物にその形が映ると、まるで器に紅葉が浮いているように見えるという。
純和風の個室とは異なり、カウンターで鉄板焼を味わえるのが、同社の新業態となる「鉄板焼 宮禾」である。入口には水槽が設置され、活伊勢海老や活鮑などを新鮮な状態で提供できるようにしている。宮禾の料理もコースのみで、神楽坂前田の日本料理を取り入れたコース(12000円~)が用意される。
いずれの店も料理は和食だが、同系列に小売店やイタリアンがある強みを活かして、ドリンクはワインをメインに提供している。日本料理に合いやすいブルゴーニュのワインやシャンパンを中心に、鉄板焼に合う赤ワインなど100種類余りを常備している他、日本酒や焼酎も、東京ではなかなか飲めない貴重なものを揃えているそうだ。
客層は神楽坂前田と同様に、接待のビジネスマンや、結納の顔合わせなどが多いとみられている。そのような来店客にも好評なのが、着物を着たスタッフによる接客だ。「女将をはじめ、新店で働くスタッフもしっかりと日本のおもてなしをしたい」という岡野氏。神楽坂の名店が、丸の内で新たな歴史を刻もうとしている。
店舗データ
店名 | 神楽坂前田 芳春庵/鉄板焼 宮禾 |
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住所 | 東京都千代田区丸の内1-1-3 丸の内ガーデンタワー 2F |
アクセス | 地下鉄大手町駅直結 |
電話 | 03-6273-4002(芳春庵)/03-6273-4003(宮禾) |
営業時間 | 月~金 ランチ 11:30~15:00(L.O.14:00) ディナー 17:30~23:00(L.O.21:30) 土日祝 ランチ 11:30~16:00(L.O.15:00) ディナー 17:00~23:00(L.O.21:30) |
定休日 | 丸の内ガーデンタワーに準ずる |
坪数客数 | (2店舗合計)約50坪 40席 芳春庵 6席×2室+8席×1室+14席×1室 宮禾 6席(カウンター) |
客単価 | 15000円 |
運営会社 | 株式会社加賀屋 |
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