外苑前のオシャレな家具や洋服のショップが並ぶ通りを抜けると、住宅街の中にテラスのある2階建ての一軒家が見えてくる。4月30日にオープンしたイタリアンレストラン「Gar Eden (ガル エデン)」は、以前は倉庫として使われていたという築40年余りの建物を改装して造られた。「イタリアの田舎にあるようなレストランにしたい」という希望を叶えるために物件を探したという小林賢三店長は「大人が来るような店を作りたかったので、外苑前や表参道の他にも恵比寿や中目黒などに足を運びました。ビル内にある店舗もいろいろ見て回ったのですが、この一軒家を見た時に僕らの店のイメージがどんどん湧いてきたんです」と、ここに店を構えた理由を語った。店名はラテン語でガーデン=庭という意味で、そのイメージ通りにテラス席ではペットを連れたりベビーカーを押した家族連れが、店内ではカップルたちがワインやビールのグラスを傾けながらゆったりとした時間を過ごしている。大きな窓のある明るい2階のテーブル席では、女性のグループがにぎやかに食事を楽しんでいた。 この店の料理はイタリアの中部にあるアブルツォ地方の家庭料理で、仕入れや季節によってメニューが変わる。店の名物は「キタリーナ」というモチモチとしてコシのある手打ちパスタだ。トマトソースの定番「ポモドーロ」(900円)や「フレッシュトマトとハーブのソース」(1300円)の他、ちょっと贅沢にトリュフの爽やかな香りを楽しめる「サマートリュフのソース」(2000円)などがある。前菜や炭火焼きなどの一品料理も豊富で、色鮮やかで盛り付けも食感も楽しい「オルツォ(大麦)のプチプチ具沢山サラダ」(650円)、仔羊の串焼き「アロスティチーニ」(700円)など、他のイタリアンレストランではあまりお目にかかれないようなメニューもある。それもそのはず、厨房で腕を振るうのはイタリアで6年間修業をしたという島本さつきシェフ。本場の味をそのままこの店で再現している。 ドリンクはイタリア各地のワイン(グラス750円~、ボトル3200円~)の他に、国内外のクラフトビールが常時10種類(グラス580円、パイント880円)用意されているのがこの店の特徴だ。ワインもビールも仕入れによってメニューは変わるが、取材の日にはイタリアのビッラデルボルゴ「レアーレ エクストラIPA」や長野の志賀高原ビール「ミヤマブロンド」、岡山の独歩ビール「マスカットピルス」などが提供されていた。小林氏は「イタリアンレストランでは料理とワインという方が多いと思いますが、クラフトビールと合わせるという新たな発見をしてもらえればうれしいです」という。 小林氏は以前、「CRAFT BEER MARKET(クラフトビアマーケット) 神保町店」で店長を務めており、クラフトビールの商品知識や扱い方についてはそこで経験を積んだ。当時はブルワリーに行ってホップを摘む手伝いをしたこともあるそうで、そのような生産者とのつながりもこの店で活かされている。「クラフトビールの魅力は、気軽に飲めるということと、その味の奥深さにあると思います。生産者によっても土地柄によっても個性があって、例えば同じペールエールといっても全く違うビールができますから」と、その魅力を楽しそうに話す小林氏。「ビールもワインも生産者が美味しいものを造ってくれる。それを提供する僕らは雰囲気を大事にしていきたい」と、生産者への感謝を語った。 外苑前からも表参道からも近いこの店を訪れるのは、周辺で仕事をしている人や近所に住んでいる人が多く、客層は30代後半の女性が中心という。オープンから2ヶ月余りが過ぎ、週に何度かやってくる常連客もついてきた。店を切り盛りする小林氏に今後について聞くと「じっくりコツコツとやっていきたい。周囲にいるお客様と顔なじみになって、地域の人が日常的に使うような店にしたいですね」と、実直な答えが返ってきた。環境になじむ外観どおり、そして店名のGar Eden( = 庭)のようにこの場所に根づく店になるのか、これからも注目していきたい。
店舗データ
店名 | Gar Eden (ガル エデン) |
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住所 | 東京都渋谷区神宮前3-6-6 |
アクセス | 地下鉄外苑前駅から徒歩7分、表参道駅から徒歩6分 |
電話 | 03-6721-1444 |
営業時間 | 月・水-金:ランチ 11:30 - 15:30、ディナー 18:00 - 23:30 土: 11:30 - 23:30 日祝:11:30 - 22:00 |
定休日 | 火曜日 |
坪数客数 | 29坪・44席 |
客単価 | ランチ 1000円、ディナー 4000円 |
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