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ITの視点から飲食店の生産性向上を図る!仕込みや加工を外部委託し現場の負担を軽減できる「ロカルメオーダー」

「ロカルメオーダー」は、店舗で行う料理の仕込みや加工を外部委託で製造できるシステムを提供するOEMサービスだ。2020年3月にリリース以来、高級店や大手チェーン含む数十社で続々と導入されている。運営会社はスパイスコード。IT業界出身の代表・中河宏文氏と、中河氏の妻で料理人の野崎 翠氏を中心に、IT出身メンバーで同サービスを運営している。2021年2月には2億円の資金調達にも成功。ITの視点から飲食業界の労働生産性の向上を目指す「ロカルメオーダー」に期待がかかる。


スパイスコード代表取締役:中河宏文氏
1981年生まれ。MIRACLE LINUX社、Cerevo社、ミクシィを経て、後に本田技術研究所に売却されるDrivemode, Incを共同創業。その後、メルカリを経て、同社に参画、代表に就任。料理人である妻の野崎 翠氏とともに「ロカルメオーダー」を立ち上げ、企画・運営を行う。

ロカルメオーダー
https://order.localmet.com/
スパイスコード
https://spicescode.co.jp/

オンライン上にて最短2か月で外部委託の仕組みを構築できる

―「ロカルメオーダー」とは。

中河氏:通常、飲食店が店舗で行う料理の仕込みや加工を外部委託する、OEMのシステム構築を行っています。食品加工工場と飲食店をつなぎ、仕込み業務を外部委託するほかECの製造体制もつくれるプラットフォームです。

まずは、飲食店から商品や仕込み品のレシピやサンプルをいただき、味わいや香り、食感などを当社シェフの野崎が忠実に再現できる製造方法を整えます。それを当社と取引のある数十社の工場から最適なところに生産を委託するという流れ。ものによりますが、発注をいただいてから最短3週間でサンプルが完成し、OKが出れば2か月ほどで製造の開始、納品が可能です。やり取りはスマホアプリのオンライン上で完結させるので、スピード感を持って進められるのも当サービスのメリットです。

2020年3月にサービスをリリースし、取引先は数十社になりました。大手チェーンから個人店、大衆店から高級店まで、ジャンルも和洋中問わず幅広い品の仕込みや製造について外部委託のシステムを整えています。例えばパテドカンパーニュなどの加工度の高い料理や、料理に使うソースやペースト、ドレッシングなどの発注が多いですね。

料理人の長時間労働を解決するため、IT業界の考えを応用

―サービス立ち上げのきっかけは。

中河氏:私は長年にわたりIT業界で働いていました。成長中のIT企業にいたことも多かったので、私自身なかなかのハードワーカーだと思っていましたが、料理人である妻の野崎はそれ以上に労働時間が長かった。かといって、労働時間の長さに対して生産性が高いということもなく、どうしたら解決できるのか夫婦で長らく議論していました。

野崎から飲食店の現場の話を聞くうちに思いついたのが、仕込みの外部委託システムです。IT業界では生産性向上のために飲食業界で言うところのセントラルキッチンのようなものが存在し、それが生産性の向上に寄与しています。外部のサーバーリソースを利用して自社の業務の効率化を図るシステムがあり、大手IT企業も多く利用する。飲食店の大手では自社でセントラルキッチンを持っているところもありますが、規模の小さなところは難しいし、セントラルキッチンがあっても小回りが利かない。より手軽に仕込みを外部委託できる仕組みがあれば、飲食業界の生産性向上につながるのでは、という発想から「ロカルメオーダー」を立ち上げました。

「大衆ビストロ ジル」「ひらまつ」など有名店でも多数導入中!

―どのような導入事例がありますか。

中河氏:例えば「大衆ビストロ ジル」など14店舗を展開しているジリオン様。同社では人材教育に力を入れており、クリエイティビティを伴わない仕込み作業は外部委託し、浮いたリソースを人材教育に割きたいということでした。主にソースやドレッシングなどを15品ほど発注していただいています。例えば、「アンチョビソース」は、多くの料理の隠し味として全社で消費量の多い素材ですが、各店舗がそれぞれ店舗で仕込みをしている状況でした。「ロカルメオーダー」を使って外部で一括製造する体制を整えたことで、現場に余力を生んでいます。

また、意外な事例としては高級レストランとして知られる「ひらまつ」グループでもご利用いただいています。高級店こそ店舗で仕込みを行ってクオリティを担保すべきと思われるかもしれません。確かに調理の最終仕上げなどは職人技の光るところですが、ソースや煮込みの仕込み部分では外部委託できる余地はあります。また、クオリティチェックは料理人としての経験値が高い野崎がしっかりと行います。野崎はイタリアでの料理修業や、都内のレストランで料理長を務めた経験があり、イタリア料理コンクールや若手料理人大会「RED-U35」の受賞歴もあります。料理人としての熱量をもってサンプルを作成いたしますので、その点でも安心してご利用いただいています。

自社のセントラルキッチンを持っているある大手チェーンでもご利用いただいています。セントラルキッチンを持っていても、現在はコロナ禍の影響で生産量の変動が激しいことが課題になっており、そこで小回りの利く「ロカルメオーダー」にアウトソーシングをすることで、固定費が下げられるということがメリットになりました。

目指すのは「手数料ビジネス」ではなく、業務最適化により収益を上げる構造

―「ロカルメオーダー」ではどのように利益を出しているのでしょうか。

中河氏:現在は食品加工工場の売上の数パーセントを手数料としていただいています。しかし、我々が最終的に目指すところはいわゆる「手数料ビジネス」ではありません。今後は業務の最適化を図り、コスト削減に成功した部分から利益をいただくかたちに移行していきたいと考えています。「ロカルメオーダー」のリリースから1年、サービスのブラッシュアップに努めてきましたが、まだまだすべての要望に完璧に応えているとは言えない。飲食店や食品加工工場はもちろん、流通業者や生産者にとってもよりよいサービスを目指していきたい。「フード産業を持続可能な仕組みへアップデートする」が、我々の目指すところです。

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