三茶(さんちゃ)とも呼ばれ、駅前には下町情緒あふれる商店街があり、味わい深い街並みの三軒茶屋。その一方で、おしゃれなカフェやレストランが数多く軒を連ね、「住みたい街」として人気の高いエリアだ。 “500円の特大ピザと2500円のワイン”で連日大盛況の渋谷「uraCONA」の2号店「CONA三軒茶屋」が5月20日、三軒茶屋にオープンした。運営は、jouis(東京都渋谷区、代表取締役 卜部真由香氏)。代表の卜部氏は、OLから転身して独立起業したシンデレラガール。社名の「jouis (ジュイ)」とは、フランス語で「楽しむ」という意味。笑いや喜びに満ち溢れる充実した毎日の中で、人生を楽しく送りたいと起業時の決心を社名に込めている。
卜部氏は、学生時代にアルバイトをしていた宅配ピザチェーンの「ピザーラ」を運営するフォーシーズに25歳で入社。一日中、デスクに向かう事務職をこなす傍らで、やりたいことが見つからない日々を過ごす、ワインの好きな普通のOLだった。趣味は、食べ飲み歩き。いつものように入った店で「こんなお店を持ちたい」と、自分がずっと探していたものに出会った。そこが、渋谷の「CONA」だったという。ワインボトルを手に取りながら自由に選べる臨場感と、そこで楽しそうに働くスタッフに魅了され、早速アルバイトに応募。無事に採用となるが、その時の倍率は非常に高く、100人の応募があり、採用されたのはたったの7人。当時30歳の自分以外は、20歳そこそこの学生ばかりだった。「将来開業したい」という熱意が通じたのだと振り返る。そして、アルバイトをしながら、開業する夢に向かう同氏に「お店を持ってみないか?」とチャンスが巡ってきた。
同店の一番のこだわりは、ワインセラーから自分で手にとって選べる、2500円のボトルワイン。「ワインに込められた生産者の想いを手にとって感じてほしい」と、常時100種以上用意。普段ワインを飲まない人も、ワインを知って、楽しんでほしいとの想いから、毎月変わるグラスワイン(120ml 500円)は「赤・白が4種類ずつ、スパークリングが2種類の計10種類」をラインナップ。同店の看板メニューである500円のピザは、生地もソースも手作り。特製の500℃ピザ窯で一気に焼き上げることで、外はサクサク、中はモチモチの食感で、本格ピザがワンコインで食べられると、人気沸騰している。サイドメニューも、ほとんどがワンコイン。桜のチップで軽く燻した「淡路鶏のむね肉のたたき~軽いスモーク」(500円)など、ひと手間かけたワインに合う料理がワンコインで食べられる。
現在は、ライセンス展開している「CONA」だが、卜部氏が開業した当時はそのような制度がなかった。前々から、「資金を貸すから好きなことをやれ」と言う兄から開業資金を借りることはできた。根性と行動力、ヤル気だけは十分にある。自分に足りないのは、飲食業のノウハウだけだった。姉妹店として、オペレーションやノウハウが導入でき、物件探しから自分の思うままに店をつくることができた1号店の「uraCONA」。やや不便な立地ながらも、コストパフォーマンスが良いと連日大盛況の人気店となり、兄への返済も終えた。 そして、開業3年を期にオープンした、2号店の「CONA三軒茶屋」。「人が集まりたくなる笑顔が絶えない場所。お客様同士が仲良くなる、街のコミュニティーになりたい」と接する人を幸せで包んでくれそうな笑顔の卜部氏の「思えば、思われる」、シンデレラストーリー。「チャンスの女神」を逃さないためには、「応援したい」と周囲の人に思わせるまっすぐな情熱がなくてはならないのだろう。今後、同氏に続く女性経営者が“茶CONAコミュニティー”から輩出されるかもしれない。
店舗データ
店名 | CONA三軒茶屋 |
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住所 | 東京都世田谷区三軒茶屋2-15-14 ABCビル105 |
アクセス | 三軒茶屋駅より徒歩2分 |
電話 | 03-5432-9948 |
営業時間 | 月〜木・日: 18:00〜2:00 金〜土: 18:00〜4:00 |
定休日 | 年末年始、お盆 |
坪数客数 | 12坪・29席 |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | 株式会社jouis |
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