渋谷マークシティの脇道を一本入った路地裏に、骨付鳥専門店「釜焼鳥本舗 おやひなや 渋谷ハチ公口店」が7月19日オープンした。運営は、ムーヴ(大阪府大阪市中央区、代表取締役社長:江戸勇雄氏)が、大真とのライセンス契約で行なう。同社は、全国に15オフィスを構え、稼動登録アルバイト数1000名。主に、屋内外のイベントの搬入出・設営撤去・運営を行なう。いわば異業種からの参入だ。 同店をライセンス運営するきっかけは、“ご縁”。3年前にブログを通じて、「鳥貴族」の大倉忠司氏に出会った。それがきっかけとなり、飲食起業オーナーの経営塾「太陽の会」の入会資格となるオブザーバーとして参加。その後、全国に「釜焼鳥本舗 おやひなや」を直営5店舗・ライセンス18店舗展開する大真(代表取締役:真鍋大作氏)の専務取締役久松竜介氏と出会う。月に1度開催される太陽の会の勉強会で多くのことを学び、第一線で活躍する経営者と知り合った“ご縁”で、今があると江戸氏は振り返る。 「この“骨付鳥”は本当に美味しいんです。だから、久松さんに僕の事務所の近くに“おやひなや”を出してくださいって言ったら、じゃあ江戸さん出してよって」、「東京の自社業態をクローズしたこともあり、次は自社業態ではないものをとは考えていました。“骨付鳥”業態の成功を見ているので、そのノウハウを今後の自社業態への堅実な店舗経営につなげられると思い、出店を決めました」と江戸氏。同氏と久松氏は”香川県“に共通点を持つ。久松氏の出身地は、香川県の小豆島。その小豆島で、江戸氏は、高校卒業の2年間を過ごしている。さらに、同社取締役の関係者に、久松氏の高校の同級生がいるのだ。香川に親しみがある間柄ゆえに、意気投合したともいえる。 同社は、2006年に大阪本社事務所の一角を改装し、1号店の「Cafe&bar agio(アージョ)」をオープンし、2010年、2号店となる大阪堺筋本町の「サカホン酒場」、2012年に3号店の東京八王子ロマン地下「元祖味たこ本舗 ほんまや」と飲食事業展開を行なってきた。現在、1号店は本社移転と共に閉店、3号店は渋谷オープンにあわせて撤退し、大阪と東京の2店舗のみとなっている。 既存店の「昭和レトロ」とは違う、「昭和モダン」をコンセプトにしたおしゃれで落ち着いた店内。久松氏と共に新しい業態モデルの構築を試みているという。ライセンスの核となる「骨付鳥」(柔らかジューシーな「ひな」と噛めば噛むほど味が出る「おや」の2種類・各819円)以外は四国の食材を使った「小豆鳥そうめん」や「かつをの土佐盛りサラダ」(724円)をはじめ、既存店にはないオリジナルのメニュー展開をする。ジュレがキラキラする「トマトのお浸し」(399円)や輪切りのすだちを浮かべた「すだち麺」(651円)、彩り鮮やかな果実たっぷり「フルーツワイン」(410円)、ふんだんなフレッシュミントの「モヒート」(504円)など、女性ウケしやすい工夫を凝らす。更に、ランチメニューにはハーフサイズを用意し、女性をターゲットとした、女性が入りやすい店を意識している。 江戸氏は、渋谷を皮切りに年内にもう1店舗同業態を出店し、来春には新業態も出店したいと今後の展望を語る。まったく飲食事業とは関係のないようにも見受けられる、屋内外のイベント関連事業であるが、「人の笑顔」がその先には待っている。じっとイベントの成功を願い準備をすることが“裏舞台”とすれば、人の満足度がすぐに返ってくる飲食業は“表舞台”。求人不足で悩むオーナーの多い飲食業界で、人材の数の多さを同社の強みとして、両事業の相乗効果を狙う。
ヘッドライン
[ニューオープン]
2013.09.06
東京23区初出店、浪花のイベント男・江戸勇雄氏が異業種から参入。「釜焼鳥本舗 おやひなや 渋谷ハチ公口店」が7月19日オープン。うどん県名物、ふんだんなスパイスに誰もが癖になる「おや」と「ひな」にかぶりつき!
- 裏路地でありながら、オープンなファサードに人々が引き寄せられてくる
- 昭和モダンをコンセプトとした店内は、座席の間隔にも抜群の居心地良さが
- 骨付鳥「ひな」と特製 白湯おでん (609円)、トマトのお浸し、すだち麺、ドリンクはフルーツワインにモヒート
- オリジナル販促グッズ。“ひな”から“おや”に成長していくシールや入浴剤、オリジナルタオルなど
- 賑やかなスタッフ、中央右は店長の石橋昭浩氏、右から2番目が代表取締役社長の江戸勇雄氏
(取材=下前 ユミ)