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住宅地の隙間ニーズ開拓を目指し、都心型業態で勝負をかける!“都心近くのローカル立地”板橋に「Masas ビストロ酒場」が11月21日オープン

1階はあえてガラス張りにすることで店内の賑わいを通行人に伝える。ちょうど視線の高さにあるカウンターのタネケースが、強い印象を与える
カジュアルな1階とは対照的に、ムーディーな雰囲気に仕上げた2階席。団体客の利用も取り込む
手頃な300円と500円のメニューを核に据えながら、その一方でごちそう感のある1500円のメイン料理も2種揃える
経営者の小森正紀氏。国内、海外で多彩なキャリアを積み、独立を果たす。外食による板橋の活性化に余念がない

東京・板橋という街は、JR埼京線を使えば隣駅の池袋まで3分、さらに新宿まで8分、渋谷まで14分、恵比寿まで16分と、東京の主要繁華街までわずかな時間で行ける超交通至便な街である。その利便性ゆえ、ちょっと足を延ばせばすべて事足りてしまい、その結果、地元での消費がどうしても鈍りがちになる。外食などは特にそうした傾向が顕著で、平日の仕事帰り、都心での飲みも終電をそう気にすることなく気軽に楽しめ、また休日のプライベートな食事も埼京線にひょいと飛び乗れば選択肢はいくらでも広がることになる。そのため、街は“都心近くのローカル立地”的な雰囲気に包まれ、駅周辺の飲食店の数もどこか寂しげだ。「わざわざ繁華街まで出かけなくても、地元に洒落た店があれば……」。住宅地などでそうした声は割合よく聞かれるが、板橋の場合、便利さゆえにそうした要望も自ずと希薄となり、結果的に日常づかいの飲食店が多数を占めるのもまた当然のことだろう。そうした中、地元を活性化したいとの想いで都心型業態を板橋に出店し、これまで隙間になっていたマーケットに果敢にチャレンジしているのが「Masas ビストロ酒場」だ。
同店のオープンは2011年11月21日で、クリーニング店跡の築50年になる古びた一軒家に出店。店舗はワンフロア6.5坪の2階建てで、1階が18席、2階が20席の計38席で構成。ファサードは一面に古材を張り合わせたシックな造りで、1階はガラス張りのため外から店内が隅々まで見渡せる。客席は10席のL字型カウンター席と4人掛けのハイテーブル席2卓からなり、30~40代を中心とした客が楽しげに飲み、語らう姿が日々目撃される。JR板橋駅は、駅の左右2ヵ所に出口があり、進行方向埼玉方面に向かって右側が北区、左側が板橋区と線路を境に区が分かれるが、ともに駅前の寂しげな雰囲気は共通で、「Masas ビストロ酒場」のある北区側の方に、より寂しげな雰囲気が漂う。そうした場所にこれまで地元にあまりなかったタイプの店が出現し、しかも店内はいつも楽しげな雰囲気に包まれているものだから、店の前を通り過ぎる人たちはどうしても同店の存在が気になってしまう。
また、客の賑わうシーンだけでなく“見られる”ことを前提にした店づくりも特徴で、例えば1階は壁一面にワインの木箱の板を張り巡らし、ウッディーでお洒落な雰囲気を演出する。そうした中、カウンターに設置したココットを並べた赤のタネケースの色彩が抜群の存在感を醸し出し、通行人の記憶に強く訴えかけることで店への“ひっかかり”を作る。赤のタネケースはちょうど視線の高さにあり、店の前を通る度にその色彩のワンポイントがドーンと目に飛び込んでくる。その結果、仕事帰りの人たちが毎日通る度に、それがひっかかりとなって“どこか気になる店”として記憶に蓄積されていくこととなる。店の存在を別段意識されることなく毎日素通りされるのと、何か気になる店として通行人の記憶に強くとどまるのとでは、後々大きな差となって現われてくる。こうした緻密に計算された潜在意識への訴えかけで、店の存在を通行人の記憶にさり気なく、そして巧みにすり込んでいく。同店では立地や業種の特性ゆえ店内が満員になるのは20時頃と遅めだが、そうした時間帯より早く店の前を通る通行人に対しても、店の存在を効果的にアピールすることで“どこか気になる店”として店の存在を強く印象づけている。
店のスタッフが全員女性なのも、客の来店を促すために工夫を凝らした動機づけの一つ。こうした戦略は、1日の疲れを女性とのちょっとした会話で癒したい男性客はもちろん、女性客も同性のスタッフがいることで安心して入りやすくなる効果をもたらす。特に一人飲みの女性客にとって女性スタッフの存在は本当に心強いものがあり、安心感を覚えて店を利用してくれれば、他の一人飲みの女性客も自然とつられて足を運びやすくなるというもの。繁華街などと違い、住宅地で女性が気軽に一人飲みできる店は全体的にまだまだ少なく、そうした潜在需要は決して小さくないと思われる。同店ではこうした住宅地ならではの隠れた需要に着目し、幅広い客層の掘り起こしに積極的に取り組んでいる。一般に住宅地などでは、顔見知りに見られたくないという警戒心が働くため、外から丸見えの店はどうしても敬遠されやすい傾向にある。だが、同店ではあえて丸見えにすることによるメリットの方を重視した。客の男女比は半々と予想以上に女性客の比率が多く、仕事帰りのサラリーマン、OLなどを中心に連日賑わっている。
