「鳥番長」「豚大門市場」、どちらからも徒歩1~2分の場所に、今度は“串カツ・天ぷら・生さつま揚げ”を売りにした、バイタリティ・岩田浩氏による「揚げ三兄弟 小伝馬町店」が1月11日にオープンした。元は倉庫だった3階建てのビルを借り上げ、1階は6人程が立ち飲み出来るカウンター、2階は14席のテーブル席、3階には近隣店舗の仕込みをまとめて行なう同社専用のキッチンを備えた。1、2階合わせて10坪が営業スペースとなっている。同社初の揚げ物業態に挑むきっかけとなったのは、大阪の大衆系酒場を見てまわっていた際に「串カツは面白い」と率直に思ったことだったそうだ。しかし、大阪に比べ“串カツ”という食文化が根付いていない東京では、これ一本で勝負するには厳しいと考え、何か別の要素を付加して新しい業態にできないか思案した。そこで、前職のラムラ時代に扱っていた“すり身”のことを思い出し、生さつま揚げへの挑戦と、現在ランチメニューの軸となっている“天ぷら”を加え、「揚げ物3本柱」というコンセプトに行き着いた。 具体的に夜のメニューを覗いてみると、串カツには「ししとうジョー」(100円)や「しいたけお」(120円)、「徹子(玉ねぎ)」(100円)や「海老蔵」(150円)と芸名をもじったものや、「ハットリくん(なると)」(180円)や「しし丸(ちくわ)」(120円)などのキャラクターからヒントを得た、かなり洒落のきいたメニュー名が並び、お客の話題をさらっている。もちろん正統派の「串カツ」(200円)や、大阪では定番の骨抜きした手羽先「チューリップ」(200円)、「とんかつ」などもある。そして「生さつま揚げ」(480円)は、「いかゲソ」、「さつまいも」、「紅しょうが」、「ごぼう」、「えだまめ」(各500円)と、自家製の揚げたてが種類豊富に楽しめる。また、天ぷらは「トリ天」のみで、「紅しょうが」「青のり」「黒ごま」(各480円)の3種類がある。揚げ物類以外では 、おつまみも各種揃っているが、「揚げ三兄弟」「鳥番長」「豚大門市場」の3店舗間で“出前サービス”も行なっているため、これを利用する手もある。何か締めのメニューが欲しいという場合には、ラーメンや焼きそばなどを「鳥番長」からオーダーすることも可能だし、例え満席で「揚げ三兄弟」に入れなくても、「鳥番長」「豚大門市場」から“揚げ物”を注文することもできる。これにより、各店のメニューをスリム化し、コンセプトを際立たせる狙いや、各店の空席を補填する効果もあるようで、すでに相乗効果が出ているという。 一方、ランチメニューは「天ぷら」が主役。店内で食べられるのは「天丼」(800円)のみで、丼からはみ出すほど大きい穴子や海老、野菜などが豪快に盛られ、日に30~40食ほど出るようだ。加えて、持ち帰り用の「お好み天丼弁当」は、その名の通りご飯の量(小150円・中200円・大250円)と、揚げたての天ぷらが自由に選べる。定番の食材に加え、「本日のおやさい」と題し、「さつまいも・まいたけ・なすび・れんこん・長芋・春菊」(取材日のメニュー)の日替わり野菜天ぷらが各50円。ご飯量と食材の選択によってヘルシーさを重視することもできるため、女性にも人気が高くリピーターが多いという。 11月から相次いだ3店舗の出店で、同社は計6店舗となり、「ようやくスケールメリットを感じられるようになりました」と岩田氏。今後は「鳥番長」「豚大門市場」の出店を増やしたいようだが、小伝馬町エリアであれば、さらに別業態で勝負するという。さらに、「魚を扱えるスタッフが揃っているので魚系業態もやってみたいのですが、社員自らアイデアを出してくれれば、それを実現したい」と語ってくれた。しかし、「あくまで教育が行き届くペースでの出店を重視しているので、今年は人材確保や育成に力を入れたい」という。独立前から共に働くスタッフではなく、「独立後に仲間となったスタッフたちが成長しなければ、次のステップにはいけません」と話す岩田氏。だが「10店舗くらいまでは考えていますし、20億円のラインも見えています」と、明かしてくれた。そう語る岩田氏に、今後も業界やメディアからの注目と期待が一層寄せられそうだ。
店舗データ
店名 | 揚げ三兄弟 小伝馬町店 |
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住所 | 東京都中央区日本橋小伝馬町14-13 1~2階 |
アクセス | 地下鉄小伝馬町より徒歩4分、 都営地下鉄馬喰横山・JR馬喰町より徒歩3分 |
電話 | 03-5623-2244 |
営業時間 | ランチ11:30~15:00、ディナー15:00~24:00 |
定休日 | 日・祝 |
坪数客数 | 10坪・14席+スタンディング |
客単価 | 2000円 |
運営会社 | 株式会社バイタリティ |