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新・編集長コラム

人材難の今だから一人でやりたい?店主の個性をダイレクトに表現する”ワンオペ”注目店!

最近取材をする中で目につくのがワンオペ店だ。コアな魅力を持つ店がますます支持される昨今で、店主のこだわりがダイレクトに表現されるワンオペ店の人気は高まっている。

PROFILE

大関 まなみ

大関 まなみ
1988年栃木県生まれ。東北大学卒業後、教育系出版社や飲食業界系出版社を経て、2019年3月よりフードスタジアム編集長に就任。年間約300の飲食店を視察、100軒を取材する。


酒屋出身オーナーのワンオペ店がおもしろい

「フードスタジアム」で取り上げるや否や、すごい勢いでビュー数を伸ばしているのが、亀戸の「Crisp!」の記事だ。もともとコロナ禍に間借りでスタートしたアジフライ専門店が実店舗を構えた。いま流行りのアジフライだが、同店で提供するのは決して流行に飛び乗った安易なものではなく、店主のフレンチ経験を生かした完成度の高さ。店主の石井将太氏は酒販店の「いまでや」の経験も長く、酒のラインナップも見どころだ。営業中はワンオペでかなりの手の込んだ料理を出しているのでお客とのコミュニケーションはそう多く取れないが、その分、メニュー表には石井氏のこだわりが一つ一つ、ぎっしりと記載されている。

同じくオーナーが酒屋出身ということで、千駄木にオープンした「谷中 酒喰 清太郎」にも注目だ。こちらも店主の山田智之氏のワンオペ店。この山田氏のドリンク提案がおもしろい。メニュー表を見て注文するというよりは、お客から好みや気分を伺ってあまたある酒からぴったりの1杯を提案することが山田氏の何よりのやりがいだという。地元でしか流通しない稀少な銘柄やおもしろい造りのものまで、山田氏自ら自転車で各地の酒屋へ買い付けに行っているそうだ。ぜひ山田氏のトークを楽しみに足を運んでもらいたい。

実力派シェフによるワンオペイタリアンも次々に登場

イタリアン・ワイン業態のワンオペ店にも注目。神楽坂の「イタリアワインとお料理 babbo.」は、高円寺「タッチョモ」や目白「ガタリ」で腕を磨いた実力派シェフ、菅 翔平氏のワンオペ店。立ち飲みだが、レストランクオリティの料理に、ワインインポーターの経験も持つ菅氏セレクトのワインが楽しめる。品数は絞りつつ、仕込みに時間をかけて営業時は盛る・和える・火を入れるで済む品に、パスタも用意するが茹で時間の短い生麺が中心という典型的なワンオペ店のラインナップ。住宅街立地だが、周辺に多くいる感度の高い人達で早速人気のようだ。

松陰神社前の「料理とお酒 おきなや」。こちらも日本のイタリア料理の草分け「キャンティ」などで経験を積んだ実力派、清宮丈雄氏のワンオペ店。独立前には人気居酒屋「おじんじょ」にもいたという柔軟性のあるキャリアだ。その腕を生かしたイタリアンに合わせるのはワインかと思いきやレモンサワーも取りそろえ、肩ひじ張らないバルに仕上げている。

もうひとつワイン業態のワンオペ店として挙げたいのが、永福町の「日常酒飯人」。「にちじょうさはんじ」と読む店名からそそられる。こちらは楽コーポレーション卒業生の居酒屋「ダイキチきんぎょ」や、学大の人気イタリアン「リ・カーリカ」などのタバッキ出身の古屋皓瑛氏のワンオペ店。ワインをコップ式グラスでカジュアルに楽しめる立ち飲みだ。ハレの日向けのレストランが多い永福町になかったポジションを狙い、早速「永福町にこんなお店がほしかった!」と地域の人に喜ばれている。

人材難に若者の意識変化…ワンオペ店はますます増えそう?

飲食業界の人材難もありスタッフを揃える必要がないワンオペ店は増えているのかもしれない。また、時代の変化によってスタッフ教育の在り方も変化している。従来の教育方法が今の若者には通じない、という話もよくある(当然ながら違法な労働環境や過剰な指導は淘汰されるべきとして)。それならばいっそ一人の方が気楽だ、と考えるオーナーも少なくないのだろう。

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