1階が仕事帰りにふらっと立ち寄って軽く1~2杯楽しむ、気軽な日常利用の“ワイン酒場”なら、2階は非日常感が漂うしっとりとした雰囲気のラウンジ風の空間。スケルトンに仕上げた天井には築50年の建物の梁が控えめながらも強い存在感を発揮し、そこにアンティークなシャンデリアやシーリングファンがクラシックな趣きを添える。客席は赤、緑、オレンジと色とりどりの華やかなソファ席で構成され、暖色系のスタンド照明がムーディーな雰囲気を醸す。2階のみチャージ500円がかかるが(アミューズ付)、落ち着いて楽しみたいカップル客やパーティー、合コン利用など、1階とは異なる利用動機の客の取り込みを狙う。こうした雰囲気の店は地元にそうそうないだけに、また、外から見える限りこのような空間があるとはとても想像できず、その意外性から客に強い驚きを与え、クチコミ効果ももたらしている。
一方、メニューは「ピクルス」「黒オリーブタプナード」など4種の300円メニュー、「イカのアンチョビソテー」「バスク風チキンウィング」など12種の500円メニュー、1500円の「バーニャカウダ」「Masas ステーキ」で構成。300円と500円の2プライスの料理で気軽さを出しながら、ごちそう感のある1500円のメイン料理もしっかり揃える。料理は多くを仕込み置きしたココット料理で構成し、仕込みに手間をかけることで営業時の提供をスムーズに行なう。ココット料理中心だと腰を落ち着けて楽しみたい客にはちょっと物足りない部分も出てきてしまうため、2種と絞り込みながらメイン料理もきちんと揃えることで客の利用の幅を広げている。「バーニャカウダ」は今ではすっかりメジャーな料理となったが、まだまだ食べたことがないという人も少なくない。こうした料理は客の利用を促すメニューとしてまさに最適で、500円追加でチーズフォンデュスタイルとしても楽しめるひと工夫もプラス。また、「Masas ステーキ」は300gもある豪快なステーキで、フライパンごと供するシズル感、そしてパンチのきいた味つけが好評を博している。
“ビストロ酒場”だけに、小規模店ながらもアルコールはワインのラインナップを充実させており、ボトルは2800円と4800円の2プライスで、赤、白、スパークリングを合わせ、計24種を揃える。グラスは赤、白、スパークリング、ミモザ、赤と白のアペリティフを500円均一で提供。ビール類も「ハートランド」「シャンディーガフ」「レッドアイ」「爆弾(ウイスキー+ビール)」を揃え、500円均一に。一般にビアカクテルと言うと、カクテルというだけでビールより高めの値づけにする店が大半だが、同店では同一料金にすることでお値打ち感を訴求。さらに女性客を意識して、差別化のために導入したのがベルギービール。計8種揃え、1000円均一で供する。その他、“ready  to  drink”と名づけた瓶のままカジュアルに飲む「ジーマ」「モヒート オリジナル」など8種のアルコールを揃え、こちらも500円均一で提供する。これらをアルコールのグランドメニューとし、料理とともにガブガブ楽しんでもらっている。
同店を経営する小森正紀氏は駅の反対側で「Masas 500円バル」を運営しており、「Masas ビストロ酒場」は2店舗目にあたる。「Masas 500円バル」は「Masas ビストロ酒場」同様、駅から徒歩1分の場所にあり、店の規模は6.8坪・18席とちょうど半分の大きさだ。業態はイタリアンベースのバールで、10種の500円ピザをメインにタパスで脇を固め、アルコールは100種以上揃えたカクテルを売り物に据える。客層は7~8割が男性と、「Masas ビストロ酒場」とはまた異なる客層を抱える。駅を挟むとはいえ、ともに同一商圏内だけに、それぞれの業態の違いに加え、団体利用が可能な「Masas ビストロ酒場」、「Masasビストロ酒場」より2時間遅い朝4時まで営業する「Masas 500円バル」と、それぞれの特徴を明確に打ち出すことで、利用目的に合った客の往来も視野に入れる。
小森氏はフランス、イタリア、スペイン、ベルギー、アメリカなど海外での修業経験も豊富で、日本でもカリフォルニアキュイジーヌ、フレンチ、イタリアン、フレンチフュージョンの店など多彩な業態でシェフとして陣頭指揮を取り、さらにオープニングの立ち上げやオペレーションなども幅広く手がけてきた実績を誇る。独立した現在も2店舗の経営の他に、様々な店の店舗プロデュースやケータリング事業などに取り組む。「Masas ビストロ酒場」は目標月商300万円を掲げており、終電で帰ってきた人たちが最後にふらっと1時間立ち寄って憩える、そんな店を目指している。都心に近くて便利すぎるからこそ隙間となっていた地元ニーズに着目し、これまで見落とされていた新たなマーケットの掘り起こしに粉骨砕身する。「わざわざ繁華街まで出かけなくても、地元にこんな素敵な店がある」。板橋の人たちにそう胸を張ってもらえるよう、そして地域の外食マーケットの活性化のために、さらなる魅力づくりに日々尽力している。

(取材=印束 義則)

店舗データ

店名 Masas ビストロ酒場
住所 東京都北区滝野川7-2-3
アクセス JR板橋駅より徒歩1分
電話 03-3576-9241
営業時間 18:00~翌2:00(L.O.翌1:30)
定休日 無休
坪数客数 13坪・38席
客単価 2000〜2500円
運営会社 小森正紀
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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