大手外食企業から独立し、2009年2月、東京・小伝馬町に「炭火鳥料理 鳥番長 総本店」を開業するや25坪・80席で月商1000万円を上げる繁盛ぶりを実現。その勢いのまま2010年4月、上野に2店舗目の上野昭和通り店を出店すると、こちらも23坪・68席で月商800万円もの堂々たる売上を達成。わずか1年半の短期間で業界が注目する気鋭の外食企業へと成長したバイタリティ(東京都中央区、代表取締役:岩田浩氏)が、満を持して手がけた新業態店が「大衆肉酒場 日本焼肉党」だ。浅草橋に8月4日オープン、20坪・48席で目標月商700万円を掲げる。 「鳥番長」はそのインパクトの強い店名とお客自身が卓上の七輪で焼く“炭火鳥料理”で強烈な個性を発揮したが、新業態店もその“繁盛”の流れを汲み、「日本焼肉党」という一度聞けば忘れない強く耳に残るインパクトある店名と、一頭買いした山形牛を盛り合わせで提供する売り方で独自性を追求。店名を最大限に生かし、オープン告知のチラシも「やります。本気の山形牛革命」「焼肉で日本を元気に」との“公約”が踊る選挙ポスター風に仕上げたり、おつまみ党、肉刺し党、スープ・クッパ党、マッコリ党などと“政党”別に分けたメニュー表示など、遊び心にあふれた売り方を採用する。店舗は古色蒼然としたいくつものレトロ看板で店頭を演出し、店内も古びたトタンを壁に巡らせて何とも言えない味わい深さを作り出している。そうした気どりのない店舗で山形牛の焼肉をお値打ち価格で提供する。このギャップの大きさで比類なき魅力を打ち出している。 牛の一頭買いを売り物にした焼肉店は近年、増加の傾向にもあるが、その売り方は仕入れ値のコストダウンや希少部位の提供などメリットも大きい反面、まんべんなく部位を使い切らないと逆に食材ロスが生じてしまう。そのため、一頭分の肉を確実に使い切れる見込みがなければおいそれと手が出しにくい売り方でもある。20坪という小規模店、そして夜の想定客単価3500円の同店が取り組むには一見、無謀とも取れる売り方ではあるが、正肉は盛り合わせメニューのみという売り方に特化することでこうした問題をクリア。事実、同店にはこれまでの焼肉店の常識であったカルビ、ロースといった単品メニューはなく、正肉は1575円からの「山形牛盛り合わせ」のみでメニューを構成。お客の予算に合わせてカルビ、イチボ、ザブトンなど様々な部位を、しかも破格のお値打ち価格で供することで、この提供スタイルに説得力を持たせている。お客は手頃な価格で極上の牛肉が楽しめ、店は店側主導でバランスよく牛肉を提供することでロスを削減する。こうした双方にメリットの大きい売り方が、この盛り合わせに特化した売り方なのである。 その一方で、その他の人気メニューのタンやハラミ、あるいは内臓類のコブクロやミノ、米沢三元豚を用いたカルビやトントロ、鶏のモモや軟骨などは単品で揃え、売り方に柔軟性を持たせている。また、提供法にもひと工夫を凝らし、例えば牛タンは芯の部分のみを用いて高品質の商品を提供しながら、端材となる部分はミンチにしてランチで活用したり、揚げ物にして一品料理として提供するなど上手に無駄なく使いまわしている。そのためランチは、通常の焼肉を提供せず、バター醤油でやみつきになる味に仕上げた「山形牛たたき丼」(880円)、「山形牛ねぎとろ丼」(850円)、山形牛100%の「ハンバーグ定食」(980円)や「メンチカツ定食」(680円)など、すべて厨房で調理して提供するメニューのみで構成する。こうした売り方は食材ロスの削減だけでなく、“焼肉定食”といった変わりばえしないメニューの多い従来の焼肉店のランチメニューとの差別化を推し進める上に置いても威力を発揮する。 「これまでの焼肉店とも、あるいは昨今流行のホルモン焼肉店とも違う新しい形の焼肉店を作りたかった」とバイタリティ代表取締役の岩田 浩氏は同店の魅力を語っており、アルコールも手頃な価格に抑えることで高品質の焼肉を気軽につまみとして楽しませている。「大衆肉酒場」と店名に謳うそのコンセプト通りに、同店の意欲的な試みは果たして不況で元気のない日本を元気づけることができるのか?「大衆肉酒場 日本焼肉党」。その“新党旗揚げ”には大いに期待したいところだ。
店舗データ
店名 | 大衆肉酒場 日本焼肉党 |
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住所 | 東京都台東区浅草橋1-10-12 ヒロセビル1階・B1階 |
アクセス | JR浅草橋駅より徒歩1分 |
電話 | 03-3865-5225 |
営業時間 | 11:30~翌1:00(L.O.24:00) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 20坪・48席 |
客単価 | 昼750円、夜3500円 |
運営会社 | 株式会社バイタリティ |