これまで業界メディア取材拒否であった「串カツ田中」(経営:ノート、代表:貫啓二氏)が、遂にメディア初登場。
ノート代表取締役の貫氏は大阪出身。今年で41歳を迎える。氏は、高校卒業後から10年間、トヨタグループで物流改善を担当した経験を持つ。その後飲食に転身し、大阪・心斎橋でショットバーを開業。そこでの苦労から、一度はデザイナーズレストランに手を出すも、本物志向に目覚め、2003年東京に進出。京懐石店をオープンした(2008年に売却)。その後、より“本物の飲食店”を求めて「串カツ田中」を開業、2007年より多店舗展開を目指す。
現在、世田谷、尾山台、中目黒、都立大、方南町、武蔵小杉、笹塚と計7店舗を展開する同店が今回、初となるFC店舗を、学芸大学にオープンした。一時“ソース二度付け禁止”を謳う大阪串カツ店が東京で相次いで出店しブームとなったが、最近では大阪串カツ店も出尽くした感が否めず、存続している店もそう多くはない。こうした流れもあり、大半の串カツ店が苦戦している中、同店は業界からの注目度も高い“超”繁盛店。“串カツ×生ビール”が圧倒的に売れる夏には、坪月商50万円(世田谷店)をはじき出している。
立地は住宅地がほとんど。客層は近隣住民を中心に、土日は子ども連れのお客も多く集客する。ファミリーでも入りやすい内外装と、明るく元気の良いスタッフが老若男女を歓迎している。開放的な店頭には売りである“串カツ”の大きな文字と“赤提灯”をぶら下げ、賑々しい雰囲気でお客を呼ぶ。2008年に出店した世田谷店は、これまで周囲にはなかった赤提灯のスタイルで、街の雰囲気を変えたほどだ。
売りの串カツは全30種類を用意し、1本100円~。人気は「串カツ豚」「串カツ牛」(各120円) 。また、「レンコン」(100円) や「アスパラ」(200円) など、野菜も人気が高い。その他、「紅ショウガ」(120円) 、「バナナ」(150円) などの変わり種も用意する。串カツには、同社副代表・田中氏の父から受け継いだ秘伝のソースを使用。大阪から持って来たソースは、さらりとして酸味が少なく、それでいてコクと旨味が凝縮されている。また、使用する油は、何本も食べられるように独自のブレンド油を使用。生地にもこだわり、工場に発注して作ったオリジナルブレンドで作る。「一度来て頂ければ、リピートしてもらえる自信はある」と貫氏。ソース、油、生地——、この3つのバランスが取れて初めて“串カツ田中”オリジナルの味は完成する。サイドメニューは15種類。じっくりと煮込んだ「大阪名物牛すじ土手」(350円)、子どもにも人気の高い「鶏手羽チューリップの唐揚げ」(400円) 、大阪で有名な肉うどんのうどん抜き「肉吸い」(480円) 、「名物〆のかすうどん」(650円) など。サイドメニューもクオリティーを落とさず、串カツ以外の楽しみを用意している。
学芸大学店は、元串カツ店の居抜きを使用することで、初期投資を400万円(物件取得費別)に抑えた低投資出店。FC出店時の初期費用は、スケルトンで1000万円、居抜きで状態により300~800万円を見込む(別途、厨房機器費200万円、レジ150万円)。
FCパッケージは、15~25坪までのハコで、席数は坪×1.7~1.8。物件賃料は坪2万円までの路面店が基準。月商は坪30万円(全店の年平均月商は坪35万円)を目標とする。出店地はブルーオーシャン立地を攻め、これまでの店舗がそうであるように、“地域密着型住宅街”を基本とする予定。「世田谷店出店時も『絶対にありえない!』と言われる場所でした」と笑う貫氏だが、それでも全店が繁盛しているのは、氏がこれまで築いてきた“勝てるノウハウ”が当たっている証拠なのだ。
「急ピッチで出店する気はない」と、貫氏は言い切る。店のブランドと価値を守る為にも出店を急ぐのではなく、1店1店じっくり出店する考えだ。そのために、FCのロイヤりティーは売上げの5%、加盟金300万円と決して安くはない金額を提示する。「2012年は、直営店5店舗、FC店5店舗を目標としています」(貫氏)。しっかりとブランド価値を守ってくれる個人、法人と共に展開を目指す同社。地域に一店「串カツ田中」ができる日も、そう遠くはなさそうだ。
店舗データ
店名 | 串カツ田中 学芸大学店 |
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住所 | 東京都目黒区五本木3-31-5 |
アクセス | 東急東横線学芸大学駅より徒歩5分 |
電話 | 03-3715-6601 |
営業時間 | 平日17:00〜翌2:00、土・日・祝16:00〜翌2:00 |
定休日 | 不定休・ほぼ無休 |
坪数客数 | 15坪・30席 |
客単価 | 2300円 |