JR埼京線とJR武蔵野線の駅前で店舗展開し、埼玉県でドミナント展開を広げるR.O.T(ロット、埼玉県戸田市、代表取締役:田子英城氏)の19店舗目となる、新鮮魚貝居酒屋「魚十郎」(うおじゅうろう)がJR埼京線の北戸田駅徒歩1分の好立地に4月21日オープンした。今年の1月31日に閉店したカフェ&ダイニング&バー「SOZAI食堂10」(ソザイ食堂テン)のリニューアル店舗として、4月1日にオープンした「やきとん葵」(1階)と同店は併設する。北戸田は、1日の平均乗降客数が3万人に届いたほどの新しい街。駅前には、タワーマンションが次々と建設され、1000人規模の人口増加が見込まれるエリアだ。「この街に今までなかった価値をつくりたい」との想いから、既に北戸田で6店舗の超ドミナント戦略を推し進めている。さらに、6月4日には、同店からすぐ近くに60種類のワインと欧風料理を提供するワイン食堂「マルニーナ」をオープンしたばかりだ。
暖簾をくぐり、引き戸を開ける。目の前のゆったりとした広さが確保された階段を上がると、元気なスタッフが出迎えてくれる。店内には、カウンター席、テーブル席、個室が用意され、ニーズによって使い分けることができる、気取らない落ち着いた空間となっている。ターゲットは、既存店よりも年齢層を上げた30代から40代のサラリーマン男性。駅前チェーン店の利用客を取り込むという、同社にとって次のステージとなる一歩先の挑戦が含まれている。店名からも「魚の店」という印象を強く訴求し、この街で魚と言えば「魚十郎」となることを目指す。
インパクトの強いメニューには、真っ赤なカニの爪とともに提供される「花咲カニしゅうまい」(580円)や、甘口が癖になるとろとろとした刺身しょうゆと丸大豆しょうゆの2種で楽しむ、9種類の刺し盛りを豪快に「桶にのるだけ盛り合わせ」(小・2人前 980円)。ハマグリの実力を全部見せる「活ハマグリのしゃぶしゃぶ」(1人前 680円)、ホッケのフライとフライドポテト「北海道フィッシュ&チップス」(580円)も一押しメニュー。魚=和に捕われない、魚を色々な調理法で美味しく楽しませる工夫を凝らしたメニューが並ぶ。
ドリンクメニューを見ると、埼玉の酒が目に止まる。埼玉の地酒「花陽浴」や「新亀」(各100ml 490円)をはじめ、ビールには川越のコエドブルワリーが手がける地ビール「COEDOビール」(伽羅・白 各680円)をラインナップ。一見、何か想像できないネーミングの「GGKハイボール」と「GGKサワー」は、スタッフと客との間で会話が生まれる、ガリガリ君を使った仕掛けメニュー。ワインは、ボトルで10種をバランス良くセレクト。また。想定ターゲットからカクテル類は置かない潔さも良い。
「この街に求められているモノを作った結果、ドミナント展開になった」と田子氏は振り返る。物件を確保してから業態と人材を当てはめていく店づくりで“街づくり”を体現する同社の特出している部分は、飲食事業だけに留まっていないことだ。レストラン事業のほか、人財教育事業、内装・コンサルタント事業、不動産事業を幅広く手がけている。なかでも、人材育成を大切にし、力を注ぐ同氏。40人弱の全社員が月に1度、社長面談を行うという徹底ぶりだ。社長との距離を身近にすることで、何でも相談できる環境を整えているという。「素敵な飲食店のある街に住みたい」という、埼玉の街に暮らす人の希望を叶える街づくりを今後も展開していくだろう。