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コラム

進化する「鶏料理業態」!

9月に入って、今年の「飲食トレンド」の総括の作業をしていく季節となった。新しい流れとして、ドリンクは「ハイボールブーム」、フードは先週の「餃子酒場」に続き、「鶏料理業態の進化」を上げなければなるまい。

PROFILE

佐藤こうぞう

佐藤こうぞう
香川県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本工業新聞記者、雑誌『プレジデント』10年の編集者生活を経て独立。2000年6月、飲食スタイルマガジン『ARIgATT』を創刊、vol.11まで編集長。
その後、『東京カレンダー』編集顧問を経て、2004年1月より業界系WEBニュースサイト「フードスタジアム」を自社で立ち上げ、編集長をつとめる。


ニューウェーブといえるいくつかの「鶏料理業態」が一気に浮上してきた。8月20日には豪快な骨付き鶏を看板商品とした新しいタイプの鶏料理の専門 店「鳥大名」(メッドダイニング)が人形町にオープンしたが、マーケットでは、串打ちに代表される焼き鳥業態とは異なる新しいコンセプトの鶏料理業態が立 て続けに出店し注目となっている。ホルモン焼きや焼肉のように、肉としての素材感をダイナミックに楽しませる新しい鶏の魅力をつくったのが「がっつり系鶏 業態」で、先の「鳥大名」、骨付き丸焼き鶏に加え、七輪焼きを看板商品にした「鳥番長」(バイタリティ)、ぶつ切り鶏を網焼きする焼き鳥「とりビア」など が注目株として登場した。 鶏をキラー食材中心に据え、さまざまな鶏料理からMD構成する「鶏系居酒屋業態」というべき新しいカテゴリーも出現してきた。定番の串焼きから人気 の小鉄板料理まで鶏づくしの「串焼きおだいどこ 鳥ごっこ」(メッドダイニング)、宮崎地鶏に串焼きを軸にした「創作鶏酒場 昆ぶ禅」(昆ぶ家)、オリジ ナルの鶏鍋と鶏の串かつを看板商品とした大阪発の「北新地 鳥屋」(やるねん)などである。分かりやすくバラエティに富んだメニューでいて、専門性も作り やすく、カジュアルな居酒屋ポジションとして展開できるのが注目である。そんな中で、串打ち一本、ボリュームと“280円均一”という安さを貫いてきた 「鳥貴族」が急成長、不況に強い焼鳥業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立していることも見逃せない。大倉忠司社長は「既存の居酒屋チェーンの 客が流れてきた」と言うように、いまや“焼鳥酒場”ポジションになっている。 一方、専門専科を極めた個性派も改めて脚光を浴びてくるだろう。つくね専門店も増えたが、“ハニーレモン”といったオリジナルメニューを含め20種 類以上のつくねを看板とする「つくね立呑 ゑびす座」(新橋)のように、究極の専科業態も人気を集めている。「宮崎地鶏」ブームに代表される“銘柄鶏ブラ ンド”もご当地グルメブームと相まって、ますます広がりをめしている。いまや都道府県ごろにブランド鶏があり、ユニークなネーミングの鶏を打ち出すことに よって差別化を図る店も増えている。それとは別に、鉄板でコテ押し焼きする「今治鉄板焼きとり 坊ちゃん」(恵比寿)ような調理法に特徴がある郷土スタイ ルにも注目が集まる。2009年は「鳥料理業態進化の年」と言えるだろう。

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