生粋の新橋っ子、平木洋一氏が地元・新橋に「平木商店」を9月14日オープン。以来、地域密着の地バルとして人気店に！

新橋は誰もが知る飲食エリアであり、日々多くのビジネスマンが憩いを求める“おじさんの街”というイメージが大きい。歴史は長く、未だ昭和の面影を残す街には、赤ちょうちん的な居酒屋や古典的な小料理屋などの大衆酒場業態が多く、老舗と呼ばれる店も数知れず。一方、最近では、ワインバルや洋食業態といった新しい業態も増えたことで、これまでの客層に若い世代や女性も加わり、老若男女が賑わうという時代の変遷を見せている。とはいえ、一歩路地を入ると、未だ時間の経過だけが持つ熟成した空気を感じる。 柳通りから入り込んだそんな空気が漂う路地に「平木商店」をオープンさせた平木洋一氏。なんとニュー新橋駅前、今は公園となっている小学校に通ったという、生粋の新橋3代目である。そんな平木氏は「地元・新橋で腰を据えた商売を」と考え、修行したのはよく知る老舗の焼き鳥「鳥藤」。開業店舗は当然ながら典型的な焼き鳥業態と思いきや、炭火焼き料理と洋食料理。そう、和と洋が気軽に楽しめる新しい形態の店を開業したのである。カウンターに立つシェフは、平木氏のパートナーでもある石橋礼美さん。彼女は、銀座のスペイン料理の老舗で長く修行し、その後イタリアン業態でも経験を積んで来たという。 平木氏と石橋さんの目指す店は、夫婦2人で腰を据えて営み、お客さんとのコミュニケーションを大切にする昔ながらの小料理屋という。とはいえ典型的な和ではなく、自分達の世代に合ったスタイル、時代に呼応した店にしたいと言う。そんな思いを形にした「平木商店」はカウンターを中心にした造りで、一人でも楽しめるスタイルだ。白をベースにしたシンプルモダンな環境のなか、耳付き杉の存在感ある一枚板の和仕上げのカウンターが空間を引き締めている。 メニューには平木氏が焼く「焼き鳥」を軸にした炭火焼きと、石橋さんの作るスペインオムレツ、パスタなどの洋食料理が並ぶ。タレに隠し味があるという「焼き鳥」は1本200円からで、お得な「盛り合わせ」（1000円）も用意。「野菜焼き」は各250円、香りも豊かでジューシーな「ラムチャップ」は1本600円だ。洋食メニューは「白レバーのパテ」（500円）、同店オリジナルの「バックリブのトマト煮オーブン焼き」（880円）、そして締めには「イカ墨のパエリア」（1500円）と、石橋さん渾身の品が揃う。ちなみに一押しの「本日のスペイン風オムレツ」（450円）は、創業60年という船橋市の養鶏場のこだわり鶏卵で作っている。メニューにある卵かけごはんは、そんな鶏卵をシンプルに味わって欲しいとのことである。ご飯も魚沼の契約農家の米を昔ながらの釜で炊いている。野菜も鶏糞で育てる有機野菜と、素材は全て2人が信頼出来るクオリティーのものを吟味しているという。 ドリンクは、和洋双方との相性が良いワインがメイン。グラスは500円～800円と気軽な価格。ボトルは3000円～5000円で、赤・白10銘柄を揃えている。これらのワインは全て、青山にある「ブルーノート東京」の統括であり、専属ソムリエ福地亘氏が料理に合わせ厳選したクオリティーも確かなものとなっている。他に日本酒やサワーなども揃えるが、実は「平木商店」のもう一つのお勧めは奄美諸島産の「黒糖焼酎」。特に、長年奄美諸島に通うサーファーでもある平木氏が入手する、幻の地焼酎が飲めるという。「長雲」、「瀬戸の灘」、「まーらん舟」、「満月」などの黒糖焼酎も含め、焼酎は全て550円で提供する。 「平木商店」は、その日の気分や、あれも、これもと言う欲張りな気持ちに応えてくれる嬉しい店なのだ。しかし、何よりはそれぞれのプロの域へのこだわり。「ちゃんと美味しいものを適正な価格で提供する、まっとうなお店でいることです」と平木氏は話す。個店の多かった新橋では近隣の付き合いも深かったとか。平日は朝の4時まで営業し、同業者も多く集まるという「平木商店」は、世代交代する新橋を支える店でもあるようだ。

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