カシオ計算機(以下、カシオ)は、中小の飲食事業者向けにオーダーエントリー端末とネットレジをセットにした「オーダーエントリーシステム(仮称。正式名称は検討中。以下、OESとする)」を2010年夏に向けて、市場投下を検討している。価格も、中小飲食・小売企業向けに安価に求められるよう検討していることから、従来からオーダーエントリー端末の導入をコスト面から導入できなかった店舗や企業には注目の機器となるはずだ。 そもそも、インターネット接続することで、売上集計管理や電子決済を利用可能とする「ネットレジ」事業を手掛けていたカシオは、「ネットレジの既存ユーザーから“ネットレジに接続できるオーダーエントリー端末をカシオから出して欲しい”という要望を受けており、今回の商品開発となったようだ。今回の開発に関しては、カシオ開催の「飲食店ICT研究会」なる飲食店経営者が集まる研究会や、現場を良く知る店長、また飲食コンサルタントまで幅広い意見を求めた結果、オペレーションの効率化、ローコスト化、顧客満足向上などの基本課題をシステムの切り口として作られている。 勿論、OESは今までも存在していたが、導入コストが高いうえに従業員にとって、“階層化されたメニューへの親しみにくさ”という問題もあり、導入へのハードルが高い存在であった。 今回開発中の「ブックレット型ハンディ」は、メニューを6ページのブックレット型にすることで肉料理・魚料理・定食・デザート・ドリンクなどカテゴリー別にページ分けができ、メニューを探しやすいだけでなく、誤入力を軽減。メニューキーは192キー搭載し、取り外しも可能な為、昼・夜メニューで別のブックレットを使うなどの運用も可能。 基本的なオペレーションは、ブックレットからオーダーされた品を押し、あとは端末右上のテンキーから数量を指定するだけ。オーダー内容は電子レンジなどとの干渉が少ない430MHz帯無線でコントロールボックスへ送信されキッチンプリンタへ出力されるようになっている。 以上のように誰でも間違いなくすぐ使えるようにすることで、働き始めたばかりのアルバイトの即戦力化、接客向上へのサポートもできたらと考えている。 また、売上集計管理サービスに加入すればオーナーや店長は約30分ごとにWEBもしくは携帯からお店の売上状況を確認できる。もちろん、セキュリティ―万全なデータセンターの管理のもと、24時間365日体制で加盟店向けコールセンターからのサポートを受けられる。(サービス料に含まれる) 基本セットはレジスター1台、ハンディ3台、コントローラー1台、キッチンプリンタ2台で、オプションとして追加も可能。 価格はまだ未定だが「価格と使いやすさ、そしてネットレジによる経営の可視化を通じ、中小飲食店の“お店作り”をサポートできれば」と担当課長の大沢氏は話している。 現在夏の販売に向けて、耐衝撃・防滴設計の強化、再度飲食店の経営者から実用化した際の改善点等の研究を行い、最終調整を行っている。カシオが様々なコンシューマ商品で培った、耐久性、操作性、省電力、デザイン性能などのノウハウを実感できる「OES」は、今まで未発達だったレジ業界を震撼させるに違いない。 販売が実現したら、ローコスト開業を打ち出すフランチャイズパッケージへの基本装備を推奨するなど今後の展開の話は計画段階で多岐に渡っている。