『めしとも』のコンセプトは、「徹底的にコストパフォーマンス にこだわり、安くて旨い店だけを、完全実食調査でお届け」し、「いい店はいい、悪い店は悪い」と、読者の目線に立った”ガチンコ批評”で紹介、高くて旨い のは当たり前、本当に安くていい店だけを、徹底的にリサーチして掲載していくという。ただ、“高くて旨い”店を中心に評論している友里征耶氏や来栖けい氏 が登場しているのは論理矛盾のような気がするが…。それはともかく、このジャンルでは、すでに『おとなの週末』(講談社)や編集長が変わってから“安旨”路線に転向した『食楽』(徳間書店)などがあり、遅すぎる参入といえるかもしれない。しかし、『東京カレンダー』追撃コンテンツとみられた『大人のウォーカー』から『めしとも』路線への大胆な転換は、いまの飲食トレンドを映している点で注目される。
骨付鳥専門店「釜焼鳥本舗」を展開する有限会社大真(愛媛県四国中央市、代表取締役・眞鍋大作氏)は、今度は“焼豚足”に注目し、日本初の専門店として「焼豚足 ぶ吉」を 神楽坂にオープン(現在、プレオープン中)する。“焼豚足”といえば、福岡ではラーメン屋のメニューで出されるぐらいだが、これを日本で最初に店の看板料 理にもってきたのが「ぶ吉」だ。この店で提供する「焼豚足」(1本609円)は、塩ベースに胡椒やガーリックなどのスパイスを加え、ポン酢で食べる“し ろ”と、魚介ベースに豆板醤などを加えたピリ辛の“あか”の2種類。店内のガラス張りの焼き物コーナーから運ばれた焼きたての豚足をまるごと一本、かぶり つくという豪快な食べ方が特徴。外はカリカリ、中はトロトロの食感が自慢だという。同社の戦略は、“骨付き鳥”と同様、“焼豚足”を看板料理として「一品 力」を打ち出すもの。内装は「看板料理を引き立てるために老舗感を出した」という。
三菱地所、丸の内仲通り・丸ビル近くに9月3日オープンする丸の内パークビルディングの商業ゾーン「Marunouchi BRICK SQUARE(丸の内ブリックスクエア)」の テナント(飲食22店舗)を先ごろ発表したが、企画リーシングを担当した人物によると、「今回は全体的に客単価を下げました。とくに2階の5店舗は接待用 の店ですが、従来の半額、7、8,000~10,000円ぐらいと抑えました」という。2階には、「MIKUNI marunouchi」(M&H)、うかい亭の新業態グリル料理「GLILL うかい」(うかい)が出店するが、同ブランドの既存店に比べ半額だというのだ。友里氏がブログで最近、高級店の不振ぶりを伝え、それらのテナントを誘致し たディベロッパーの批判を繰り返しているが、まさに時代は「旨安力」「一品力」という“めしとも志向”に急速にシフトしていることは間違いない。
コラム
2009.06.18
「安旨力」「一品力」の時代が来た!?
6月15日、ウォーカーシリーズの角川マーケティングから月刊『めしとも』が創刊された。内装やスタイル重視の『大人のウォーカー』がリニューアルしたといわれているが、まさにその変身ぶりがいまの飲食マーケットトレンドを象徴している。
佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。
現在、フードスタジアム 編集主幹。商業施設リーシング、飲食店出店サポートの株式会社カシェット代表取締役。著者に『イートグッド〜価値を売って儲けなさい〜』がある。