池袋駅から徒歩10分。南池袋の東通りをしばらく歩いた先に、1月31日、「ワイン食堂 GOCCHI’S(ゴッチス)」がオープンした。“ワイン食堂”と謳うのは、「ワイン一杯でももちろん構いませんが、しっかり食事もできるということを伝えたくて、あえてそうしました」という理由から。そう話すのは、オーナーでシェフでもある青山剛平氏。青山氏はグローバルダイニング出身、昨年10月まで渋谷の「ラ ボエム クアリタ」で料理長を務めていた。サービスを担当する浅岡憲氏も、同じ店で店長の経験があり、お互いをよく知る2人がタッグを組み、ゴッチスのオープンに至った。青山氏は、もともと中華出身ということもあり、当初は「一人で切り盛りできる中華料理店」という業態で、独立を考えていた。しかし、先に退職していた浅岡さんと偶然に再会し、彼を誘って2人で出店をするに至ったという。
「格好つけるより、温かくて明るい雰囲気にしたかった」という言葉通り、色鮮やかなオレンジの色味を配した内装が特徴的で、スポンジで壁面に色を入れる“エイジング”と呼ばれる作業には、青山氏と浅岡氏も加わって完成させた。約11坪の店内は18席あり、奥にはテーブル席もあるが、やはり、造りがユニークなカウンター席がおすすめ。一見するとL字型に見えるカウンターは、実はコの字型をしている。“コ”の字の一片が外にせり出し、立ち飲み用のテーブルカウンターの機能を果たしているのだ。店内と外を仕切るのは、出入口用の扉以外は開閉可能な窓のみ。窓を全開にすると、内外一体型の新しい空間が現れる。青山氏はキッチン側の窓を常にオープンにし、店の前を通る地域の人へ、気軽な挨拶を欠かさない。「春・夏などの暖かい季節には、外でも楽しんでもらいたい」と、極力隔たりをなくし、ゴッチスの空気感を共有できる風通しの良い空間づくりに力を入れた。
料理はボリュームと食感、風味がたまらない「自家製ソーセージ」(480円)、「煮豚」(580円)、「厚切り豚のグリルリブ」(1380円)がスペシャリテ。その他、「スモークサーモンのカルパッチョ」(580円)などの前菜、日替わりのパスタも数種あり、手書きの黒板メニューも見逃せない。ワインはグラスで480円~、ボトルは2300円から500円刻みでハウスワインを揃える。産地や品種にこだわらず、2人がテイスティングして、価格と味に納得できたもののみを扱っている。
外と中、厨房と客席の仕切りが無く、客同士、客と店が同じ距離感で会話や食事を楽しむ光景は、非日常の外食を日常に変え、毎日通いたくなる店へとなっていく。ちなみに、店名の“ゴッチス”は「ごちそうさま」が語源になっている。本来“馳走(ちそう)”とは、「準備のために走り回る」という意味。そこから転じて「山野を駆け巡り調達した食材で、客をもてなすために用意した料理」となったようだ。その“もてなし”に感謝の意をこめ“御(ご)”と“様(さま)”がつけられ、食事の終わりの挨拶となった。
料理とワインと会話でもてなすゴッチスに、訪れる人からの「ごちそうさま=ゴッチス」が一つでも多く響くよう、青山氏と浅岡氏の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
店舗データ
店名 | ワイン食堂 GOCCHI’S(ゴッチス) |
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住所 | 東京都豊島区南池袋2-10-3 齋藤ビル1F |
アクセス | JR池袋駅東口より徒歩7分 |
電話 | 03-6912-8819 |
営業時間 | 17:00~23:30(23:00L .O.) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 10.64坪・18席 |
客単価 | 3200円 |