銀座で半合480円均一、全国から選ぶ約100種類近くが揃う日本酒と、マグロ専門卸しから直接仕入れるマグロ料理に、産直の牡蠣が自慢の「日本酒バー 銀座じゃのめ」が、昨年12月8日オープンした。経営は、同じ銀座で本格ジンギスカン麻布羊屋を経営するPIPS(東京都大田区、代表取締役:土屋一史氏)。表通りには高級店がひしめく銀座も、中央通りから一歩入ればオフィス街となり、多くのサラリーマンが働いている。だからこそ、土屋氏は「特別な店ではなく、サラリーマンが日常通える店づくりを目指した」という。出来る限り地元で愛される日本酒を醸す小さな蔵元の銘柄を揃えるこだわりには、その魅力的な存在や実力を地元以外の人が知ると共に、銀座で郷里の味に出会える場になればとのスタンスと同氏の想いが感じられる。
日本酒と共に自慢なのが、誰もが好きな刺身の代表、じゃのめ名物ともなるお得価格の新鮮マグロ料理と通年提供する産直の牡蠣、北海道直送の鮮魚だ。土屋氏は、飲食店の経営者でありながら、本来の仕事が飲食企業のプロデュースやコンサルティングの、経営者を支えるサイドにある。そんな長年の信頼関係により、築地のマグロ専門卸しや、市場直送といったことを可能としている。少しでも安く、鮮度の良い美味しさを届けたい気持ちをメニューに還元している。
看板の日本酒は1ヶ月を基本に入れ替えながら、常時100種類近くを揃えている。人気や話題の銘柄から小さな蔵元まで全国から選んだ日本酒は、味わいタイプや飲み口の特徴、適温までを、初心者にもわかりすく簡潔にメニューで紹介している。日本酒のほかには、芋、麦、黒糖などの本格焼酎(480円~)に、レモンサワー、ゆずサワーなどの割ものやハイボール(480円~)といった居酒屋定番の酒類もしっかりとラインナップされている。土屋氏のテーマである、日本酒を飲まない人に飲ませたいとの想いから、日本酒初心へも敷居を低くし、誰もが気軽に飲める店であり、少しでも日本酒と親しめることが出来ればと考えるからだ。
料理は、じゃのめ名物マグロ料理が「マグロ刺身」(880円)、「マグロ山かけ」(480円)、「マグロねぎま鍋」(1人前580円 2人前から)、珍しい「まぐろ皮ポン酢」(480円)など。産直の牡蠣は3個で980円、5個1280円。焼き牡蠣も可能。ほかにも「牡蠣の卵とじ」(680円)などがある。刺身では「じゃのめ舟盛り」(1980円/小1280円)や「北海道産活きホタテ」(380円)が人気。ほかに「北海かき揚げ」(880円)、「氷頭なます」(480円)、「鮭の酒びたし」(680円)など北海道的なアテとなるメニューが並ぶ。経験豊富さが仕事をスムーズにし、クオリティを高めるシニア世代のスキルを認識する土屋氏の考えから、料理場を守るのはシニア世代の料理人。スキルを有する世代の積極的な登用を今後の方針のなかでは視野に入れているという。
角地に建つビルの2階に構える店は、通りに面した窓が床から天井までガラス張り。その窓から明るい燈りに照らされた和風モダンのおしゃれな環境が遠くからも際立つ。大工仕事で仕上げた天然杉の木が清々しい癒し感たっぷりの空間は、10年後、20年後も変わらない店、残る店を目指したものという。気軽な中にも、確かさを持つ店は、まさに日本酒を味わう場所と実感する。