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コラム

政治が変わる! 飲食マーケットが変わる!

鳩山民主党政権が誕生した。歴史的な政権交代によって、政治のあり方、仕組みが変わるとするならば、経済も変わる。そして、外食、飲食マーケットを取り巻く風"も変わらざるをえない。"

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


では、“風”はどう変わるのか?「民主党政権になれば景気後退は避けられない」という空気が選挙前にはあった。しかし、国民は「景気回復」を皮肉に も自民党ではなく、民主党の託したのだ。景気は“気”で動く。これまでの「失望」は、新政権への「期待」に変わる。変化へのワクワクする気持ち、それが人 々の心を刺激し、前向きな行動に走らせるのだ。鳩山首相は、「政治主導、脱官僚というかつてない実験を行う。国民はそれを見守ってほしい」と言った。「期 待」が「失望」に変わらないようにと、政権交代を選択した国民にクギを刺したのだ。このレトリックは国民の政治参加意識をを高めざるを得ない。そうした国 民の意識改革が、景気回復のエンジンにスイッチを入れる公算は大きい。徐々に景気は盛り上がっていくのではないだろうか。 大きな変化としては、税金の流れが変わる。役所、公的法人などにザルのように流れていたムダ金が生活者に直接回るようになる。輸出依存から内需拡大 に経済が変わる。GDPの6割を占める個人消費が刺激される。中央に流れていたカネが地方経済、第一次産業に回る。公共事業に回っていたカネが子育て、教 育、福祉、環境に回る。それによって、ファミリー、地域コミュニティ、農業などが元気になる。飲食マーケットに関して言えば、ファミレスや“内食”、“ご 当地”“街起こし”グルメ的な動きが広まってくるだろう。“食”を通したコミュニティづくりが盛んになる。ローカル発信、地方発の飲食コンテンツが活性化 されるだろう。ローカルのアウトレットモール内飲食施設や新ファミレス業態、産直販売所、高速道路のサービスエリア内飲食などのマーケットが勢いづく。半 面、残念ながら都心の大型商業施設内飲食や銀座、青山などの接待需要の高級業態はますます活気を失うことになるだろう。 鳩山政権の理念は「友愛」。小泉改革による格差社会のひずみを修正する“キズナ”という言葉がキーワードになる。弱者や敗者が居場所のある社会をつ くるということだ。亀井郵政改革・金融大臣の登場は、中小企業の敗者復活を推し進める。債務超過に陥った個人に対しても、“平成版徳政令”ともいうべき金 融モラトリアムを発令する可能性もでてきた。飲食は“敗者復活”を可能とする場でもある。公共事業関連企業や輸出企業から落ちこぼれたセクトは外食、飲食 に参入するかもしれない。この弱者目線、敗者目線に立った“キズナ社会”が新政権後の社会の姿として、おぼろげながら見えてくる。飲食マーケットは、こう しや社会の映し鏡として、“大衆酒場”“郷土料理”“B級グルメ”がさらに人気化し、コミュニティの場としての「とにかく安くて楽しい居心地のいい飲食 店」がメインストリームとなるのだろう。

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