6月14日、銀座三丁目にイタリアン「ristorante KURODINO（リストランテ クロディーノ）」がオープン！「エノテーカ・ピンキオーリ東京店」出身ソムリエが新たに挑む、次なる舞台とは？

6月14日、飲食店がひしめく銀座三丁目のビル6Fに、「ristorante KURODINO（リストランテ クロディーノ）」がオープンした。代表を務めるのは、昨年末に閉店した老舗リストランテ「エノテーカ・ピンキオーリ東京店」でソムリエを務めていた黒田敬介氏。「昨年の2月に突如クローズの発表があってから、最初はどうしようかと悩みました。有難いことに、出資のお話などもいただきました。でも、ここはひとつ自分で勝負したかったんです」と、強い熱意を黒田氏は語る。独立の決心から半年弱、極めて短期間のうちにオープンに漕ぎ着けた同店には、「これまでお世話になったお客様に恩返しができれば……」という彼の「感謝の想い」が随所に反映されている。 それが如実に表れているのは、銀座という立地やメニュー内容からは考えられないような価格設定。ランチコースは1,890円～、ディナーコースは5,040円～で、エノテーカ・ピンキオーリ出身のシェフが手がける本格的な料理をしっかり堪能することができる。「実はこの価格を決めるにあたり、知人約100名に“気軽に食事を楽しめる値段”を尋ね、調査を重ねたんです」―― そんな試行錯誤を経て考案されたメニューは、ピンキオーリから引き継いだクリエイティブなラインと、伝統的な調理法に倣ったオーソドックスな料理の両者を揃え、コース毎にテイストに変化をもたらしている。中でも人気の逸品が、ランチとディナー両方のコースに登場する「パルミジャーノの塩味ケーキ、モルタデッラとエクストラヴァージンオイル」。塩味が効いたスポンジに、パルミジャーノやモルタデッラをあしらった、創造性溢れるメニューだ。 そして特筆すべきは、黒田氏の知識と経験をもって選び抜かれた、個性的なワインのラインナップ。前の店舗では2000種ものワインを扱っていたが、今回はこれまで採用したことの無いライン約100種を厳選し、グラス735円～、ボトル3,885円～というリーズナブルな価格で提供。イタリアに拘らず、フランス、オーストラリア、カリフォルニア、ギリシャ、チリ、日本……といった幅広い生産国のものを提案している。また、ワインリストに産地名や品種を分かりやすく明記したり、数種類をグラスでテイスティングできるワインコース（3種/3,675円～）を取り揃えたりするなど、初心者でも気軽にワインを楽しめる工夫がなされている。「低価格のワインもブドウ品種や産地の魅力が出た素晴らしいものばかりなので、ぜひ試していただきたい」と、自信たっぷりに語る黒田氏の今一番のオススメは、鮎のリエットと甲州ワインとのマリアージュ。これから徐々にワインのラインナップを増やしていく予定だ。 ワインレッドを基調とした店内は重厚感があり、落ち着いた雰囲気。更に、和紙を使ったパーテーションを加えるなど和のニュアンスを所々に取り入れていて、訪れる人に安堵感をもたらす。コンセプトは「ヨーロピアンと和のブレンド」。15年以上に渡りピンキオーリに足を運んだお客様でもある、デザイナー椎橋孝氏による内装デザインは、前店舗とはまた違う、同店独自の世界観を演出している。 「現段階ではエノテーカ・ピンキオーリ時代からのお客様が多いので、まずは皆様に納得してもらえるものを提供して、感謝の気持ちを示したいですね。そして今後は、これまでのお客様を大切にしながら、新規の方にも店の魅力を知ってもらい、着実に根をはっていきたいです」と黒田氏は展望を語る。 老舗で培った経験と、そこから脱した自由な感性、そして感謝の気持ち――それらが融合して生まれた、新たなリストランテの形に今後も期待したい。

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