JR新橋駅汐留口を出て目の前にそびえる新橋駅前ビルの左手。目立たない路地でありながら、ランチタイムになると新橋のサラリーマンで列をなす店が集まる侮れない界隈。ここに、イタリアンバール「LOCCO(ロッコ)」が6月20日オープンした。オーナーは、「グローバルダイニング」で調理から飲食業全般を学び、「ジェリーフィッシュ」でおもてなしの心や居心地の良い空間のつくり方を培い、ミシュラン星レストラン「マキシム・ド・パリ」で接客のスキルを高めるなど10年以上のキャリアを積み、ソムリエ資格をも持つ、家亀智裕(いえかめともひろ)氏。 風になびくイタリアの国旗に、赤ワインをイメージさせるぶどうマークの入った大きな看板がひと際目を引くファサード。赤色の扉を開いたその先は狭く縦長の店内にオープンキッチンとカウンター席。元ラーメン店の居抜き物件を自分たちの手で改装。ガラスのはめ込まれた入り口の赤い扉は、家亀氏が自分でサイズを測り、ガラスを買い、はめ込み、フレームも塗装したという。「あんまり背伸びせずに小さなお店からはじめたかった」とその思いを語る家亀氏。店が軌道にのったら改装しようとしていた2階は、オープン後わずか2ヶ月でテーブル席と生まれ変わった盛況ぶりだ。 カウンター越しの軽快なトークとともにシェフとソムリエの顔で楽しませてくれる家亀氏。小さな店内ながら、ワインは赤・白ボトル50-60種を温度管理に徹底して揃える。空調のそばの壁に並べられている赤ワインのボトルたち。実は、空調を利用して適温にしているという。赤ワインの常温とは、その生産地の常温であって日本の気温そのままを常温としない。少し冷やした温度が赤ワインの常温なのだ。提供する温度へこだわりは、ソムリエ資格を持つ家亀氏だからこそ。美味しいものを一番美味しい状態で楽しんで欲しいからであり、背伸びをしない店つくりの工夫である。いろいろなタイプのワインを気軽に楽しんでもらいたいとの思いから、ボトル2000~3000円台のものを厚めに価格帯は1890円~8190円、グラスワイン(500円~)は10種類をラインナップ。 ランチメニューは、破格のワンコイン、ワンプレート料理の「限定15食の日替わりランチ」(500円)のほか、「ハンバーグランチ」(700円)、「本日のピッツァランチ」(800円)、「パスタランチ」(2種 700円と900円)の4種類を用意。ディナーの名物メニューは、「フォアグラのロッシーニ」(1480円)。贅沢にも神戸牛のフィレステーキの上にフォアグラを重ねる二段重ね。「黒毛和牛ハンバーグとマッシュポテトのミルフィーユ」は、一番上に目玉焼きがのせられ、少年心を呼び覚ます。真ん中にナイフを入れると、ようやくハンバーグが顔を出す。真っ白なマッシュポテトを皿に敷いたミルフィーユ仕立て。「渡り蟹のトマトクリームスパゲッティ」(980円)は、渡り蟹の身を丁寧に全部取り出し、カニミソも加えた、風味豊かな濃厚なソースを歯ごたえの楽しめるアルデンテに絡めた一品。独立前にイタリア・トスカーナ地方に留学した家亀氏が、ホームステイ先のママンに教わったという「ティラミス」(480円)もオススメ。 本格的なシェフの料理をカジュアルスタイルでリーズナブルに提供する“ハイクオリティカジュアル”の同店のカウンター席を埋め尽くすのは、ワイングラス片手にフォアグラのロッシーニを頬張り、美味しい至福のひとときを楽しんでいる女性たち。美味しいものに満たされ、そして陽気に帰って行く。カジュアルな店からハイクオリティな店まで経験した家亀氏だからこそ具現化できた同店のスタイル。今後は、2年後の法人化を目指し、人と人が繋がるチームをつくり、スタッフが活躍して行ける場をつくれる会社にしたい。大人の女性の遊び場になるような“本格イタリアン×ミラーボールのあるディスコ”なんていう業態も面白そうと夢を語る。「媚びない接客」をいつも心に、素直な気持ちでおもてなしする心を大切にしてきた家亀氏なら実現する日も近いだろう。
店舗データ
店名 | Italian Bar Locco(イタリアンバール ロッコ) |
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住所 | 東京都港区新橋2-19-7 |
アクセス | JR・私鉄各線 新橋駅汐留口 徒歩1分 |
電話 | 03-6254-7441 |
営業時間 | ランチ 10:00-16:00 ディナー 16:00-23:30 |
定休日 | 日曜日 |
坪数客数 | 7坪・22席 |
客単価 | ランチ 800円、ディナー 3500円 |
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