スパイスワークス(東京都港区、代表取締役:下遠野亘氏)の新殻荘シリーズ「魚介ビストロ 鮭殻荘(シャケガラソウ)」が7月31日、日比谷線恵比寿駅2番出口からすぐの路地裏にオープンした。これまでの殻荘シリーズとの大きな違いは、石狩市と「石狩市の食と観光をPRする飲食店の認定」協定を締結したことにある。全国の鮭の漁獲量の約8割を占める北海道のなかで、“鮭の街”として名を馳せている石狩市。出逢いから4年の歳月を経て、“天然鮭(シロサケ)”の安定供給とブランディングに取り組んでいる石狩市と、飲食店経営を通じて“素材の文化を伝道する”下遠野氏の熱い思いが重なり、協定を締結するに至った。
素材の良さを客にストレートに訴求し、今までにない業態を次々とつくり出してきた下遠野氏。素材特化型の業態開発において、生産者の協力は不可欠だという。素材が作られた背景を知ることからはじまり、素材の特徴を熟知しなければ実現しないからだ。「養殖の鮭に比べて脂があまりのっていない天然鮭は、脂の甘さに旨味を感じる日本人の趣向とは対局に位置するため、国内で見かける機会は減少傾向にあります。しかし、赤身の牛肉の価値が見直されたように、その素材が持つ紛れのない旨さというものを持っているのは、この天然鮭に他ならないと石狩市を訪問して気付かされました」と下遠野氏は話す。
鮭の泳ぐ生簀が、鮭専門店だということを伝えるファサード。店内は、地下1階~地上2階の3フロアで構成され、テーブル席だけでなく個室も完備。ターゲットとする恵比寿界隈で働く30代後半~50代のトレンド感度の高い人たちが、さまざまなシチュエーションに合わせて使えるようにしている。2階には、自家製の鮭とばを使った照明「シャケデリア」が飾られ、同社らしい鮭ワールドが店内にほどこされている。
石狩産の天然鮭の旨さと価値を伝えるための料理は、“石狩クラシッコ”と“石狩リスペクト”で訴求する。石狩地方の伝統料理を忠実に再現した“石狩クラシッコ”には、石狩市監修の「石狩鍋クラシッコ」(1960円)をはじめ、漁師料理の定番「塩鮭のチャンチャン焼き」(1580円)など。伝統を重んじながら料理人が近代風のアレンジを加えた“石狩リスペクト”には、「石狩ブイヤベース」(1960円)や「塩鮭のパイ包み チャンチャン焼き仕立て」(1580円)など。鮭好きならずとも満足できる品々だ。そのほかに、養殖を含む銀ザケ、紅ザケ、キングサーモン、アトランティックサーモンなど世界中の鮭や魚介のあらゆる部位を肉で活用するような調理法を当てはめ、ワインによく合う料理を作り上げている。
料理に合わせるワインは、「赤ワインは赤い肉」「白ワインは白い肉」とペアリングが言われるように、鮭の色と同じ“サーモンピンク”の「ロゼワイン」(ボトル 2500円)を中心に、軽やか甘口から重厚感のある辛口まで幅広く揃える。さらに、サーモン料理を愛するフランス北東部アルザス地方でつくられる、人気の生産者マルセル・ダイスの「アルザス ブラン」(ボトル 5800円)、「ミュスカ・ダルザス ベルグハイム」(ボトル 6900円)など、生産量も少なく、入手困難なワインもラインアップ。
「貝殻荘」「かき殻荘」「エビ殻荘」に続く「鮭殻荘」は、これまでの殻荘シリーズのなかで一番とんがった業態であり、素材の美味しさを伝えるだけでなく、石狩市の食と観光PRにも一役買うというミッションが加わっている。「いずれ、天然鮭を網元から直接買い付けることができるようにしたいと考えています。また、商業施設に“鮭殻荘”を出店することも目指しています」という下遠野氏。日本の文化でもある“鮭の魅力”を素材だけでなく、生産者の思いとともに東京から発信して行く同社の展開に今後も注目だ。
店舗データ
店名 | 魚介ビストロ 鮭殻荘(シャケガラソウ) |
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住所 | 東京都渋谷区恵比寿西1-7-10 大須賀ビル |
アクセス | JR・東京メトロ日比谷線 恵比寿駅から徒歩2分 |
電話 | 03-6416-1569 |
営業時間 | 17:00~23:30(L.O.22:30) |
定休日 | 日・祝 |
坪数客数 | 38坪 86席 |
客単価 | 4500円 |
運営会社 | 株式会社スパイスワークス |
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