全品270円など“低額”料金の居酒屋が人気を博し、長引く不況下において大いに活況を呈している。そうした激安店が群雄割拠する熾烈な居酒屋業界に、新たなニューフェイスが堂々参入した。それが7月7日に東京・高田馬場にオープンした、「日本初」を謳うバイキング居酒屋「酔って食? 高田馬場店」だ。同店は「すたみな太郎」などを手がける江戸一(東京都足立区、代表取締役社長・岩田孝憲氏)の新業態店で、前店に続く第2の柱に育てたいと意気軒昂に開発した業態である。「すたみな太郎」と言えば、ごちそう感の高いすしと焼肉が食べ放題のバイキングレストランとして一世を風靡した業態であり、現在、郊外を中心に130店舗近くを展開。店舗は大型駐車場を備えた平均250席規模の大型店で、すしと焼肉という素材型の料理に特化した業態だ。郊外の車利用客の需要を巧みに取り込んだのがこの店ならば、都心立地においてちょっと寄ってふらりと食べていく需要を狙ったのが「酔って食?」である。「酔って食?」は高田馬場店の成功を足がかりに、今後の多店舗化も視野に入れる。 食べ放題、飲み放題のバイキングスタイルの同店だが、料金は制限時間90分で大人(中学生以上)1980円、子供(小学生)980円、幼児(3歳以上)280円。120分で大人2480円、子供1280円、幼児280円。延長は30分につき、大人700円、子供500円、幼児無料となっている。代金は前金制で、料理や酒はフードコーナーとドリンクコーナーから自分で取って運ぶセルフサービススタイルを採用。料理は25品ほどがずらりと並び、「定番★ジューシー☆小龍包」「定番★色とりどりのシーザーサラダ」「香辛料たっぷりのピリ辛チキン」「定番★鶏唐揚げ」「うずら卵フライ」「定番★お家で味わうカレー」「定番★居酒屋のモツ煮込み」など、人気メニューはある程度固定しながら、その他のものは日替わりにして飽きのこない魅力を打ち出している。フードコーナーに並べる料理は一皿10人前ほどと少量に抑え、料理の回転をよくすることで常に作りたてのものを並べられるように心がけ、ロスも上手く防いでいる。新しく料理ができ上がると従業員がベルをカラン、カラン、カランと鳴らしてお客に知らせるという演出も導入。アルコールはビール系が“第3のビール”の生で、その他、焼酎、梅酒、日本酒、ワイン、ウイスキーとバランスよく揃え、自分で作る酎ハイやカクテルも人気だ。普段、居酒屋で自分で注いだり作ったりする機会がないだけに、新鮮な楽しみとして好評を博している。 客席はドラム缶に合板の天板をのせたものをテーブルとし、椅子も酒のケースに板をのせて座布団を敷いたカジュアルなものを使用。初期投資を抑えた造りながらも、赤提灯を吊るしてお祭り的な雰囲気を作り出し、チープに見えない工夫を巧みに施している。また、フードコーナーには綿菓子の機械も設置し、お祭り気分をさらに高めている。今後は60席規模の居抜き物件での展開を目指しており、注文を受けて料理を作る通常の居酒屋と違い、店側のペースで料理を作れるバイキングスタイルだけに、たとえ狭いスペースの厨房でも効率よく調理できるのが同店の強み。それだけに物件の条件も広がり、柔軟に展開が図りやすい業態とも言える。オープン2週間が経過した現在、客層は6~7割が学生、残りがサラリーマンなどで、90分間食べ放題、飲み放題で2000円を切るというお値打ちの価格設定で“定額”制を打ち出した「酔って食?」。“低額”と“定額”の2つの魅力を武器に居酒屋業界に新風を巻き起こすのか? 目標月商は800~1000万円を掲げており、その動向が大いに注目される。
店舗データ
店名 | 酔って食? 高田馬場店 |
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住所 | 東京都新宿区高田馬場2-17-6 ゆう文ビル3階 |
アクセス | JR・地下鉄高田馬場駅より徒歩1分 |
電話 | 03-3200-4191 |
営業時間 | 16:00~24:00(ラスト入店22:30) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 50坪・67席 |
客単価 | 2000円 |
運営会社 | 株式会社江戸一 |
関連リンク | 江戸一 |
関連リンク | 酔って食? 高田馬場店(ぐるなび) |