特集

借金1000万円からのデリバリー事業が成功⁉日本一のデリバリープラットフォームを目指す、バーチャルレストラン代表・牧本天増氏インタビュー

デリバリー専門ブランドのFC事業や、デリバリーのコンサルティングなどデリバリーにまつわる事業を展開するバーチャルレストラン(東京都江戸川区、代表:牧本天増氏)。スイーツを中心とした多数の人気デリバリーブランドを展開し、FC加盟店は300店舗を突破。日本一のデリバリープラットフォームを目指して邁進する気鋭の企業だ。代表の牧本氏は現在24歳。大学在学中のタピオカドリンク専門店からスタートし、コロナ禍を機にデリバリー事業を本格展開。同氏の経歴や事業展開、今後について聞いた。


バーチャルレストラン
https://www.virtual-restaurant.co.jp/

ブームに乗ってタピオカ店で成功、コロナ禍を機にデリバリーを展開

―牧本さんが起業した経緯を教えてください。


(バーチャルレストラン代表:牧本天増氏)

僕は両親が中国人で、高校進学を機に日本で暮らし始めました。母が中国の貧しい農村部出身だったので、当時「家を支える経済力をつけたい」という気持ちが強かった。そのために大学では経済や金融を学ぼうと中央大学に進学しました。ところが、実際に大学に入ると、日本の学生は勉強よりも飲み会やサークル活動など遊びに興じる人が多いことに驚きました。最初はギャップに戸惑っていたものの、やがて志を持って入学したはずの自分も周囲に染まり自堕落な生活に。半年ほど経った頃、「このままではダメだ」と何かやりたいと考えていたところ、ちょうど高校の先輩からマルチ商法に誘われ、ハマってしまったんです。自分が騙されると同時に後輩を騙し、結果、多くのお金を失いました。ついに大学は学費が払えず除籍に。非常に苦い経験でしたが、この反省を生かし「世の中、お金を稼ぐのは楽ではない、一発逆転を狙うのではなく、地道に実業をやろう」と決心しました。

当初はフリマアプリを利用した家具の販売事業を展開するも、問題が起きて断念。その後、自分の強みである日本語と中国語のバイリンガルであることを生かし、中国語の語学学校を東京の平井に開校し、軌道に乗せることができました。同時に、当時2019年頃はこれからタピオカブームが始まろうという時だった。そこで中国からのタピオカの仕入れルートを調べて、2019年3月、明大前にタピオカドリンク専門店「OWL TEA(オウルティー)」をオープンしました。狙い通りブームにのって4坪の店舗で月商1000万円の大繁盛に。すぐに、武蔵小杉や錦糸町、亀戸、用賀にも店舗を年内に展開しました。そこで出た利益はマルチ商法で負った借金の返済に充てました。自分の分だけでなく、僕が騙してしまった後輩の分まですべて支払いました。


(2019年3月、明大前にオープンした「OWL TEA」は学生を中心に大人気となった)

その後、2020年になるとコロナ禍でタピオカ店の売上は減少しましたが、一方でデリバリーは好調に。売上は反比例し、デリバリーの売上が店舗分よりも上回るようになりました。これをチャンスと捉え、同じくコロナ禍で売上が低迷していたアイスクリーム店の知人を誘い、協同してデリバリーブランドの展開に乗り出しました。それがうまくいき、バーチャルレストランを起業。本格的にフードデリバリーにまつわる事業を行うようになりました。

現在は、タピオカドリンクをはじめ韓国ワッフルやバナナジュース、サラダチキンやスープなど、スイーツを中心としたデリバリーブランドのFC本部として、飲食店がデリバリーを運営するにあたってのコンサルティングなどを行っています。「OWL TEA」も、実店舗とは別にデリバリーブランドとしても展開しています。いま加盟店は300店舗超ですが、多くがラーメン店や居酒屋などの既存飲食店で、本来の営業と並走して当社のブランドのデリバリーを行っている形です。


(スイーツを中心に多彩なデリバリー業態を展開する)

デリバリーでスイーツ業態を中心に展開する「3つの理由」とは?

―バラエティ豊かなデリバリーブランドを持っていますが、どのようなやり方で開発しているのでしょうか。

僕は飲食のプロではない。一方で、僕が中国にコネクションを持っていることを生かし、中国の地方などにあってまだ知られていないポテンシャルの高い商品のレシピや安価な材料を仕入れ、それを日本のデリバリーで売れるようにブランディングして世に出しています。

特にスイーツ業態に力を入れています。他のアイテムに比べ、デリバリーでスイーツの需要はそう多くありませんが、メリットは大きく3つあると考えています。ひとつはスイーツの売上ピークは昼過ぎから夕方までのアイドルタイムであること。多くの加盟店が本営業のランチやディナーなどの時間帯とかぶらずに効率的にリソースを割くことが可能です。また、スイーツは複雑な調理工程がなく、オペレーションが軽いことも利点。アルバイトさんでもできて、短時間で調理完了します。加えて、パンケーキのような粉ものやタピオカドリンクのような原価が高くない品も多いのも大きい。デリバリーではプラットフォームに支払う手数料が40%近く、原価率はよりシビアに考えたい。タピオカドリンクであれば、当社の仕入れ努力もあり、原価18%に抑えることができます。最後は、競合が少なく差別化しやすいこと。需要は多くはありませんが、逆に言えばライバルが少ないということ。例えば月商何百万円も売り上げる唐揚げブランドほどの爆発力はありませんが、スイーツに一定の需要があるので、コンスタントに安定した売上が望めます。


(韓国ワッフル業態「Crazy Waffle」も、同社の人気ブランドのひとつ)

日本一のデリバリープラットフォームを目指す。協会設立で業界のイメージ向上にも寄与

―今後の目指すところは?

日本一のデリバリープラットフォームになりたい。多くのブランドが集約されたデリバリー経済圏を目指します。現在、当社では27のブランドを擁し、加盟店は状況に応じて好きなようにブランドを選んで営業することができます。デリバリーマーケットのトレンドを押さえながら新ブランドもどんどん投入し、より多くの加盟店の利益の最大化を目指します。最近ではドッグフードやベビーフードのデリバリーブランドも始めました。スイーツ同様、マーケットはそこまで大きくないですが、欲しい人には刺さるニッチなところを狙っています。積極的に仕入れルートを開拓し、原価を下げたり、カスタマーサポートを充実させたりということに取り組んでいる最中です。まだまだ馴染みがなく、ネガティブなイメージを持たれがちなデリバリーやゴーストレストランですが、これからも成長のある分野だと睨んでいます。最近では、一般社団法人日本ゴーストレストラン協会を設立し、今後、業界のイメージアップにつながる活動も行っていきたいですね。

特集一覧トップへ

Uber Eats レストランパートナー募集