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8坪・月商350万円の超路地裏繁盛“焼き貝専門店”が2号店を出店!いま注目のスポット鴬谷に「焼き貝 うぐいす」が10月3日オープン

鴬谷駅南口の陸橋を下りた先にある、ちょっとディープな飲み屋街の一角に立地。古くからの店も多い中で、キラリと存在感を光らせる
貝という食材に特化することで専門性を強く打ち出す。“焼き貝専門店”を掲げながらも、メニューは実にバラエティーある品揃え
提供する貝は産地を添えて黒板に書き、アピールする。8割が築地市場から仕入れ、残り2割が長崎などからの産直品
代表取締役の田中浩一氏とともに同店を共同経営する延田然圭氏(右)と、スタッフの西本肇氏(左)

(取材=印束 義則)


ちょっとディープな雰囲気が漂う東京・鴬谷の飲み屋街の一角に、昨年2011年10月3日にオープンしたのが「焼き貝 うぐいす」。スナックや小料理屋など小さな飲み屋が密集する場所において、まわりの雰囲気を壊すことなく自然に溶け込みながら、それでいてひと味違う店として凛とした存在感を強く醸し出している。店名に「焼き貝」と謳うように、同店は多種多彩な貝を、旨みを引き出しながら焼き上げ、厳選した地酒とともに楽しませる店。最近では“焼き貝専門店”を謳う店も徐々に増えてきているが、業態の数としてはまだまだ少数派。それだけに、まずはもの珍しさからお客の関心を引き寄せられるのが同業態の強みと言えよう。とは言え、馴染みのないものに対して最初は一定の距離を置くのが人間の一般的な心理であり、専門性が強ければ強いほど知らず知らずのうちにお客をふるいにかけてしまう傾向にもある。そうした条件下において、同店ははたしてどのように魅力を発揮しているのだろうか? 同店を経営するのは海神(埼玉県所沢市、代表取締役:田中浩一氏)。同社は埼玉・入間で海鮮居酒屋「田中水産」、東京・高円寺で「焼き貝 あぶさん」を経営しており、「うぐいす」は焼き貝専門店の2店舗目にあたる。先発の「あぶさん」は「うぐいす」よりもさらに奥まった路地裏にあり、フリ客はまず訪れないような辺鄙な二等立地に店舗を構える。そうした悪立地にもかかわらず、8坪・18席で月商300~350万円という驚きの売上を実現している。「うぐいす」では、その「あぶさん」と9割方同じ売り方を採用。こうした確固たる実績のある業態で開業に臨んだわけだが、実のところ、当初は海鮮居酒屋での開業を考えていた。ところが物件を見た時に、「これなら焼き貝だな!」と判断。まさに、絶対の自信を持っての開業の運びとなったのだ。 店舗は元小料理屋の物件で、借り手がつかないまま1年ほど空いていた。以前の店は2階建の建物の1階を店舗、2階を住まいとして使用していた。こうした店と住居が一体となった店舗は、小料理屋やスナックなどでよく見かける昔ながらのスタイルであり、いい意味でも、悪い意味でも生活感が充満している。そうした生活感は、自ずと店の雰囲気に如実に反映されることになる。それがこうした店の魅力であり、同時にどこかよどんだ空気感を生み出しているのも、また事実。常連客でガッチリ固定された店同様、一見客の入りにくい雰囲気を作り出し、店主やお客の高齢化とともにやがて店も生気を失っていくケースが少なくない。反面、そうした生活感は料理同様、調理の仕方によっては実に味のある“素材”へと転換することができる。 同店では、ファサードの1階部分を木の質感を生かした明るいイメージの造りに仕上げ、以前は中が見えなかったことからガラス張りにして開放感を打ち出して、一見客が入りやすい雰囲気を醸し出したのである。店内も手直しし、6人がけのカウンター席は天板を杉の一枚板に変え、8席の小上がり席も畳を新しく張り替えた。住まいだった2階も2部屋あったのを1部屋につなげ、補強工事をして1部屋分床上げし、段差のある独特の雰囲気に仕立てた。床は竹のマットを敷き詰め、座卓を並べて天井からは裸電球を。そうした適度な改装にもともとの建物の持ち味が加わり、どこか懐かしさを覚える昔の家庭の居間のような、ほどよい生活感が漂う店舗に作り直した。こうしたバックグラウンドの下、焼貝を提供する絶好のシチュエーションでお客の関心を引き寄せ、専門性の高さから否応なしに生じる敷居の高さを巧みにやわらげたのだ。 メニューは「貝料理おまかせコース」(5品3500円、7品5500円、8品7500円)、「焼き貝盛り合せ」(3品1600円、5品3500円、8品5500円)、「活貝盛り合せ」(3品1600円、5品3500円、8品5500円) をベースに提供。初めてのお客には「焼き貝と活貝の3品盛りをそれぞれ頼んでもらえれば、6種類の貝が食べられますよ」とすすめ、そこから一品料理へと注文を促していく。定番の一品料理は40種近く揃え、これがすべて貝尽くし。「クリームチーズと貝のミルフィーユ」(780円)、「貝出汁とホタテの出汁巻」(700円)、「貝 豆鼓炒め」(750円)、「貝出汁茶碗蒸し」(480円)、「貝のとろろネギ焼 チヂミ風」(750円)、「肝のすき焼」(750円)、「肝アブサンガーリックフランベ」(750円)、「大浅利ステーキ」(1000円)、「石焼貝飯」(950円)、「はまぐり潮汁」(500円) など、和食の技法をベースに創作料理も盛り込み、あるいは肝や出汁を主役にした料理など、貝の魅力を百花繚乱に楽しませてくれる。貝は8割を築地市場から、2割を産直で仕入れ、店内の黒板にマテ貝(山口)、白ミル貝(愛知)、サザエ(長崎)、白貝(北海道)などと書き出してアピールする。 日本酒は秋は“ひやおろし”、冬は“しぼりたて新酒”などとテーマを決め、1杯800円均一で提供。また、3種選べる「利き酒セット」(800円) もある。さらに、燗酒は“おすすめ五種”として、700円均一で供する。客層は40代後半が中心で、男性6~7割、女性3~4割の比率。「焼貝」と謳いながら焼貝だけにとどまらないバラエティーな貝メニューを、こだわりの地酒とともに楽しんでもらう。また、貝メニューだけで飽きがこないよう“本日のおすすめ”として、「生本マグロ」(850円)、「天然コチ刺」(750円)、「うにつまみ」(900円) など刺身類を数種揃え、ほどよいアクセントにしている。 同店は16坪・39席の規模で目標月商400万円を掲げているが、高円寺の「あぶさん」同様、繁盛を築くことはできるのか? 店主の延田然圭氏は「年内にもう1店舗開業し、5年後には海外にも出店したい」と、今後の展望を語る。それは、“貝焼専門店”というどこかマニアックな業態を、どこまで身近な業態に落とし込んでいけるかにかかっているとも言えるだろう。鴬谷のディープな飲み屋街に誕生した、ちょっとマニアックな焼き貝専門店。同店の今後の動向、そして意欲的な飲食店が続々誕生する鴬谷という注目マーケットから、いま目が離せない!

店舗データ

店名 焼き貝 うぐいす
住所 東京都台東区根岸1-3-21

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アクセス JR鴬谷駅から徒歩2分、地下鉄入谷駅から徒歩5分
電話 03-5603-8183
営業時間 17:00~24:00(L.O.23:30)
定休日 日曜
坪数客数 16坪・39席
客単価 4000円
運営会社 海神
※店舗情報は取材当時の情報です。最新の情報は店舗にご確認ください。

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