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神田の雄・スマイルリンクルが新体制をスタート。創業社長の森口康志氏が引退、36歳の若きホープ・須藤 剛新社長への鮮やかなバトンタッチに秘められた思いとは?

1994年、神田に9坪ほどのお好み焼き店「Big-Pig」から始まったスマイルリンクル。現在は「春夏秋豚」、「酒場五郎」、「酒場ゴロー」、「チンチンゴロー」など神田を中心に6店舗(FC含む)を展開している飲食企業だ。これまでは創業社長の森口康志氏が会社を率いてきたが、創業26年目の2020年4月、36歳の新社長、須藤 剛氏を中心とした新体制がスタートした。森口氏は現在54歳、リタイアというには少し早い。創業社長とあって会社への思い入れも人一倍のはずだ。そんな中、若きホープへと鮮やかにバトンが渡された。森口氏の思いや、新社長・須藤氏の意気込みに迫る。



スマイルリンクル創業者の森口康志氏(写真左)と、新社長の須藤 剛氏(右)

スマイルリンクル(HP)
https://www.smilewrinkle.com/

「洋服の青山」敏腕店長が飲食店を創業、26年続く企業に

―まずは森口さんがスマイルリンクルを創業した経緯を教えてください。

森口:17歳から紳士服販売の「洋服の青山」を展開する青山商事で働き始めました。今でこそ全国展開する企業ですが、当時は西日本で30店舗ほどの規模でした。いよいよ東京進出しようというタイミングで、私はそのメンバーとして上京。自分で言うのも変ですが営業成績がよく、最年少店長に抜擢され、500店舗あった中で私の店舗がトップの売上を収めたこともありました。20代にしては給料をたくさんいただいていたので、今思えば天狗になっていましたね。次第に何か自分で起業したいという思いが募っていき、学生時代にお好み焼き屋さんでアルバイトをしていたことから「飲食店ならできるだろう」という軽い気持ちで1994年、神田に「Big-Pig神田南口店」をオープンしたのが始まりです。それから26年にわたり神田を中心に銀座や赤坂、千葉、韓国などで飲食店を展開してきました。

―須藤さんが入社したのはいつでしょうか。

須藤:今から18年前、当社がまだ3店舗だった頃ですね。私は高校時代、地元の福島で野球に打ち込んでいて甲子園にも行ったこともありました。野球しかしていなかったので高校卒業後の進路を考えあぐねていたのですが、たまたま知り合いが東京で飲食店をやっているので見に来ないかと誘われました。そこで、「飲食をやっている人達ってめちゃめちゃかっこいいな!」と衝撃を受け、18歳で飲食の世界に飛び込んだ。それからはずっと当社で森口の背中を追いかけてきました。

「彼らの成長を考えたら、私が邪魔だった」(森口氏)

―4月からはどのように体制が変わったのでしょうか。

森口:これまでは創業からずっと私がトップとして会社を率いてきましたが、2020年4月より、社長を須藤に渡して私は会長に。加えて、取締役として大島清志と市川知治の2人が須藤の脇を固めます。大島は入社15年目の34歳、市川は13年目の37歳と、30代の若い3人での新体制をスタートしたところです。

―森口さんは54歳。引退には少し早いような気もします。なぜ、このタイミングで社長交代に至ったのでしょうか。

森口:まずは、何よりは須藤が社長を任せられるまでに成長したことです。入社してから18年、誰よりも会社のことを隅々まで知っている。加えて取締役の大島と市川も、会社のために本当によく尽くしてくれている。彼らがもっと成長するにはどうしたらいいんだろうか?考えたら、私が邪魔だったんですね(笑)。須藤は今36歳ですが、36歳のころの私よりもずっと優れていると思います。彼がさらなる成長するためには、余計に自分が引かなくてはならないと強く感じました。

あとは、自身が元気で楽しく遊べる時間を考えるとせいぜいあと15年だろうと。長くはないし、優秀な部下が育っているのならばいつまでも固執するのではなくさっさとバトンタッチしてしまおうと考えたのです。

「3人で力を合わせれば、森口に勝てるかもしれない」(須藤氏)

―須藤さんは社長へ抜擢されてどう思いましたか。

須藤:ずっと背中を追いかけていた森口から社長という大役を受け、プレッシャーを感じています。今年で28期目の歴史のある会社ですし、「森口だからついてきている」という社員も多い。実際に私よりも社歴の長いスタッフもいます。

話をいただいたときは、「自分にできるのか?」という気持ちはありましたね。ですが、市川と大島という心強い仲間もいる。先ほど森口が「須藤は36歳の私よりも優れている」と言いましたが、そんなことはありません。でも、自分ひとりで森口を超える社長になるのは難しいですが、3人で力を合わせれば森口に勝てるかもしれない、と思っています。

森口:この3人、それぞれ個性があって強みが違うんです。それでしょっちゅうケンカをするのですが、その感じが最高なんですよ!(笑)これまでは私が一人で会社を引っ張ってきて、いわば上から押さえつけていたような恰好。「はい」か「イエス」か「喜んで!」しか言わせませんでした(笑)。新体制になって、3人が交わることで化学反応が起きて大きな価値になる。かといって3人が権力を均等に持っているわけではなく、社長である須藤を中心に、押したり引いたり、うまくやっています。

コロナショック最中の社長交代。「もう上がるしかない!」

―須藤さんが社長になって取り組みたいことは?

須藤:折しも社長交代と新型コロナがバッティングし、改めてこれからの方針を考える必要に駆られました。これまでと同じビジネスモデルは通用しない。当社は神田を拠点にしつつも、これまで銀座や千葉、海外など様々な場所に様々な業態を展開してきました。ですが、昨年「私たちは神田で頑張ろう、神田でナンバーワンの企業になろう」と原点回帰をしたところでした。外出自粛やリモートワークの普及で神田の人口は減っている。でもゼロになるわけではない。そこで当社が神田でどうナンバーワンになるか?を第一に動いていきたいですね。「すごいタイミングで社長になったね」と言われることも多いのですが、ここまで落ちたらもう上がるしかない!と吹っ切れて前向きな気持ちでいます。

また、会社としての制度も充実させたいと思っています。当社では5年前から新卒採用を開始しました。それまで10年、20年選手の40代や50代の社員がゴロゴロいたところに、いきなり20歳前後の若者が馴染めるのか不安でしたが、今では親子みたいに仲良し。若い社員を入れたことで、昔ながらの慣習が改められるなど、会社に良い影響を及ぼしています。近年、女子社員も増えているので、結婚や出産を経験しても安心して働ける環境を整えることや、高齢社員に対して現場以外でも活躍できる方法も提案したいと思います。

―森口さんの今後は?

森口:少しゆっくりしたいと考えていましたが、新型コロナの影響で会社の状況をよくするためにそうも言っていられない状況になってしまいました。ですが、落ち着いたら新しいことにチャレンジしたい。詳しくはまだ構想中なのですが「人を使わず人を喜ばせるビジネス」をしたいと思っています。これまでは人に楽しませてもらい、人で苦労してきた。だからこそ、そうではない新しいビジネスのかたちを模索しているところです。

―ありがとうございます。歴史あるスマイルリンクルにおいて、創業社長から30代の若い世代にバトンタッチしたことは飲食業界に大きなインパクトを与えるのではないでしょうか。これからも、スマイルリンクルや森口さんの活躍を期待しています!

(取材=大関 まなみ)

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